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足立新田高校<前編> ~どんなワルでも行きたくない高校~

おすすめ度 ☆☆ 3

かつては旧5学区の最底辺校。
その高校に転機が訪れたのは、今から22年前の11月だった

1997年、足立新田の校長に着任した鈴木高弘氏。
彼は「着任時の足立新田は、このような学校だった」と後に述べている。

・オール1でも合格できる
・推薦入試も定員割れ。毎日新聞に「全日制普通科の推薦で定員割れ!」という非常にまれなケースとして記事になる
・入学後、5月から退学者が出始める
・高1の夏休みまでに退学者があらかた出そろう
・結果的に入学者の半数が中退する。卒業アルバムはスカスカ。
・お昼を過ぎると、生徒が学校の中で見当たらなくなる
・校舎内をバイクで走った、校舎や施設を壊した、教師に暴力を働く、盗難や喫煙行為などは日常的
・頭髪は染め放題
・前任の校長は体調を崩し休職
・43人の教員のうち22人が異動希望を出す
・先生は誰もネクタイをしていない。生徒に引っ張られて首が絞まると危ないから
・教室の窓から外に物をどんどん捨てる。夏は冷やし中華の食べ残しが、つゆごと落ちてくる
・卒業生の半分は進路未決定。よって入学者の75%がフリーター・ニートとして足立新田を出ていく

20世紀のヤンキー漫画のごとく、なかなかワイルドな学校だ。


2000年度のデータでは240名の入学者のうち
大学・短大進学者は23名
専門学校は23名
就職は21名
その他が82名
進路が分かっているのは67名だけ。そんな状況だった。

◆鈴木校長、どんな改革を行ったか
なかなかのアイデアマンである鈴木校長。
彼はまず自分で動いた。掃除した端から汚れていく学校。それでもあきらめず学校を良くしていこうと行動し続けたのである。

・まずは制服をかわいいデザインを変えることで女子生徒の人気を狙った
・優秀な女子生徒を集めるためにホームヘルパー2級の資格が取れるようにした
・教師や生徒を総動員した校内清掃を徹底した
・1年生1学期の午後は授業を行わない。「何でもよいから身体を使ったりするおもしろいことをやれ」と指示
・スポーツ健康系、情報ビジネス系、福祉教養系の3学系を設置
・ドラマのロケを受け入れ、髪が黒い生徒だけエキストラで出演するという企画を実施。染髪生徒の撲滅に成功
・元旦に高校説明会を実施。新聞にも取り上げられた

こういった改革の成果もあり、結果として2010年度卒業生は
大学・短大進学者は87名
専門学校は65名
就職は31名(就職希望者は100%就職した)
と、12年かけて大きく前進したのである。

◆部活動にも力を入れた
都立で唯一の相撲部を設立。
これは現在でも続いている。
2018年度は個人戦で優勝・準優勝。団体戦でも準優勝している。

陸上部も強くなっている。何回もインターハイに選手を送り込んでいる。

またスポーツ健康系の学習のため、近所にあるゴルフ場を比較的お客の少ない13~15時に使わせてもらうことになる。
そのための道具はどうするのか。クラブのセットなど高校生がおいそれと買えるものではない。学校にも予算はないと職員からはブーイング。
そこで鈴木校長、昔の知り合いである、都の清掃職員に連絡を入れ、ごみとなったゴルフクラブを譲ってもらうことに成功。
その数、なんと200本

こうして足立新田は旧5学区でも、屈指の人気校に生まれ変わったのだ。


では、今の足立新田はどうなったのだろうか。
気になるだろうが、明日に続く・・・


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