●宮崎吐夢『諦女 宮崎吐夢のOL短編集』
ライムスター宇多丸が 「キラキラ」で紹介していたので読んでみた。うん、確かに面白い。笑える。しかし、どちらかと言えば、物悲しさの方が上回る。まあ、悲惨と滑稽は紙一重、ってことだよね。特に『シャワーを浴びる七人の女』は涙なくして読めまへん。
『おわびのしるし』での「オリジナル・クライアント・ニックネーム」には大笑い。「若づくり 口元にシワ(口肛門)」とか「レゲエ大好き?ドレッドヘア(ダスキン)」とか。実際、得意先の担当者にこっそりあだ名を付けてるOLさんは多いんだろうね。そういう方々なら、この短編に共感しまくるんじゃないかな。
というわけで、いささかトウの立った……じゃなくて、20代後半及び30代のOLさんなら大いに楽しめるんじゃないでしょうか。ただし、書いた宮崎吐夢はバリバリ40代の男です。どうやってOLを研究したんだ?
●宮崎哲哉『映画365本 DVDで世界を読む』
テレビに出ている評論家で僕が一番好きなのは、実は宮崎哲哉だったりする。どこかゲイっぽい雰囲気を宿した口調が妙に微笑ましいし、冷静そうに見えて急に声を荒げたりする落差も面白いもんね。もちろん、知識の豊富さと分析力にはいつも感服している。
で、その宮崎氏による映画レビュー50本+オマケを収録したのが、この本。「はじめに」で書かれている通り、「面白くてためになる映画」ばかりが取り上げられている。なので、アメリカ映画のみ。確かに、なんだかんだ言ってもアメリカ映画は常に世の中の事象を映画の中に取り入れているもんね。
最後のページに、『ダークナイト』についての短いコメントがある。一年ぐらい前から僕が思っていたこととまったく同じだ。やっぱり、みんな似たようなことを感じてるんだろうね。
最近のアメリカ映画は、まったく動機のみえない、共感不能な悪人を魅力的な主人公として描くようになった。何かの予兆か?
●浅生ハルミン『私は猫ストーカー』
4年ぐらい前に出た本。その頃から気になりつつも読んでなかったけど、映画化されたってことで買ってみた。
まず、装丁が素晴らしい。新書判という大きさと、ほどよい薄さも良い感じ。ただ、内容も薄味なのは、ちょい残念。いや、すごく好感が持てる筆致なんだけどさ、「猫ストーカー」と名乗ってる割には掘り下げ不足に思えちゃうのよ。続編も読もうかと思ってたけど、ちょい保留。
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