少年トッパ

されど、船戸作品は死せず。

船戸与一氏が亡くなった。ただただ悲しく、残念だ。訃報を聞いた瞬間、泣きそうになった。

船戸作品に登場するのは、いつだって世に名を残さない者たちだ。
大志を抱いた勇猛な志士も、物欲にまみれた薄汚い金満家も、
清廉で純朴で美しい少女も、名を上げるために悪あがきするチンピラも、
たとえ束の間の幸福や成功を手にすることはあっても、いずれは非情な運命に弄ばれ、歴史の舞台裏へと姿を消す。
そう、徹底して非情。それが船戸作品の醍醐味だ。
その非情さ、冷徹さに読者は戸惑い、途方に暮れながらも、物語という名の美酒を味わい、酔いしれたのだ。

『満州国演義』という全8巻の大著を完成させたあとの逝去であることが、何よりの救いではある。
しかし、権力志向ばかり強い連中の手によって日本という国家が再び暴走しつつある今の世の中は、
船戸氏にとって極めて情けないものであったろう。その心中を察すると暗澹とした気持ちになってしまう。
『満州国演義』で描かれた政治家や軍人どもの身勝手さや愚かさ、民衆を見下す傲慢さ、
ひたすら既得権益を守ろうとする醜い姿は、決して過去のものではないのだ。

船戸与一はこの世を去った。しかし、今こそ船戸作品が読まれるべき時代である。






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