ある『物語』の断片

『物語たち』は語り始める。

心配性

2008-01-23 00:26:45 | ある『物語』の断片
不安は心を駈り立てて
夜の街を走らせる

走っても走っても
迫り来る恐怖
目に見えない恐怖
焦燥

全力で走っているうちに

いつの間にか
街の外れの
こんな遠くまで来ていた


「思い過ごしか」

無駄な時間を
過ごしたものだと
自嘲しながらも

柵の向こうに広がる
水平線の向こうから昇る
よく冴えた朝陽を眺めながら

肩で息を切らしながらも
足を止めなかった自分に
呼吸を止めなかった自分に


それなりの
満足感を覚えていた