ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

昔の本からシリーズ?今日は半衿

2014-01-21 22:33:34 | 着物・古布

 

この本はほんとに楽しいです。

宇野千代さんのお若いころの写真を何枚か見ていますが、ほんとにオシャレです。

「スタイル」という本は、戦時中に一度廃刊になりましたが、10年後にまた再出発。

この本は、その再出発して数年後です。一番アブラの乗った時期なのかもしれません。

 

 今日はこのなかから「半衿のお話」。

女史は、半衿のことを「ネクタイかマフラーの<いき>で選びましょう」と言っています。

 

             

 

いき、つまり「粋」ですが、この言葉も難しい…とりあえず感覚的に、でいきましょう。

書かれた当時の半衿は「ほとんどの人が白か、極く淡いピンク、クリーム、藤色、ねずみに限られている」

とあります。それでもまだけっこう薄い色衿は使われていたんですねぇ。

そして「濃い色の半衿が使われないのは、今の着物がとても濃い色で、派手で、大柄で、

印象が強いから。薄い色の半衿の方が合う」と。

そして「最近の女優さんや、都会的な洋装に慣れた女性たちが

着物も洋服と同じ感覚で選ぶ、つまり、単純で細かい柄のもの、親の着物かというような

地味なさっぱりした着物を選ぶのが流行りだした」…当時もそういうことはあったのですね。

このことを、女史は「着物界にとって一つの革命ともいえる」とまで言っています。

つまり「着物を洋服感覚で選ぶとそうなる」…と。

思えば「歴史は繰り返す」ですが、このあと、けっこう華やかな小紋や絵羽が流行ります。

そして今また、若い方がジミ眼を着ます。おもしろいものですね。

ただ、今の方は着物の積み重ねがないので、全部洋服感覚になってしまって、

ただ全部ジミ…小物に至るまでお母さん、おばあちゃんのおさがり…みたいになりがちなんですよね。

 

さて、この「ジミめ着物には、どんな半衿が合うのか」、ですが、それを「ネクタイやマフラー」と

そういっているわけで、とらわれずにもっと自由に…です。

「着物だけを考えずに、帯と半衿の色を決めて、全体の配色の印象が美しいかどうか、

それを考えるのが、新しい着物の着方だと思う」と。

こんなカンジ。木暮実千代さんです。

 

        

 

記事の中のモノクロ写真は…

 

        

 

最後の方で「また濃い色の半衿を自由自在に使う時代がきた」ともありました。

残念なことに、このあと、そういう新しい着方も、昔ながらの着方も、互いに切磋琢磨して??

更に新しい着物のかたちを育てていく…ことなく、着物そのものが廃れていく方向になってしまいました。

 

私の場合は…

まず、礼装用以外、ほとんど白半衿は使いません。母の葬儀のとき大慌てで出したら、

薄黄色に変色していたというアリサマです。(借りました…ナサケナイ)

小紋の時は、着物に柄がありますから、場合によっては白も使いますが、

そもそも小紋をあまり着ないので、悩んだ回数が少ない…。

どうしても色が難しいときは、白かクリームっぽいものですが、織り柄のあるものにします。

昔はぽってりとした縮緬の膨れ織りの半衿というのが、けっこうありまして、

母などもちょっとしたお出かけにはよく使っていました。 

最近の「膨れ織り」と証するものは、膨れたものが空気抜けてペタンコになりました…みたいな、

ちょっと柄がでっぱっているだけ…というものが多いです。

比べてみたところ、左は昔モノ、右は去年購入。

 

      

 

で、紬の場合は、ほんとに自由自在です。

こちらが私の半衿BOXのひとつですが、割とよく使うものを系統でいれてあります。

(本人が勝手に決めてる系統です)染疋田の柄が好きなんですねぇ…ってヒトゴトのように。

 

      

 

場合によって、少し濃すぎる…と見えるときは、裏返して使います。

色の濃いものは、けっこう30代40代で使いました。

これは40歳ちょい前くらいのころ。着物はよく見るとほそーい青と赤の線が入っているもの。

真っ黒に見えますが、黒地に小さい真っ赤な唐辛子の飛んでいます。

着物はもう少し明るくて、ごくほそーい赤と青の線が入っています。もさっとした紬です。

 

           

 

30代40代では、濃い色の半衿や、柄半衿もよく使いましたが、

最近はたまに使うのも、ちょっとオトナシめになっています。

半衿はほんとに少ししか見えないのですが、顔にもっとも近いところです。

色、出す分量、着物との兼ね合いで、雰囲気がまったくかわりますから、

大切にしたいパーツだと思っています。

 

女史は、「ただし濃い半衿は、一分か二分、チラリと見せること」と言ってます。

鯨尺で言うと、一分は4ミリよりちょっと少なめ、3.7くらい?…二分出しても8ミリいかない…。

いや、私はもうちょっと出すのがスキですねぇ。

つまり…やっぱりスキに着ればいいってことなんですけどね。

 

おまけです。この本に載っていた懐かしい人、コーちゃんです。

 

       

 

そしてこちらは「白州正子さん」。

羽織にしようかと思ったけれど、もったいなくて長いまま「壷折」のようにして着ていると。

自由に着ればいい…なのですよね。

 

           


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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (じじ)
2014-01-22 20:43:53
懐かしい方々。流石白州正子さん。
半襟白しか使ったことないのです。フクレの持ってます。
最近、白だと顔がくすんでみえるような。着物にもよりますがね。
負けちゃうのかしら。
で、オフホワイトとかクリームとかの方がいいかなと思っております。色物柄物使ってみようなんてね
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さすが姫様 (うまこ)
2014-01-22 23:41:03
白洲正子さん、あまり好きにはなれませんが、
上の「壷折」風はステキですね。
能衣装的とも言えますね。
う~ん、まねしたいかも・・・・いえいえ、
すらっとした白洲さんだからこそお似合いなんですよね。
姫様でない私にはおそらく無理でしょう・・・・・
あ、それに着物自体も相当良い物・・・ですよね。
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Unknown ()
2014-01-23 01:10:46
白半襟 一辺倒だったのですが
そろそろ 色半襟にもチャレンジしようと思っています。
柔らか物では無く 紬を着る機会の方が多いので
自由に! 粋に! を心して

出来るかなぁ・・・
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Unknown (とんぼ)
2014-01-23 22:32:55
じじ様

半襟は顔に近いですから、
私は「迷う楽しみ」を、いつも感じてます。
半衿が決まらないと、先に進めない…なんてことも
よくありますよ。

薄いクリーム色とか、意外になんでも合うのが、
薄い藤色です。はぎれでも紙でもいいですから、
あててみてください。
返信する
Unknown (とんぼ)
2014-01-23 22:37:27
うまこ様

彼女については、好き嫌いのわかれるところでしょうね。
ご本人は、いいものは明治のものなどもあるが、
新しい普段着物は、やすいもので、
それを何十年も着られるところがいい、と、
おっしゃってますが、普段物でさえ、我々とは
ちがうでしょうからねぇ。
壺折は、単衣の着物なら、軽くできるかもですね。

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Unknown (とんぼ)
2014-01-23 22:38:54
惠様、

地味眼の着物や帯がお好みなのですから、
明るいかわいい目の色、それ基準で
帯揚げ帯締めも選ぶと、いいんじゃないかと思いますよ。
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