ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

ややこしい染め方

2010-08-23 23:52:42 | 着物・古布
悩むほどのことじゃないんですけどね…。
先日、日焼けを気にしつつ(記事じゃなくてアタシの…)伸子張りしたものです。
モノは羽織でした。元々イロイロいただいた中の一枚です。
解いていて、なんだかずいぶん染めムラがあるなぁ…と思ってました。
でも、モノはなかなかいいんじゃないかと、そんな気がする紋綸子です。
地模様が大きな木の葉で、色目はジミでありながら、ぱっと目立つ柄です。
解き始めて、よくよく見たら、どうもこれは「染め直し」だとわかりました。
色がなかなかちゃんと出てくれませんが、とりあえずこんな感じ…。


     


「大事にしてたのねぇ」と思いながら柄を見ていて、あれっ?
これ、どうするとこうなるの?(地がムラになって見えるの、わかりますか?)
真ん中が実物に近いです。

     

     

    
どうやって染まっているのか…
まず、木の葉の中の葉脈として、それとところどころに飛んでいる丸、
ここは絞りです。とすると、順番に考えると、絞り部分を絞っておいて、
次に全体を茶色いまだらに染めたら、中に葉脈が浮いて見えるだけですから、
ここで葉っぱ以外のところを糊で伏せて、葉だけ茶のまだらに染める。
そのあとで今度は葉っぱに糊をして地色に染める?なんかややこしいです。ええっ??
だったらこの地色のダンダラの染め跡は何…??

「染め替え」というのは、二つの方法があります。
ひとつは「脱色」する方法。これは要するに漂白ですが、
何でもかんでも真っ白に戻るわけではありません。
濃い色ほど抜けにくいですから、たとえば黒地などは茶色やグレーになったり
紫は青っぽくなったり赤っぽくなったりします。
柄があると、色の濃い部分は色抜けが弱いですから、うっすらと柄も残ります。
だから、新しくかける色はもとより濃いもののほうが無難なわけです。

もうひとつは「目引き」、これは元の染めのまま、上から色をかけることです。
これのほうがカンタンですが、元の色がそのままですから、
「脱色」よりも更に、染まって見なけりゃどうなるかわからないわけです。

この羽織は、元のまだら染めのところに、そのまま目引きをしているように見えます。
だからいくら黒にしても、染めムラのように、おかしな色になっているわけです。

これを、例の呉服屋さんの奥さんがきたので、見ていただきました。
奥さんが言うには、
「まず絞りを施して、葉の部分だけを茶色のまだらに染めて、そこをのりで伏せて、
最初の染め、たぶんこの茶色の葉っぱ柄がくっきり出るような、
たとえば黄色や山吹などのまだら、あるいはグリーン系のまだらに染める。
それでしばらく着て、染め替えるときに、どうしても葉の部分の柄を残したかったので
葉の部分だけを染まらないようにしておいて、地色の部分を黒で目引きした…」
のではないかと…言うのです。
なるほどねぇ…ですが、ものすごい手間ですよね。
奥さんは「モノがとてもいいものだし、目引きする前でも手がこんでる。
今、これをやってくれといったら、ウチは断る」といってました。
手間がすごくかかるのと同時、それをこなす職人さんもねぇ…。

というわけで、これを作った人、染め直しをした人は、着物好きで、
余裕もある人だろうねぇ…とのことでした。
いやぁ、それを聞くとなんだか「大事に扱わないと…」なんて思ったりもするのですが、
実際には、どう見ても黒なのに「だんだら」なんですよ。
凝ったものだとわかっていても…ですねぇ…。
どうするべ…と思いつつ、衿はまだ洗っていません。

さて、昨夜のこと、こちらは今年は「風の夏」、
あったか~い風なんですが、よく吹きます。
せっかくの暖のれんも、風で寄ってしまうので、
夜はしまっておこう…と、玄関を開けたら…あららお客さんでした。
セミさんです。お一人様ぁ~~お泊り…かな?


     


木が少ないですから、南天の枯れ枝でも電信柱よりはマシ…と思ったのかもしれません。
早くしないとどこかへ行ってしまうと思い、あわててデジカメをとりにいき、
気が急いて「夜間撮影」だのなんだのついすっ飛ばして、いきなりパシャッとやりました。
パッとフラッシュをたいてしまったのですが…セミさん、逃げませんでした。
もう鳴き終わりなのかな…と思ったのですが、
今朝見たら、下におちてはいませんでした。
朝になって、またどこかへ飛び立ったのでしょう。
短い命、カラスなんぞにつかまらず、精一杯鳴くんだよぉ…と、
お見送りできなかったセミさんに届くよう、空に向かって祈りました。




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2 コメント

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Unknown (陽花)
2010-08-24 06:58:20
均等になっていない葉っぱの地模様
すてきですね。
何度も手間を掛けて染めをしている
ものを見る機会がないので、貴重な
ものを見せて頂きました。

セミさん、綺麗に撮れましたね。
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Unknown (とんぼ)
2010-08-24 19:34:14
陽花様

大きさも形もみんな違うはっぱで、
地模様ステキです。
悩みましたが、きっとお気に入りの
羽織だったのでしょうね。

セミさんの数も減りました。
そのうち鳴き声も聞こえなくなるのかなぁと、
最近の「宅地化」を、ちょっと心配しています。
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