マンガという文化には、50からというオクテもオクテ…で、出会いました。
♪ 物珍しく美しく~、いやいや浦島さんの心境、わかります。
で、いっときは手当たり次第古本などみていましたが、そこはオトナのハマリ具合?
そういう都合のいいことを言ってゴマカしてますが、要するに「なるほどこういうものであったか」と
そこまであっという間に行ったわけで…今は、すっかりご無沙汰です。
と言っても、ゼロになったわけではありません。
絞れた…といいますか、これはけっこう楽しい、というものは逃しまへんでぇ…です。
と、また長い前置きになりましたが、好きな作家さんが、新しい連載を始めたわけです。
波津彬子さんといいます。以前「雨柳堂夜咄」というシリーズを描いておられました。
これは「雨柳堂」という骨董屋の店主の孫、が主人公、人外のものが見えるタチで…
という設定で、古い道具類にまつわるあれこれ…。
この方の漫画は、設定が明治、大正、昭和初期、といった時期のものが多いので着物姿が多い…
で、心惹かれるという単純なアタシです。
今回の新シリーズが、その名も「ふるぎぬや紋様帳」、はい、古着屋さんのお話です。
こりゃみなければねぇぇぇと、買ったこともなかった、えぇと「月刊の分厚い漫画」を買ってみました。
厚さが3センチくらいあって、570円、安いのねぇ、と思ったけど、
一応全部目を通してみても、心惹かれるものは他にナシ、あらら高いものについちゃった…。
というムダもやらかしての「ふるぎぬや」…よかったです。
今回の設定は、新しい時代…まぁ現代、なのだと思います。
が、「ふるぎぬやさん」は、当然のように、そこだけ時間が止まったようなお店、
おまけに店がお客を選びますから、普通に行ってもたどりつけません。
で、店主は男性なのですが、女店員はおそらく「猫」の化身…。
というような感じなのですが、そこに若い女性が「おばあさんの形見の古着」を持ち込みます。
本人は、着物にまったく興味がなく、親が急に送ってきた祖母の形見の着物に大困惑。
「着ない、いらない、興味ない」…で、処分を考えた末の「ふるぎぬや」だったわけです。
とりあえず3枚持ち込みます。どれくらいで売れるかしらん…いいわ処分できれば…ですね。
このあたり、あぁぁ今みんなそうなんだよねぇ、と、ちょっとガッカリする気分。
たぶんこれは…私が「これ、おばあちゃんの残したグッチのバッグにエルメスの靴」
なんて渡された気分…いや、そんないいものはないけれど…
興味がないって、そりゃ分らないでもないのです。それでも「着物は別っ!」と思ってしまうのです。
結局、お店の中で「着てごらんなさい」と、半ば無理やり着せられた桜柄の小紋。
それはおばあさんが、初めてご主人と会った時の着物で、
出かける道すがら「好きな着物なんだけど、おかしくないかしら、似合うかしら」と気にしつつ、
約束の場所に行くと、未来の旦那様が「よくお似合いです」と言ってくれる…。
つまり、その時の「記憶」に彼女が同化する…わけです。
結局そのことで、彼女は着物を見直し、柳ごおりいっぱいの着物を、
やたら捨てられないな…と思うのです。
この女店員さん、3枚の着物を「これはいい振袖」「これはどうでもいいもの」と分けます。
この「どうでもいいもの」は捨ててもいい、というものではなく、お客にとって…です。
そして三枚目の「桜の小紋」を「これはあなたが着るべきもの」というのです。
本人は、着せつけられつつ、それが祖母の一番大切な着物であったことを思い出します。
女店員が言います「いい着物はいい記憶をもっておりますの」「持ち主が身にまとったものですから」
「着るべき人を選ぶ着物は、伝えたい思いがあるのですわ」…。
自分の着物のことを思いました。
幸いにも私は、まだ着物が着られていた時代を生きた母がいました。
貧しい時代の母の着物は、いいものはたった一枚、あとはペラペラの平絹やウール、
安物の銘仙、実家からの紬…それくらいでした。すでにほとんど残っていません。
少しずつ自分で買える時期が来て、母が買った着物は今でも全部タンスの中です。
私が嫁に出てからのものも多いですから、着ている姿は写真だけ…というものも多いです。
それでも、母が好きだったもの、思い入れがあると感じたものは、なんとなくわかります。
実は、母が一番好きだ、といっていた帯は、これも好きだった着物と一緒にお棺に入れました。
もしかしたら母は、あの帯は私に譲りたかったのではないかしら…と、
葬儀の後で思ったのですが、不思議と「そうではない、これでよかったのだ」という気がしてました。
逆に、母が生前にくれた着物で、大好きだと言っていたもの、これがどうも私の好みではなくて、
つい敬遠し、存命中に着て見せることはなかったものがあります。
その着物を見るたびに、どうも心のどこかがチリチリとするのです。こちらの着物。
たぶん、かの女店員さんいうところの「伝えたいことがある」のでしょう。
母がいつどこでこの着物を見つけたのかわかりません。私が結婚してすぐですから30年くらい前。
とにかく「このチェックのとこ、かわってるやろ、好きやねん」と、何度も言ってました。
染ではなく織りこみですから、かなり凝ったものなのでしょうけれど、私は「別にぃ」でした。
着ているところは、かなり汚い写真の再出ですが、こちら。
私、当時40キロくらいでガリガリ、着物があまってます。
母の思いは単に「一番好きやったから」なのかもしれません。
着物に限らず、モノを買うとき、それにはそれなりの背景があります。
お金がなくても無理して買わなければならなかったり、安いものだけど、大好きな人に買ってもらったり、
子供にせがまれて喜ぶ顔が見たくて買ったり、どうしてもこれは買いたいと強く思ったり。
それぞれのそのときの、自分の年齢、暮らしぶり、そばにいた人、起こっていたこと、
それと一緒に、その時の思いが「そのモノ」にしみこむ…というような。
母のそのときの思いはわかりませんが、見るたびチリっと感じるのは、
母がこの着物と出会った時のときめきと「いつかアンタに着てほしいねん」という母の思いなのかなと。
ふるぎぬやさんのような、「着物が伝えたいこと」を教えてくれるお店が実在しないなら、
自分で感じ取らなければ…です。
そして「私の次」を考えないといけません。
私は直で譲る娘がいません。だから、誰かにもらっていただくことになります。
大したものはないけれど、やっぱり「思い入れのあるもの」「大好きなもの」…
考えてみると、そういうものは、古着屋さんに引き取られずに捨てられたら…悲しいなぁです。
着物としてでなくても「絹」として、命をまっとうできるように…そんなことを思いました。
さて「ふるぎぬや紋様帳」、店主もハンサムだし???単行化されたら、買いますわぁ。
とんぼさんと同じ本が好きって、なんだかうれしい~
川崎ひろこさんて方の『衣(きぬ)ものがたり』というシリーズも好きなんですけど、これは単行本がないみたいで、いつもいつも雑誌を買うわけにもいかず…
副題?が「百枚のきものの物語」なので、百枚分書き終わったら出るのかなぁ(>_<)
川崎ひろこさん、ご本人もきものがお好きで、よく着て出かけられるようです。
確か、悉皆屋さんが出てくるシリーズもあったかと。
『雨柳堂夢咄』また読んじゃお(^。^;)
あらうれしい。私、波津さんの作品は、
古本あさって集めました。
外国のものも面白いですよね。
川崎ひろこさんのブログ、時々お邪魔してました。
「衣ものがたり」は、電子図書の方で販売してますね。
こちらのブログの左メニュー「電子コミック」を
クリックすると、出ます。
http://w-cup2006.at.webry.info/
大好きだとおっしゃるだけにお母様の着こなしは
さすがですね。
私は小人国出身者で小さい(笑)ので
お店経由とか人から直接、安く御譲り頂く事が
あります。
一度人出に渡ったものですが、ご縁があって
我が家に着たのだと、私なりに大切にと
思っています。
ただ、私は粗忽者なんで・・・f^_^;
それに、お母様から譲られたと言う着物。
羨ましいです(>w< )
祖母は元々、洋装の方が多く
戦争で生活の為、着物を売り・・・。
母は洋裁の人で着物はあまり着ず・・・。
私は、一からコツコツ、たまに痛い目みながら(笑)
着物を揃えましたから(>_<)
教えてくれる人がいなかったのですよね~f^_^;
実家に着物を着て帰ったら母から
苦しいでしょ、大変でしょ、早く脱ぎなさい
と何度も言われるぐらいでしたが。
最近は諦めたのか、何も言いません(笑)
そして、未婚の私の着物はどこにいくのやら(笑)
地が細かい絣だけに、ちょっと手順も手間も想像できません。
波津さん、初期から読んでます。
初めは20世紀初めアメリカとかもう少し古いイギリスとかが舞台のものが多かったのですが、途中掲載誌が変わって読まないうちに(和洋取り混ぜホラー系ミステリーを描いてたようです)、和物の割合がすごく高くなってました。
連載雑誌は買っても目当ての方以外はほぼハズレなので、波津さんに限らず気に入った作家さんの本がまとまったら買ってます。
そういう連載が始まっているとは、本になるのが楽しみです。
着物の衣紋とか、袖付けの背中側の感じとかきちんときれいに描かれていて気持ちよく見られるのですが、人物デッサンが気になって…というのが玉に瑕です。
マンガに出てくる着物姿は、おかしいところがたくさんあって、色々気になってしまうのですが、そういうところは安心して読んでいられます。
とても好きだったみたいで、これは着ているところを
何度か見ています。
グリーンのザックリした帯とか、合わせてました。
着なくちゃね、と思っています。
母は典型的な「京女」でしたので、着倒れ…です。
ほんとに着物が好きでしたね。
今までにも、私のところにいろいろきているのですが、
まだ実家にタンスが…。
体一つしかないのにと思いつつ、
楽しみでもあります。
次を考えるのは、ほんとに気がかりなことなんですが。
パッと見るとわからないのですが、
かなり手が込んでいると思います。
もっと細かく聞いておけばよかったと思っています。
波津さんのものは、中古でずいぶん見ました。
初期のころから少し下がったくらいの…からが、
好きだなぁと思っています。
顔がどれも同じ感じになるのは、まぁしかたないか、
と思っています。私はいわゆる「お目眼に星キラキラ」の
作画があまり好きではないので、波津さんの絵はすきです。
着物の絵がうまいと、なんかほっとしますね。