ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

帯締めのお話その2

2015-04-23 18:57:39 | 着物・古布

 

トップ写真は、私の手持ちの古本から。

昭和28年の「スタイル」臨時増刊号です。「スタイル」は、いわゆる「ファッション雑誌」。

戦前から戦後にかけて20年くらい発刊されていたらしいです。

元々は洋装中心だったらしく、同じ時代の着物本と比べると、ちょっとテイストがモダーンな感じです。

この着物もちょっと洋風な柄。着ているのは「岸恵子さん」です。

写真の精度が低いのでわかりづらいですが、ちと大きくすると…岸さんですね。

御年82才になられてますが…今もおきれいですね。

 

          

 

 

さて、「帯締め」のお話…

昨日も書きましたように、帯締め帯揚げは和服の中ではまだニュー・フェイス。

せっかくドーンと躍り出たのに、あれよあれよという間に戦争なんてものがあって、

着物は洋服に押しまくられて、忘れられかけて…という、艱難辛苦の時を過ごしてきました。

つまりは着物も帯も小物もひっくるめて「たいへんなめにあってる」わけです。

そんな歴史の帯締めですが、戦後ようやく、遠慮なく着物が着られるようになったのに、

今度は着る人が減ってきた…というわけで、和装に係わる人たちは、なんとか着物を絶やさまいと、

あれこれフントードリョクいたしました。ちょっとばかりドリョクの方向性が違ったりもしていましたが、

まぁ必死だったのでしょうね。

そんなわけで、帯締めにもいろいろ影響が…あったわけです。

 

まずは「帯締め」の太さをかえてみましたぁ…の図。

実は上の岸さんの着物も…

     

          

 

こちらは普段着物だけど…右は北原三枝さん、左は津島恵子さん。

 

                   

 

月丘夢路さん、こうなるともう帯締めというより…鉢巻き?

 

         

 

とにかく「太い」つまり「幅が広い」です。洋装のベルトを意識したのではないかと思います。 

太さばかりが目立って、今の感覚で言うと「異質」と思ってしまいますが…

いえ、正直私もずっとそういう感覚でした。ただ、改めて「帯締めの歴史の浅さ」を思うと、

この時代もずっと試行錯誤だったのではないかと思います。

 

太目が終わると今度は細め…目立たないアクセント程度でいい…でしょうか。

なにしろ「これでいいのよ」がないので、またまた母の言葉を思い出して書くしかない…

母は「お祝い事はおめでたく金銀太目でいい」と言いました。なにしろ母の若い時代は、まだ丸ぐけ。

ありましたよ「礼装用 白の丸ぐけ」、これですね。ちなみに小山明子さんです。

 

           

 

少し経って、それだけでは…と、結び目のよこあたりに出るよう金銀で刺繍をしたものもありました。

私の遥かな記憶のなかでしかありませんが。

母はその後、礼装用に白に金銀の平打ちの帯締めを買いました。

最近になって、また丸ぐけがいいなという方も出てきているようです。

ある質問で「披露宴に振袖を着るが、白の丸ぐけは花嫁さん以外ダメですか」というもの。

ほーらね、もうわからなくなっているわけです。

白、という色で引っかかっているのでしょうね。着物の白無垢はダメですが、白の丸ぐけはOKです。

ちなみにみつけたこちらは「赤の丸ぐけ」七五三でもみたことありません。印象が子供っぽくなりますね。

 

         

 

今の時代目立ちますから、白に刺繍とか今ならビーズ?、そんなのを付けてもいいんじゃないですか。

ただの白一色だと、最近はなんでも派手目ですから、さみしく見えるかもです。

 

それから40年くらいになると、今度は細めばっかり。

 

 

 振袖でもこんな感じ。礼装だというのに、普段用とかわりません。

やっぱりちょっと貧弱に見えますね。色も一色だったりちょっと組目が違うだけ。。

 

       

         

 

何でもそうだと思いますが、新しくでてきたものは、いろいろやってみて、

いったい、どれが、何が、いいだろ…というような「波にもまれる時期」がある…と思います。

ファッションって特にそうですが、最初出てきたときはびーっくり、その最たるものが「ミニ・スカート」。

ヒザっ小僧の見える服は子供の着るもの、という既成概念をいっぺんで吹っ飛ばしました。

若い人はステキと言い、大人たちは「なにあんな下品なもの」とツノをだし…でしたが、

やがて中年のオバサンまでがヒザを出すスカートを穿き始め、今度は若者から顰蹙をかい…

すったもんだのあげく、足されたり引かれたりして今に至ります。

つまり「いろいろあって、コナれて、定位置をみつけた」というところですね。

帯締めはかわいそうなことに、あれこれ出してみて「いんじゃない?」「へんよぉ」と、

あんまり言われないうちに「ま、このくらいで」と、あたりまえのところだけ落ち着いた感じ?

波にもまれる前に、水面は凪いじゃった…でしょうか。

 

今、帯締めについて言われてることってなんでしょう。

礼装用には、慶事なら留袖には白に金銀、訪問着や振袖には色が入ってもいいが、格調高いもの、

弔事なら黒一色か場合によってジミな色目、柄や金糸銀糸はないもの…でしょうか。

実際見に行くと「留袖用「振袖用」などは丸組なら太さがあるし、平組なら幅があります。

締めたとき、真ん中にどっしりで存在感があるわけですね。

これは着物や帯が豪華な分、それに負けないもの…ということです。

最近の振袖は、太い細いに関係なく「結び方をハデにする」ようになりました。

なので片側がものすごく装飾されていたり、細いものを二本合わせたりと、

そういう工夫で華やかにしていますね。

 

礼装にもし細いものを締めると、たとえいい色目の帯締めであっても、そこだけ貧弱に見えます。

また普段の小紋や紬に、やたら太いものや金銀がキラキラのものは相性がよくありません。

まだまだ帯締めの歴史は浅い上に、みんなであれこれ推敲することもなかった…

それでもここまできています。この後も、少しずつでもいろいろ考えていかれたらいいなと思います。

 

帯締めの素材は絹がほとんどですが、一時期ウール素材がありました。

太いのが多かったように思います。最近は化繊のものもありますが、正直「緩みやすい」です。

またファッショナブルに…と皮ひもとか、テープ(リボンのようなものとか)を使ったりもしますね。

なにを使っても自由だとは思いますが、「異素材」を合わせるときは、気を付けないと、

特に絹は摩擦に弱いですから、帯を傷めるとがあります。

しめるためにゴシゴシ左右に動かさないように、まず仮紐でしっかり締めて、

それから帯締めを位置を決めて当てるようにしてしっかり締めて結んでから仮紐を外す…をお勧めします。

 

またまたさして面白味のない記事になりましたが、帯締め帯揚げは大事なアクセント。

楽しみつつ気にしつつ、選んでください。

 

本日のおまけ…こんな画像を見つけました。

私の成人式のころは、帯結びはこの「ふくらすずめ」か「文庫」くらいしかありませんでした。

懐かしい…けどこのヘアスタイルは…やりすぎだわぁ。こまどり姉妹じゃないんだから…。

 

           


コメント (4)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 昨日は私の誕生日… | トップ | 帯揚げのお話 »
最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (ちあき)
2015-04-23 23:12:55
帯締め、難しいです。
以前、色で選んで使っていた帯締めが、格調高い組み方ということで紬に合わせるのはオカシイと指摘されました。
そこまではできないと思いつつ、その帯締めを選ぶのを躊躇してしまいます。
金糸銀糸が入っているのならわかるのですが、組み方と言われると・・・。
返信する
Unknown (古布遊び)
2015-04-24 07:20:02
帯締めにもこんな変遷があったのですね~

ベルトのような太い帯締めにはびっくり!
でも振袖に細い帯締めというのも、こうしてみると何やら違和感が。
難しいものだと思いました。
返信する
Unknown (とんぼ)
2015-04-26 15:58:00
ちあき様

そうですね。組み方まで全部わかる人は
組紐をやっていないと、いないとおもいます。
おおきくわけてなら、割と格の高いものは
「高麗組」とか「唐組」とよばれるものですが…。
それでもおしゃれ用に締められるものもありますからねぇ。
やはり「見た目」て゜判断ですかしら。
また丸組は、それだけでちと目立ちますから、
丸組なら細いもののほうがおしゃれ用にはあいます。
説明が難しいのでサイトを探しました。こんなところがありましたよ。

http://kimonolife.cho88.com/10gatu-obizime.html

ちょっと覗いてみてください。
返信する
Unknown (とんぼ)
2015-04-26 16:00:13
古布遊び様

こんな太いの…洋服にも使えそうですね。
やはり「限度」というものはある…と思いました。
面白く使えそうでもあるのですが、
今こんな太いの、ありませんしねぇ。

振袖に細いのって、違和感ありますよね。
でも、最近のあのなんかわからないくねくねのは
ナントカならないかと思います。
太目のモノを藤結び…くらいがシンプルでいいと
私なんかは思いますけどねぇ。
返信する

コメントを投稿

着物・古布」カテゴリの最新記事