ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

帯揚げのお話

2015-04-26 15:48:55 | 着物・古布

 

帯締めのお話をしたから…で、流れで帯揚げって、雑ですみません。

トップはあの「赤い丸ぐけ」の振袖。

 

帯締めと同じように、帯揚げの歴史もまだ新しいです。

この前のお太鼓のお話で書きましたが、帯締めとセットで使われるようになりましたから。

浮世絵を見るとよくわかりますが、帯揚が覗いている絵というのは

ほとんどないと思います。むしろおはしょりを後からつくったための「しごきひも」や「抱え帯」などが、

ひらひらときれいな流れで描かれていたりします。

時代小説は、当時の風俗もわかるものでして、例えば父親が貧しくて娘に古着の一枚も買ってやれない…

なんてセリフがあります。当時の庶民は古着が当たり前でしたから。

また「着物」は「小袖」といいましたし、若い男性が女性にプレゼントなんて話だと

「櫛でも買ってやんねぇな」なんてハッパかけられたり「半衿の一枚でもみやげにしようか」なんて言ってたり…

えぇ帯締め帯揚げはでてきません…。

 

そんな帯揚げですからして…まず最初は「それに使えそうなもの」が代用されていたようです。

これは商品になる…と作られて、やっと一般的になったのは明治も終わりごろ…と言われています。

なのでまたまた歴史が浅く、これも長さとか色柄もきっと試行錯誤…。

古い写真で帯揚げを見てみると、当初は割と「見せる」ように締めていた時期が長い感じがします。

こんな感じで、

 

 

礼装も普段着もおんなじ感じです。こうやってふっくら見せるためには、

帯揚が絞りであることが大切…なので、昔の帯揚げって「絞り」が当たり前でした。

絞りは絞ったところが白くなりますから、濃い色でも色が和らぎます。

なので若い人は赤やピンク、中年は薄緑やブルーなど、色でかえていました。

このあと、今のような絞りのないものに、ところどころだけ絞りを施して柄にしたものなどが、

少しずつ増えてきたようです。だんだん「帯揚げはやたらみせなくてもいい」…とかわったのでしょうね。

最近のもので絞りがあるものはほとんど見かけません。振袖用のモノだけみたいな感じ?

その振袖用でさえ、今は普通の綸子で金糸などが入っていたりのものが出ていますね。

帯揚の結び方も最近は変わりましたから。

昔の振袖は、ほとんどこれ…なにもしなくてもボリュームがでるので、

たっぷり見せて…で、特別に結び方は…結ぼうったって結べなかったんです、モコモコで。

   

       

 

例えばこれは「留袖」なんですけれど、まぁ、ほんとにこうだったんでしょうか。

袖の裏が紅絹ですから、それなりに古い時代とは思いますが、花嫁のおかーさんが「赤の絞り帯揚げ」…。

 

            

 

いずれにしても「絞りの帯揚げって、ボリュームでます。

私はせいぜい高校生くらいまでで、あとは母のお下がりの「ところどころちょっと絞ってある普通の」を

使っていました。嫁入りには絞りのものも持たされましたが、結局使わずじまいです。

ではここで、やってみましょう。絞りの帯揚げ、ふっくら出し結び。

 

まずは手持ちの帯揚げ。一番下が今のモノで実際使っているもの。

残りは全部「保管してある昔のモノ」です。

下から2番目のグリーンとその上のブルー、一番上のピンクは、絞りは入っていますが、

帯枕のあたる部分だけ絞りがありません。これは中抜き、といって、総絞りより格が下がります。

水色も中抜きですが絞り柄は細かいです。全部長さがずいぶん違うように見えますが、

実は下から二番目のものは、引っ張ると今のモノのサイズです。

水色は、今のものより7センチくらい短いだけ。絞って縮んでる分、短いんですね。

 

     

 

絞りの帯揚げは、引っ張ると伸びるので、ついつい引っ張りたくなりますが、それをすると

絞りが伸びて、ムリに引っ張ってるのが見え見えになりますから、適度に引っ張る…が大事です。

まずとりあえず「一結び」…短いのでもう一度結んだら、蝶ネクタイ…か?です。

 

            

 

そこで、絞りの帯揚げは結ばずに「ねじる」が基本です。

 脇のあたりがもたつかないようにきれいに整えてから、前で交差してねじります。

             

そのまま、帯と胴の間に詰め込みますが、このとき残りの長さも短いですから、

かぶさってる中にそのまま納めます。

            

 

矢印の中にとりあえず入ってます。上になったほうも入れますが、うまく下に隠しこむように。

うまく納めたら、前の「交差している点」をほんの少し回転(自分から見て前側に)して、

この写真で「てっぺん」になっているところが、正面を向くくらいの感じにします。

            

 

真ん中を押さえて落ち着かせますが、左右はそのままだとこんなですから、ここからきれいに始末します。

            

 

コツは、とにかく引っ張らないこと。元々絞りの凹凸があるのでからめただけで、どこも緩みません。

交差してから中に納めるときも、外側の帯揚げの中に、ゆるく詰め物をする感じでふんわりと入れます。

うまく隠したら、脇からきている部分や、帯の上にかぶさっている部分をきれいに整えます。

こんな感じ。

 

          

 

ちょっと上から見るとこんなです。 

 

                

              

これで、古い写真のように、前がふっくらして山二つ並べたみたいになるわけです。

若い人は山を高く、そうでない人は少してっぺんを押さえて…。

目立たせたくなければおしこんで…

               

                

 

絞りの帯揚げは、最初は粒々がしっかり立って、少しかたい感じがするのですが、

使い込んでいるうちに柔らかくなってきます。

今、絞りの帯揚げは、成人式と七五三用くらいしかありませんが、

古いものはリサイクルでたまに出ます。着方のバリエーションとして、1枚あってもおもしろいかもですね。

 

本日のおまけは、再々のアップ。帯揚げだけを集めて並べた「じゅばん」です。

使い込んでいて薄いので、裏は全面「木綿」です。あったかそうだけど重いです。

これだけ集めるのに、どれくらいかかったんでしょうかねぇ。

 

   

      

 

帯揚のはぎれでもじゅばんができる…着物って楽しいと思いませんか? 

というわけで、帯揚げのちょっとしたお話でした。


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8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (陽花)
2015-04-27 00:00:53
嫁入りにはなかぬきの帯揚げで今から
思えば短かったように思います。

帯揚げの始末、綺麗に決まると気持ち
いいけれど、目立つだけに難しくて苦手
です。

この長襦袢はすごいですね~
返信する
Unknown (なな吉)
2015-04-27 06:37:44
22歳のとき初めて着物をまるっと揃えたときの帯揚げが絞りのものでした。しかもピンク・・
中年になってからは全く使うことはないのですが
最近アンティークの絞りの帯揚げが気になっています。
単色ではなく別の色で柄が入ったものとか。
するとやはりそういうのは人気なのですね。
すぐに売れていますもの。

結び方参考になります。
お気に入りをゲットしたあかつきにはこの結び方やってみますね^^
返信する
Unknown (古布遊び)
2015-04-27 07:43:37
帯揚げは奇麗に始末をするのが結構難しく感じています。
これも練習でしょうか~

出ている面積は少なくても結構目立つように思います。
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Unknown ()
2015-04-27 09:44:25
とんぼさんの着物話、なんだかホッと致します。
いつもの・・・なじみの「とんぼさん」だなあと嬉しく拝見しています。
とんぼさんの着物話は、私の大事な教科書と言っても過言ではありません。


コチラもようやく9割近くの雪が消えて、春らしくなってきました。
なんとなくワクワクしますよ。

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Unknown (とんぼ)
2015-04-28 15:00:01
陽花様

昔のってみんなあれでしたね。
私も嫁入りのとき、赤とピンクを持たされました。

今のような帯揚げになってからは、
長いと始末がうまくいかないことがあって…。
なんか脇にグイグイ押し込んで、
あとで痛かったり…急いでやろうとすると、
うまくいかないものですね。
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Unknown (とんぼ)
2015-04-28 15:01:59
なな吉様

今は古着、アンティークでないと、
なかなかありませんね。
紬など、ちょっと硬い感じの着物には、
ふっくらしていいものなんですが、
現在の私だと…太目になりすぎて、
まっっったく寸法が足りないというキケンがありますー。
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Unknown (とんぼ)
2015-04-28 15:04:02
古布遊び様

目立たないけれど、となりに人が立つと
みえますからねぇ。手は抜けませんね。
帯揚帯締めがピシッと決まると、
自分でも気持ちいいですねぇ。

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Unknown (とんぼ)
2015-04-28 15:07:08
夢様

まぁそのように言っていただいて光栄です。
体の方は、なんとかなっていますが、
なにしろ「ほったらかして」おいた用事が、
順番待ちの行列ですがな。
ぼちぼちやっていきます。
どうぞ長い目で見てやってください。

こちらは今日は、夏の暑さで、
クーラー入れようかと思うほどでした。
春と夏がいったりきたり…
御身体気を付けてくださいね。
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