ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

この写真もcief様よりの借り物です。

2005-11-03 22:28:09 | 昔の道具・暮らし

この前の「櫛」のページにコメントをいただきました。
「くしけずる」という言葉についてです。
なんか「けずる」ってほんと、痛そう・・。
そのことは、漢字の読み方から・・ということではないかと思うんですが。
「けずる」というとホント、髪の毛ゴソッと抜けそうですよね。
でも実は「けずる」とまではいかなくても、その表現でいいんじゃないか・・
という思いをいだいたことがあるんです・・。

女性が垂髪からまた結い始めたのは・・というお話しを致しましたが、
江戸時代になると、世情も落ち着いてきてヒトは「身だしなみ」なんてことに
気を使い始め「日髪」というくらい、江戸の男たちは毎朝髪結床へ行って
髪を直すといわれたほど・・。回り髪結や女髪結というのもはやりました。
それほど裕福でない家では、母と娘或いは姉妹などでお互い手伝って
結い上げたようですが、基本的に「女は裁縫と自分の髪を結えて一人前」と
言われたそうです。
さて、ことほどさように「オシャレ」に気を使うようにはなりましたが
「結いなおし」はよくやっても「洗髪」は、さほど回数が増えたわけでは
ありませんでした。シャンプーなんてものもありませんし、
「内湯」のある家も少なかったし、湯沸かし器もありませんしねぇ。
「朝シャン」なんてのは、夢のまた夢・・。
となりますと・・ちょっとバッチイお話になりまして恐縮ですが・・。
鬢付け油を使ってますから当然ゴミやホコリもつきやすい、
洗わないから「フケ」がでる・・ということにどーしてもなっちゃうわけで・・。
で、髪結いの仕事は「結う」前に「メンテ」をしたんですね。
梳き櫛というのはとても櫛目が細かくできています。
これで地肌からよぉ~く梳かして、髪についた細かいゴミやホコリなどを
「梳きとる」わけです。同時に地肌のフケを掻き出す・・。
ホラ、「くしけずっちゃってる」気、しません?
こうやって掻き出したゴミやフケを、指に挟んだ2本の糸を使って
上手にとりました。まんま「フケしごき」といいます。
とまあこんな具合に、江戸時代の髪の手入れは「洗う」のではなく
「そーじ」をする感じだったんですね。なんかカユくなってきたかた、スミマセン

こんな風にメンテを終えて、やっと結いなおした髪に飾るのは「飾り櫛」。
柘植などの木地を生かして模様をほったものから、色柄をつけたもの、
贅沢なものだと「螺鈿」や「蒔絵」、素材も木だけでなく「べっこう」や
金属製のものなど、いろいろありました。

余談ですが、江戸中期の髪型に「櫛巻き」というのがあります。
浅草寺境内の「お茶屋」の女性が始めたといわれているそうですが、
まとめた髪を櫛を逆さにしてクルクルと巻きつけ根元を残りの髪で巻いた・・
という髪型です。ちょっと男勝り・・今で言えば「ボーイッシュ、マニッシュ」
というところでしょうか、そういう感じだったらしく、飾り櫛も簪も
ジミ目、あっさり・・ですが、飾りっけのないところがウケたようです。
それにしても毎日髪を結う・・めんどくさい・・今の時代に生まれてヨカッタ!
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