
写真は、こればっかりは実物ないもんで、なんと「息子の初節句」のときのもの。
冑一式買ったら「おまけ」でついてきたんですと。
3歳くらいまでは実際に着られました。
さて昨日の「洋服へのリフォーム」で、いつもお越しいただく
萬屋千兵衛様が「陣羽織」のようだと言ってくださって・・。
いわれてみれば・・ですね。ただ正確に申しますと、
陣羽織は「突合せ」ではありませんで、羽織という名のとおり、
前はあいておりまして、紐結び、もしくは大仰な「とめもの」でとめてあります。
資料としての写真にはことかかないのですが、著作権などの関係もあり、
こちらでは載せないことに致しました。
元々「羽織」の前に「胴服」というものがありまして、
これが羽織の元となったと言われております。
要するに着物の上に着る「上着」ですね。
戦国時代にはいりますと、戦場で陣を張りそこで過ごす時間が長くなります。
防寒などの目的で、最初は普通の羽織を着用していたようですが、
だんだんハデになってきました。具足羽織、陣胴服などとも呼ばれています。
陣羽織で現存するものを見ると、実用的なジミ目のものもありますが
ほとんどが「ドはで」で本当によく目立ちます。
「赤」や「黒」「金」などが多く使われ、見事な刺繍とか織物とか・・。
ほとんどが袖なしですが、広袖などの袖つきもあります。
デザインも勇壮なものとか、奇抜なものが多く見られますが、
これは当時交易のあったポルトガルやスペインからはいってきた
「ラシャ」や「ビロード」などの新しい素材とともに、デザイン的要素も
南蛮的な意匠を取り入れたものと言われています。
「赤」「金」という色は、元々「高貴性」を持つ色で、
平安時代などは、ある種の位になければ使えない色であったりしました。
戦場において、とにかく鮮やかな赤や金を使い、派手にしたのは
まずは「目立つこと」そして「威厳」であり「身分」の象徴でした。
思うに、戦場などで目立てばわざわざ「ここに大将がいるよー」と、
知らしめているわけです。何も命の危うくなるようなことなど、
率先してするこたぁないだろうに・・と、私なんぞは考えてしまうのですが、
武士道においては隠るることこそ恥・・だったんですね。
戦の方法そのものは、そのやり方も使う道具も規模も、
年代が進むに連れて大きく様変わりしていったわけですが、
戦場において潔くあることは、ずっとかわらなかったのです。
かつて「名のある武将」同士は一騎打ちをしていたわけですが、
それが入り乱れての合戦になっても、互いにだれであるか、
どちらのものであるか、旗指物をつける、見事な鎧兜で人目をひく、
互いに名乗りあう、極めつけは「誰が見てもそれとわかる陣羽織」、
「大将たる我はここにあり」と知らしめて戦う、
それは武士としては当然のことだったわけです。
よく時代劇などで「武士の恥」とか「一門の恥」とか「○○家の恥」とか
そういう言葉を聴きます。町人にあっても「顔がたたねぇ」とか・・。
かつて新撰組では、背後から襲われてケガをした場合は「士道不覚悟」として
襲われた本人も罰せられたそうです。
日本人は「恥」ということをとても深く考えた国民であったと思います。
それはとりもなおさず「誠実」とか「実直」とか、
それが大切である・・・と考えていたということで、
恥をかかされたり、疑いをかけられたりしたとき、
自分に非がなければ「命」をもってこれを知らしめたり、表したりしました。
私の親も世代的に「世間様に恥ずかしくないように」・・ということを
よく申しました。何か悪さをすれば「世間に顔むけできない」とか。
そういうことは、とかく「世間体ばかり気にして・・」ととられがちですが、
根底にあるのは「潔くあれ」ということなんですね。
世の中一人で生きているわけではない、人に迷惑をかけないように
まじめに生きていきなさい・・ということが、ひっくり返せば
「恥を知れ」・・・ということなんですね。
昨今のさまざまな事件・事故を見聞きするたびに、その「恥」を
どう考えているのか・・と思うことが多いです。「士道不覚悟」の多いこと。
さて、失敗が多くて実は恥かき人生のとんぼ、えらそーなお話はこのへんで、
今日のおまけは、またまたカンタンソーイング。
こんなちびちゃい帽子がでてきました。もう薄汚れてまして・・。
いわゆる「チューリップハット」です。
2歳くらいのときのものです。じんべと一緒に作りました。
かぶっているのは息子のトモダチ「ゴロンくん」です。


帽子っていうと「難しい」と思われがちですが、普段用のこういうのは
小さくて手間がかかるだけで、むずかしいことはありません。
頭囲を①として、帽子のフチのところからテッペンまでを②とします。
①を6等分した寸法を横に取り、中心から直角に上へ②を書きます。
①の両脇から直角に3~4センチ、線を書き、その頂点と②を結びます。
その間を自然にカーブさせます。

この下に好きな分だけ「フレア」を入れるわけです。
広げればフレアが強くでますし、直線で伸ばすと単なる「折り返し」になります。
この形を6枚縫い代をつけて裁ち、それを2組作ってぬいあわせるだけ。

後ろ側を持ち上げて、ボタン止めしましたが、
これは息子がまだ小さかったので、私が首のうしろに手を添えることが
多かったため。そのまま下にさげておけばチューリップハットです。
浴衣の残りとか、紬の残りとかで帽子を作っておくと、ちょっと重宝です。
これは一番めんどうのない基本形、その他帽子は考えるよりカンタンです。
ただし、ドレスにかぶるようなのは・・できまへーん。
そうして起こすのですか・・・
又一つ勉強になりました。
それにしてもとんぼ様は本当に
何でもご存知と感心しています。
子供のものを作ることで覚えたんですが、
私のはいつもけっこう「荒技」ですー。
あっズレちゃった・・なんてしょっちゅう!
いい加減なんですよ。
しかしこの恥の文化、最近は識字率が低下(?)しているためか電車で携帯通話はするわ車椅子マークの駐車スペースに健常者は止めるわで情けない限り・・・じゃあ「車椅子ステッカー」を貼れば良いじゃないかと北関東エリアでは若者がこぞってステッカーを貼るという有様。いやはや日本の文化はどこまで消えていくのでしょうか。
おっしゃるとーり、そのとーりですっ!
私、横浜から新宿までの電車内で、初めて「化粧する女性」を見たんです。むかっ腹たって、降りるとき一言いってやろうと思っていたら「まずはファンデーション」から始まりアイメイク、頬紅、そしてルージュ、で全部きっちりしまって最後にフレグランス、手にしたカーディガンをきっちりきてたちあがったところで「しんじゅく~しんじゅく~」あまりのピッタリさに、お見事・・と見送ってしまいました。世も末じゃ・・。