
写真はおとといの「洗い張り済み」状態の写真、真ん中のもの。
糸を解いて広げてみたら「紬の羽織」でした。(黒い線は折りたたんだ影です)
なかなかの状態です。縫い直せば着られます。
近くで見ると、いろんな色が入ってます。

さて今日は、メンテの面からさらにちょっと突っ込んで…。
以前にも何度も書いていることなのですが、
着物はこの50年くらいの間に「日常着」から「特別着」になってしまいました。
その経緯については、いずれ着物の歴史みたいなお話の中で…と思っていますが、
とりあえず、いつのまにか、しかもかなりのスピードで、
普段着物が姿を消したわけで、それと同時に着物の知識や決まりごと、
着方、作り方、しまい方、その他モロモロ、着物に関することが、
みんな影が薄くなり、知っている人が少なくなってしまいました。
そんな中で「じゃあお話するけど着物ってこーなんだよ」と言っても、
「ああそうか」とわかっていただけること「じゃあそうしよう」と、
すぐにやっていただけることは限られてきます。
昨日のメンテもそうですが、それじゃそのように…と思っても、
できることとできないことがあり、しかもお金がかかる…。
じゃどーしたらよかろ…ですねぇ。
一番手っ取り早いのは、昔のように「当たり前に和裁をする」なんですよ。
自分で縫えさえすりゃあ、あとは手間を惜しまなきゃいいだけのハナシですから。
しか~し、んなことカンタンにできるわけがないっ!
今、和裁を習ってらっしゃる方、がんばってくださいね!最後までっ!
和裁を習うにも時間とお金がかかります。人それぞれ事情もあります。
親とか身近に教えてくれる人もいない、となればあとは「自習」、
そうはいってもなかなか…これは、私自身のことでもあります。
私は母に「単もの」までは教えてもらいました。
しかしモノを習うというのには条件があって、それこそ「好きこそ物の上手なれ」
そのときたいして興味がないのに、ムリヤリやらされるのは、
アタマへの入りようにも差が出ます。私がそうでした。
着物は好きでしたし、習っておけばのちのちの役に立つとわかっていながら、
反抗期だった私は、母がオニのよーな顔でしかるのと、何かにつけ
「なんでこんなことがでけへんねん、おばーちゃんがよぅ言うてた、
みんな腕は2本、指は10本、おんなじだけしかあらへん、やったら出来る」
そーはおっしゃいますがねぇ、器用不器用、カンのよしあし、
性分、好き嫌い、ついでに「教える人のセーカク」、それもみんな
「腕2本と指10本に集約かいっ!」と、まぁ反発しまして…。
今はもう、母自身が年をとってしまい、手取り足取りは無理な話。
結局これからやるなら「本」にたよるしかありません。
すみません、自分の内輪話をズラズラと…。
自分のハナシはともかく、そんなわけで和裁というのは今日習って
今日できるというものではありません。それでも私は着物を着続けるなら、
私も含めて「やったほうがいいんだよねぇ」とは思っています。
さて、私事の余分なハナシが長くなりましたが、要するに今の時代、
着物のメンテについていうなら「和裁ができない」というのが、
一番のネックです。しかし、できないものはしょうがありません。
では、そういう状態でどうしたら少しでも、かかる費用を少なくできるか…、
洋服で暮らすように、気楽に着物ライフを楽しめるか…、
それを考えてみたいと思います。
まず、単純なハナシですが「汚れないように、傷まないように」という努力。
これは、実は小さなことですが昔の人はみなやっていました。
たとえば「こまめに着物を着まわす」、靴でも何足か用意して
毎日違う靴を履くと長持ちする、といいます。着物もその手が使えます。
着たあとのメンテを十分にする。これもご承知のことですが、
ハンガーにかけて風をあて、ホコリを払い、余分についたシワはとっておく。
アンティークものの場合は、買うときに布の弱りをよく調べておくことです。
あとは、たとえば単のときは居敷あてがついていなければ、
つけたほうが背縫いの腰から下を布の伸びや弱りをカバーしてくれます。
裾には、ガロンテープをつけるのも、着物の汚れと傷みの保護になります。
今はガロンテープというより「ガロンリボン」というそうですが、
昔の着物にはよくこれが縫い付けてあります。
いろいろ華やかな柄のものや、織のかわったものなどがありますが、
無地で、八掛と同色のものを裾ギリギリに縫い付けます。
着物の前が返ったときに見えますから、それがいやな場合は、
後ろあたりだけとか、右前からグルリと回って脇縫いか
左前の途中までくらいでとめておけばよいでしょう。
昔の着物はほとんどグルリと縫い付けてあり、さらには袖口にも、
というものもあります。一番汚れるところ、擦れるところですから、
そういうガードをかけておくのは、よい方法だと思います。
それから、長く着た着物は部分的に傷みます。
その人の生活や仕事によっても違うのですが、
たとえば私は毎日息子の世話とシゴト、という一番多い動きで、
左のひざをつくことが多いようなのです。ズホンももんぺも、
木綿ものだと2年着ると左ひざだけが抜けるのです。
デスクワークをする人は袖口から下、たくさん歩く人は後ろ裾、など、
それぞれ一番負担のかかるところは、特に注意してガードするか、
たとえばこの前の「ツギアテ」じゃありませんが、
先に薄く裏打ちしておくなどのガードもいいかと思います。
最近は、とても薄い接着芯などもでていますから、
便利なものは利用して、傷む前のガードをしておくことも大切かと思います。
さて、だらだら書くばかりではまとまりませんので、
ここから先はまた明日続けることにいたします。
明日は、着物の中のほうのことなど…の予定です。
本日のおまけ、息子が昨年施設でもらってきた「プリムローズ」
手間もかけてやらなかったのに、つぼみもたくさん出てきまして、
今日最初の花がひらきました。まだひらききってませんで、バラみたいですね。

更に数軒先のおうちの大きな「こぶし」、電線を越えてそびえているのですが
この暖かさで一気に咲き始めました。ちょっと遠いのでボケてますが。

あらまぁ春やねぇ…と思ったのですが、そのときの西の空はこんな色、

風がびゅうびゅう…でもって今は雨、春の嵐の予報は
バッチリあたってしまいました。
これで明日は冬に逆戻りだというんですから、やっぱり三寒四温。
春になるまでには通り過ぎなければならない道なんでしょうねぇ。
私も若い頃に習ったのは、のしをつけて返しました。
その頃はいやいや習っていたのですから、頭に入るはずもなし・・・それから20年以上も経ってから
お友達が「教えてあげるから縫い」の一言でまた始めました。今、何とか縫えるようになったのはお友達のお陰と感謝です。
手持ちの着物が 全部自分サイズに仕立ててあるわけではないですし なかには糸が弱ってしゃがんだときに切れたり・・・なんてことはしょっちゅうですから。
イヤがうえにも針を持たないワケにはいかなくなってきます。
和裁の最後まで・・・というのはよく分からないんですけど 礼服や晴れ着はプロの方にお任せすればよいと思うのです。
普段着のメンテと襦袢が縫えたら上出来かなーと自分では思ってます。
でももっと若いうちからやってればよかったーと思います。
色も黒系が多いので糸目も見えず
と言い訳しつつ
実は単ぐらい縫えるようになりたいとは思っているのです。
やっぱりキモチ、それと先生も!
「バサマせんせ」はほんとにうるさくて怖かった!
自分ができるから、まだるっこしかったんでしょう
それと娘だから遠慮がなかったんでしょうね。
陽花様は、いいお友達がいてよかったですねぇ!
私のとこもきてほしい~~。
M様
「和裁の最後」というのは、今ご自分が
目標になさっているところ終わりまで…
という意味なんです。わかりづらくてすみません。
母や祖母の和裁は、農家でしたから、
家族全般の着物と野良着でした。
伯母は家族中で一人だけ和裁の先生に習ったそうで、
袴まで縫えたそうですが、2回くらいしか
縫わなかった…と言ってました。
着物まで縫えなくても、きものに針仕事は必須だと
私も思っています。そのあたりのことを
明日書く予定ですので!
恵様
眼は!だいじですぅ~~。
老眼が進み、おまけに片方だけひどい乱視!
めがねがないと、なんにも見えません。
夜の解きものは黒はだめですねぇ。
大事にしましょう!
だけど、皆が皆、理解力もあって、手先が器用な人ばかりではなかったはず。中には私のように不器用でワカランチンな人もいたはずなのに、それでも、みんな着物は縫っていたのだから、きっと私もやればそれなりに出来るに違いない、と、不安を振り払いながら、けなげに頑張っています。浴衣、夏には仕上がるのだろうか・・・と思いつつ。(ああ、涙
ウール単衣、完成目前です。
単衣1枚縫っただけでも 毎日目から鱗でした。
肌襦袢、ウール単衣ときまして、次は嘘つき半襦袢と裾よけみたいです。着付け教室グッズがあるので、これは着そうもないんですけど、場数踏むとそれだけ上手になるので、後で縫う着物の仕上がりも違ってくるかなぁと思いつつ、竹仙の浴衣地なんぞ妄想中。
着物って直線縫いが多いからこそ、きちんと縫わないといけないなぁと思います。
ほんとにねぇ、裁縫に限らず、洗濯機も掃除機も
何もない時代、全部手仕事でこなしていたんですよね
昔はいやだといってられなかったんでしょうね。
麻の葉様もがんばってください。
編み物なんかも拝見しましたけれど、
とても器用でいらっしゃいますよ。
浴衣楽しみにしてますからね。
りこ様
ぼちぼち、でも完成間近、すごいじゃありませんか。
場数踏む、ほんとそうなんです。
経験はうそつきませんからねぇ。私のように
続けてないものは、やるたびに四苦八苦です。
がんばってくださいね。