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ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

八掛のおもしろみ

2009-01-06 05:32:54 | 着物・古布
今回出す「留袖の共八掛」、鮮やか~~ですね。

今回ホムペアップ用の着物、時代的にちょびっと前の小紋があり、
八掛がぼかしでないものがあります。というよりそっちのほうが多い…。

最近の八掛は、小紋にはぼかし、紬には無地、というのが
当たり前みたいに言われているんですが、実はそんな決まりはないんですよね。
原則で言うならば、ですが、染の着物と織の着物の八掛の違いは、
そのまんま「染の八掛か織の八掛か」です。
つまり今で言うなら「ぼかし」の八掛は後から染めたもの、
紬の八掛は、先に糸を染めて織ったもの、です。

なんでそう分けたか…。まぁ当然着物の格、なんてこともあるんですが、
なにより昔のちりめんは、同じちりめんの八掛をつけなきゃならなかったんです。
モーレツに縮むから…。手持ちの大正から昭和初期のちりめんの着物には、
おんなじような、シボの立った無地のちりめんがついています。
このころの縮緬の縮むことといったらものすごいです。
まぁそれだけのシボを立てるにはそういう糸を使わねばならなかったわけです。

えーと「ちりめん」については耳タコでのお話になりますが、
ざっとお話ししますと、およそ「ちりめん」と名のつくものは、
みな「強撚糸」と呼ばれる、強い撚りをかけた糸が使われます。
糸ってグリグリ撚って行くと、丸まりますよね、そして元に戻ろうとする…。
それを引っ張って糊で固めた糸を使うわけです。
通常ちりめんの場合は緯、お召しは経糸に使われます。
この撚りの強い糸で布を織って精錬すると、余分なものがとれて、
糸は元のとおりに縮まります。これがシボとなってデコデコするわけです。
シボがちいさければ「デコデコ」ではなく「ザラザラ」になります。
お召しなんかはそうですね。決してツルツルではありません。
手触りがけっこうツルツルっぽいちりめんが「錦紗」と呼ばれるものです。
同じように強撚糸を使っているにもかかわらず、たいへん細い糸を
緻密につかっているため、ちりめんでありながら、表面はなめらかです。
でも、羽二重や平絹と触り比べてみると、やっぱりツルツル感が全然違います。

さて、こんな布ですから、水に濡れると思いっきり縮んで硬くなります。
だから伸子張りや、湯のし器で伸ばさなきゃならないんですね。
鬼シボの伸子張りは、ほんとに疲れます。
そして濡れるだけでなく、湿気でも縮むんですね、これが…。
つまり、着物に仕立てて湿気の多い場所や雨の日などに着ると、
表が縮むのです。だから裏も同じように縮んでくれないと、
裏だけたぶる、つまり袋状になって垂れ下がったり飛び出したりするわけです。
古い着物にもたまにあります、たれてフキというより額縁みたいになってる…。
そんなわけで、表の素材と裏の素材を合わせることで、
着物の変形を防ぐ意味があったわけです。

今のちりめんは、昔のものほど縮みません。全然じゃありませんけどね。
昔のものって、5センチとか7センチとか見事に縮んでくれますから、
それに比べれば、裾がダブンダブンに飛び出るなんてことはないわけです。
割と平らっぽい一越とかしなやかな梨地が好まれるようになりました。
それで最近は、同じちりめんですけれど「パレス」と呼ばれる、
今ドキの錦紗を使っています。紬はもともと縮みませんから、
普通の平織りでいいわけです。手触りも違うし、ハリといいますか、
そういうものも違います。でも、使っちゃいけない、はないんですよ。
もちろん表地と裏地の相性というのはありますから、
裏のおかげてきづらい着物にならないように選ぶべきではありますが、
たとえば、私の白紬は柄が黒なので黒い八掛をつけたかったのですが、
白は表に色が写りますから、パレスの黒のぼかしをつけてあります。

また、染だから、小紋だから「ぼかし」でなければならない、もありません。
表地が薄めの色で、濃い八掛をつけると表に響きそう、
というときはぼかしを使う…でいいわけです。
例えば今度出し薫物がそうなのですが、黒系紺系の小紋などでは、
表がきっちりはっきりですと、ぼかしの八掛は少しインパクトが弱まります。
そういうときは、全部赤とか朱色とか、そういうものをつけてもいいわけです。
八掛なんてほとんど見えないようなもんなんですけどね、
でもイメージが違うんですよ。
ちょっと色つけてみました。


     
     


いかがですか?ぼかしはやわらかい印象、になりますね。
表地の色と柄が濃くて、着物としてきっぱりとした印象ですから、
無地をつけたほうが、主張が強くなる気がしませんか?

八掛は、ほんの少しずつしか見えない部分なんですが、
実はとても大事なところなんですね。
手を抜かないで決めていただきたい部分です。

実は徹夜のまま書いております。ちーとアタマがまわらなくなってきました。
もう少し八掛を含むファッションについて書きたかったのですが、
息子もやっと寝てくれそうなので、私もこれからおやすみなさいです。
続きはまたにいたしましょう、本日これまで…

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6 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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Unknown (陽花)
2009-01-06 10:05:32
八掛って本当にわずかしか見えないのに
着物の雰囲気が随分変わりますね。
写真の加工をして、こうして見せて頂くと
よく分かりますね。
それにしても、まだ徹夜が続いておられる
ご様子、くれぐれもご無理なさいませんようにね。
返信する
なるほどぉ (えみこ)
2009-01-06 12:21:31
見えてないようで…目立つのですね。
勉強になります。着物が落ち着いていても
八卦であ~もしかしてお若い頃にあつらえたのかな?
なんて思う事があります。体をこわされては、なんにもならないので、どうかおだいじにされtくださいませ。
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Unknown (とんぼ)
2009-01-07 00:44:36
陽花様
ははのをそのまま着たりすると、
あれって思ったりします。
狭い範囲だけど大事なところですね。

徹夜、きついですわー、昼間寝てます。
返信する
Unknown (とんぼ)
2009-01-07 00:46:20
えみこ様
一枚の着物を長く着ることができるのも、
八掛が一役買ってるんですよね。

眠いのはがまんなりませんねぇ。
がんばりまっす。
返信する
Unknown (さくらこ)
2009-01-08 16:13:18
ぼかしの八卦は
戦後、白地の小紋が流行った時から
小紋=ぼかし八卦、の図式が出来たみたいですね。
柄八卦も面白いですが
あまり八卦に凝ると帯との相性が
難しくなることもあるので
まずは無難なものを・・・
着物の数が増えてから
八卦で遊ぶようお薦めしてます。
返信する
Unknown (とんぼ)
2009-01-08 22:20:55
さくらこ様
洋服のコーデはじょうずなのに、
着物になると…というのは、ありますね。
私などは八掛で遊びたい年になってますから、
シャレた柄八掛を探しているんですが、
なかなかありません。
着物の数が増えてから…そうですね、
お若い方は、人の着物を見ることからも、
学べるのではないかと思うんですが、
着てる人がいやしない…!ですねぇ。


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