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ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

着物をたたむ…について

2008-10-31 14:38:18 | 着物・古布
昨日は、お見苦しいものにもかかわらず、
手をフリフリしてくださる方までいらして、とんぼ感激しておます。
ありがとうございました。私も振ってますよぉ~!
写真というのは強いもので、ここうして画像を見ていただきますと、
こうやって書いていることも、あっあのとんぼが、あのカオで、
小首かしげながら手ぇふりふり説明しているんだ
なんぞとご想像いただけるのではないかと思います。
そのとおりでございますので、今後ともよろしくお願いいたします。

さて、着物をたたむ、ということですが、
昨日いただいたコメントで、衿のY字がハッキリしない場合…
というお話しがありました。本来きちんとたたんであれば
「最初の線」がありますが、古着をいただいたり買ったりした場合、
留袖や振袖などは、きちんと畳まれていることが多いのですが、
小紋や紬などは、雑に扱われてくしゃくしゃ…なんてこともあります。
衿の線のみならず、背縫いが3本線、なんてゴーケツにもお目にかかったりして。
そういう時は、まずアイロンで余分な線は消してください。
また折り線がなくなっていたり、ハツキリしない場合は、新しくつけるわけですが
衿を含めての新しい線、これは「折れるように折る」でしょうか。

昨日の動画で「撮りなおし」をしているのですが、
そのひとつの理由が、私が使った「なぞえに」という言葉でした。
曖昧でわかりづらいのではないかということで、本編では使いませんでした。
「なぞえに」というのは、今のお若い方は使わないかもしれませんが、
「そうなるように」というイメージでしょうか、或いは「そろえて」とか、
「自然に揃うように、添うように」というような意味合いです。
この衿の場合もそうでして、ずーっと畳んでいくと、
その形だとこうなっていく…というライン、といったらいいんでしょうかねぇ。
着物になれた方なら、何気なく気にもせずにやっておられると思いますが、
言われて気にしてみると、どこが基準だ?という感じ…。
ちょっと調べてみますと、着物の畳み方は載っていても、
衿の部分をどうしてそう折るのか、とか、どうするのか、
細かく載っているところが見当たりませんでした。
ようするに「なぞえ」にしていきゃそーなる…。
じゃなぞえってどーよ…しつこく追求したくなるのがとんぼ流です。

まず、結論めいたものを言いますと、要するに「背縫い」を優先に折っていって
あとは衿のところでどう折り合いをつけるかってことなんですね。
写真を並べてみましょう。銀色は三脚のアシです、アシからず…。


たたんだ着物を衿部分をひらいたところです。
こんな感じになってますね。赤で書いてあるのは、この着物の衿のYの角度。
正確にはVですが、背縫いの折れ線も含めて「Y」にしています。
   

それでは、衿をまっすぐにきっちり折れるようにたたんでみましょう。
   

こうすると、衿のY字はどうなるかといいますと、こんなに角度がつきます。
   

別にこれでもいいわけなんですよね。着物には、暗黙のルールがあります。
つまり「ついていてもいい折線」です。袖の真ん中に横一本折線があったら
それはちっとみっともないですからアイロンしますが、
肩の折線はそのまま着ても何も問題ありません。
この衿のYも同じで、ついていたらアイロン…ということはありません。
むしろ「きちんとたたまれていたものだ」、ということですね。
このYが深い浅い、ということになるわけですが、
それが「背縫い優先」で、背縫いの線をできるだけ衿に近いところまで折る、
衿との兼ね合いで、少し手前でY字になる。というわけです。
衿につく折線を衿に対して直角にしようとすると、Yが深くなります。
ななめにすればするほど、Yは浅くなります。
この「浅い」方がかっこいいんじゃないか、ということですね。
ものによっては、このYの真ん中は「紋」のくるところですから、
紋の位置との兼ね合いも「見映え」ってのがありますね。

女物は「繰越」というものがあります。だからよけいに畳みにくいのです。
ここですね。
   


繰越は裁断上はカーブしていないのですが、着物が縫いあがるとカーブします。
まず、背縫いをできるだけ上まで持っていって、この繰越を浮かないように
そして衿を収めてきちんと収まるところ、つまりこれが「なぞえ」なわけですが
そうやっていってきちんと収まるところが「Y」の位置ということになります。
Yのラインが消えてしまったり、いくつかついていてハッキリしないときは、
「背縫いを上へ」「くりこしを押さえて自然におさめ」
「そのまま衿の折れるに任せる」ですね。

以前着物初心者に「名古屋帯の畳み方がわからない。
半分部分を重ねていくと、片側だけもりあがってしまう」
といわれたことがあります。知っているものには何てことないんですが、
やはり初心者には「理由」から話さなきゃわかりませんね。
その帯は古着の名古屋帯でもういろんな畳まれ方をしていたので、
「元の折線」をたどれなかったのです。
「教えてもらう」という機会のすくなかった今の着物ビギナーさんたちは、
本当に一からなんですね。がんばってほしいと思います。

では、本日のおまけ、昨日の着物です。28年前…。
作って間もないころに着ました。半衿もピンク系、帯揚げ帯締めもピンク系、
帯は白地で裏は紺の腹合わせ…あぁなんてホソいんだーー。
このまま今着ようってことが…マチガイだった…。


   



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14 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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Unknown (つる)
2008-10-31 15:23:26
こんにちは。毎度 楽しく学ばせていただいております。
さて昨日の動画を拝見しましたが、今後の動画予定にリクエストをしても宜しいでしょうか!実は着物関係のお店で週2回のバイトを初めて1年近く経ちますが、未だに「立ったまま」着物を畳むことが出来ません。上手な方は立ったままでさささっと畳まれるのですが、私は苦手です。大島の様にハリのあるものは良いのですが、錦紗の様に柔らかい生地は途中でグニュグニュになってしまいます。とんぼさんなら何かコツをご存知じゃないかと思いました。もしご存知ならば是非是非ご教示願います!!

お召しのお着物、28年前も現在もよくお似合いです! 同じ着物を年齢とともに上手く着こなすお手本のようで見入ってしまいました。私もこんな風に着物を着こなせるようになりたいと思います!
返信する
全身のおすがたも^^ (えみこ)
2008-10-31 15:51:36
いいですね~^^ますますファンになりそうです。
下のお写真を見て、着物のすばらしさを再認識しました。
どこの世界にン十年前の衣装を持ち越して着る事ができる
ものがあるのか、やっぱり着物はすばらしい!
返信する
Unknown (うんちく)
2008-10-31 17:17:44
衿の折れ線の質問は実に的を射たものでした。
僕もこの線のあるもの、無いものが混在してい
まして、今は線をつける様にしていますが、衿
そのものが分厚くて処理に難儀しています。し
かし、この衿の後ろの線は非常に「美しい」と
思っています。これが無いと着物じゃ無いと思
うくらいに惚れこんでいます。
「なぞえ」ですが、俳句では「斜面」のことを
さす言葉として時々登場します。俳句独特の言
葉かと思っていました。目から鱗です。
(土手のなぞえに彼岸花 など)
28年前の写真は誰かと思いました。現在着て
おられる着物をどなたか若い方に着させて写真
を撮ったのかと思いました。昔も今も良くお似
合いです。

返信する
Unknown (ゆん)
2008-10-31 20:19:10
こんばんは~

 電話でも そうなんですが、画面のとんぼさんにも「あ、こんにちは~。」って頭下げてしまいますねぇ。ザ・ジャパニーズ!

 全身写真、袂から襦袢がのぞいて素敵ですどんなは着物を合わせはるんかな~。

 名古屋帯の畳み方はいつも「え~っとえ~っと」です。古着が多いので、それぞれの折り線を辿って畳んでます

 学ばないかんことがいっぱいありますけど、一つ一つ順を追って、続けていきたいです。

 
返信する
Unknown (陽花)
2008-10-31 20:37:46
とんぼ様の全身着物姿すてきです!
お若い時の着物がン十年経っても着られる
やっぱり着物はいいですね~。
畳み方の衿の部分、間違っているかもしれませんが、V字になる部分は繰り越しを5分にすれば5分、7分にすれば7分に比例しているように思います。繰り越しを何分にしているのか
このVを見れば分かる・・・と思うのですが。
返信する
すてき~。 (武者子)
2008-10-31 22:03:56
とんぼさんはやっぱり美人さんですね~。

昨日の画像、とんぼさんや着付の先生が着物を触っている時の手付きって、本当に無駄がないと言うか、余計な動きがないというか、美しい手さばきに惚れ惚れしちゃいます。

拝見してるとすっごく簡単にできそうな気がしてしまうんですが、実は自分でやってみるとあれれ?っていうコトが多いんですけど・・・。

っていう私は、もうすぐ成人式の着付のお手伝いなのです。
いゃ実は、今回はどうもお手伝いだけじゃ済まなそうでびくびくしてるんですけど、いつか無駄のない美しい手さばきで着付けられる日を夢見てがんばります~。
返信する
肝心な所よく分かります (otyukun)
2008-10-31 22:40:31
見事に良く出来た動画でしたね。
しわくちゃになったきものの衿を揃えるのが難しかったのですが、今日のレクチャーでよく分かります。
昨日の動画と今日の教本をまとめて一つの教本として動画にまとめて頂ければ重宝します。

若い時のとんぼさん?
本当に?
美人ですな。
いや、今が不細工なんて言ってませんよ。
ちょっと変わられただけです。
ふくよかに。
返信する
礼・ぺこっ (うまこ)
2008-10-31 23:57:21
昨日以来、ご尊顔を拝しまして
礼!お辞儀!
という感じですが、
ここで、はたと疑問が湧いてきました。
今まで、トンボさんご自身のイラストでは、
めがね(とんぼのめがね?)が印象的で
てっきり眼鏡を掛けていらっしゃると思っていたのですが、
昨日以来私の眼鏡を拭き拭きじっと目をこらしても
やっぱ、眼鏡無いじゃん・・・・
あのイラストの眼鏡はどこへ?
それとも本当にとんぼの眼鏡という
しゃれなんですか?
本題とかけ離れた疑問で申し訳ないです。
返信する
全身像~ (りら)
2008-11-01 01:02:49
昨日は動くとんぼさんに感動してしまって、我を忘れて・・・・爆
改めまして、とんぼさん~、こんにちは!

襟の背縫い部分の折線、私は深い方がカッコいいと思っていたのですが、母には「深すぎるとみっともない」と言われたことがあります。
着物の常識はほとんど母からなのですが、こういう感覚の部分は違うんですね。

とんぼさんの今昔。
ちょっと前に話題になった、若い人が地味な着物を小物などを工夫して着る、というお話しにピッタリはまりますねぇ。
返信する
Unknown (とんぼ)
2008-11-01 14:48:05
つる様
少しはお役に立つことがあれば、
本当に嬉しいことです。
「たって畳む」、たまーにやりますが、
どうしても紬系ですねぇ。
コツというと、たぶん「押さえどころ」
だけだと思います。
動画より静止画像でアップのほうが、
わかりやすいかもしれません。
すぐにはできませんが、
「台本??」かいてみましょう。

お褒めいただいて恐縮です。
着物は長く着られるとは思っておりましたが、
実際こんなふうに実践すると、
自分でもなるほど着られるものだと、
改めて思います。
若いころに戻ることはできませんけれど、
戻れたらあんな組み合わせもできたなーとか
今更に欲をかいています。


えみこ様
絹というもの着物というもの、
つくづくよく考えられているものだと
思います。ポリばかりがもてはやされるのは
なんかちっとさびしいですね。


うんちく様
「なぞえ」は斜面…なるほど、
斜面に咲く、そうように咲く、ですね。
言葉というものはおもしろいものです。

ここ10年ばかりで急激に太りました。
ふけただけでなく、体型も変わるというのは
つらいものがあります。


ゆん様
あっどーもぉ~(笑)
履物はこの日そとにでましたが、
茶系の草履にしました。
ちょっとパールのかかった台で
小紋柄の鼻緒です。


陽花様
なるほど、昔母が繰り越し分倒れる、
と言ってました。そのことだったんですね。
繰越はヒトによって違いますから、
そういう教え方をしたんですね。
もっとよくきいておけばよかった。
それにしても、今のひとに言葉で説明しても、
わかりづらいでしょうねぇ。
洋服のタックだのドレープだのは、
すぐわかっても、繰越とか揚げ分とか…、
わかってほしいですねぇ。


武者子様
何事も慣れ、だと思います。
呉服屋さんで反物みたあと巻いてたり、
着物畳んだりしていて、
店員に間違えられたこと数知れず…。
呉服屋さんでなら、すぐ働ける???
着付けのお手伝い、がんばってください。
何事も経験です。しっかりねぇ!!


otyukun様
お役に立ててなによりです。
動画リクエスト…ありがとうございます。
いずれきちんと撮り直して作り直したい、
そう思うことばかりです。

ふくよか…やさしいお言葉ですがな(泣)
ほんとにでっぷり肉ついて、
もてあましています。秋だしぃ~~ますます。


うまこ様
はははっすんませーん。
トップの「ほばーりんぐとと」に
書いたのですが、私のメガネは老眼鏡です。
読む書く、縫う、パソコンなんていう
ほんとの手元の作業イガイは、
前がボケるのでかけないんですよ。
家の中ではボケてもだいたいわかりますから、
鼻メガネですごしてます。
記事にもかきましたが、
動画の後半、撮り直しのときに、
直前までテープみてたので、
うっつかり鼻メガネでやってます。あはは。


りら様
おぉはじめましてぇ~~。

着物の常識って、理論や数値でなく、
感覚的なものでおそわってますね。
それがとぎれてしまって、悩みが増える…。
なんとかせねばーと、思うばかりです。
もうピンクの帯締めも帯揚げも、
用がなくなりましたが…まだとってアル…。




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