ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

きんたろさん柄

2011-01-17 00:52:13 | 着物・古布

 

男の子の着物、よくあるのは「鷹」や「兜」「若武者」などですが、これは珍しい金時さん。

もちろん手描きです。特注でしょうねぇ。

童謡では「けだもの集めてすもうのけいこ」…ですが、本日は「小動物大会?」

ウサギさんとお猿さん、はっけよいよい…。

 

       

 

自分も力がはいって、ギュッと口を結んでいます。月代はちょっと剃ってあるけど

前髪を束ねてちょこっと横に流しているのが子供らしいですね。

 

          

 

お猿さん顔真っ赤、あ、元から赤いか…ウサギ年だし、今回はウサギさん応援! 

足元の柿らしきものは、勝ったほうへのご褒美でしょうか。 

 

                                 

               

図柄的に金太郎の「幼児のときから体が大きい」とか、そういうイメージを表すために

あえて小さい動物をもってきたのかもしれませんね。 

顔つきはちょっとおじさんっぽいけど、なんともいえない表情です。

普通きんたろさんの腹掛けは「○金」ですがこれは…弁慶格子、当然「豪傑」のイメージでしょう。

長くたすきがけみたいに見える腹掛けの紐の緑が、とてもきれいです。

 

金太郎は「坂田金時」の子供のころの話…というのが説話ですが、実際にはいろんな話の組み合わせ。

実在したであろうと言われているのは、「藤原道長」の部下の「公時」という人です。

山姥と雷神の子とか、赤竜から授かったとか、その出生の逸話もいろいろです。

いずれにしても「怪力無双」の男児が、やがてそれを認められて出世した…というのは

ほんとうのことではないかな、なんて思っています。

 

図柄と地の境界も、アタマの上は「雲取り」、地面の下は木立、とちゃんと気を使ってますねぇ。

 

                     

 

羽二重もウラまできちんといいものですし、背守りはありませんが、ついていたと思われる

線があります。裕福な家の跡取りっ子のものだったのかもしれませんね。

紋は「○に四方木瓜」、「きうり」じゃなくて「もっこう」、元は「か紋」と呼ばれました。

これ、字がありません。穴かんむりに「果」と書きます。

 

               

 

「か」とは木の上でなくて、地面や建物の下などに作られる鳥の巣のこと。

「木瓜」が「きうり」と読めることから、胡瓜の輪切りの面とも言われますが、紋の歴史によれば、

最初の「か紋」は「種」ではなく、巣の中に卵がたくさんある図、つまり子孫繁栄を意味するものだったとか。

まぁ胡瓜であっても「種」はあるわけですけれど、中国の官服に使われていたころは鳥の巣、

日本に渡って平安時代、この柄は「御簾などのてっぺんの縁取り布」に使われました。

つまり「有職文様」だったわけですね。

この縁取り布を帽額(もこう)と言ったため、「もこうの柄」から「もっこう」と転じた…といわれています。

ややこしい話じゃ…。周りが四つではなく五つなのが「織田信長」の紋ですね。

 

白地部分は黄変やシミもあるのですが、柄は珍しいですよねぇ。

心の中の「天使サマ」が「これは珍しいから、このままとっておきましょうね」とささやき、

一方で「悪魔クン」が「こんなの帯にしたらいいよねぇ。背中にきんたろさん、かっこいいよぉ」とささやく…。

どうすればいいのぉぉぉ、と言いながら、ウラに合わせる黒繻子を探してるアタシって…。

あぁぁぁぁ悩むぅぅぅぅ。

 


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8 コメント

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Unknown (りのりの)
2011-01-17 01:33:37
楽しい柄ですね。お金持ちのお坊ちゃまのものなのですね。

掛け軸みたいにしてもいいですよね。あ、帯でしばらく楽しんでからでもいいか・・。
わ! (りら)
2011-01-17 05:22:38
私もこれ、帯にしたらさぞかし良かろうなぁ・・・と思いチェックしてました!
売れちゃったのねぇ・・・と思ったら、とんぼさんでしたか!?
金太郎さんのお顔が良いですし、おサルとウサギの描かれ方も柔らかくて自然で良いですよねぇ。
是非是非、帯に仕立てて活躍させてあげてください~!!
Unknown (陽花)
2011-01-17 08:48:47
心の中で葛藤、うなずけます。

残しておきたい気持ちと帯にと
思う気持ち、どちらの声が勝?
んでしょう。
見ているこちらも迷います。
Unknown (さえ)
2011-01-17 13:49:29
素敵な柄ですよねえ。。。
帯にした場合には、お太鼓に金太郎さんと動物たちが収まる感じなのでしょうね。
。。。息子さんの肌がけのカバーは駄目でしょうか?
いくつになっても子供は子供って事で。
嫌がられるか^^;
Unknown (とんぼ)
2011-01-18 00:27:37
りのりの様

残念ながら「薄すぎ」でした。
最終的には掛け軸なんかいいですねぇ。
とりあえず「保存」組にいれました。
Unknown (とんぼ)
2011-01-18 00:29:02
りら様

これが男物羽織りの羽裏だったら
どれだけ高くなったかと思います。
のしめだったので、全くあがりませんでした。
幸運でしょぉ。
ただ、とても薄い羽二重です。
加工はムリだといわれてしまいましたー。
Unknown (とんぼ)
2011-01-18 00:30:24
陽花様

ほんとに珍しい柄で悩んだのですが、
あまりの薄さに加工をあきらめました。
このまま飾ってもかわいいですしね。
Unknown (とんぼ)
2011-01-18 00:33:21
さえ様

残念ながら、羽二重が薄すぎて、
角の部分などもたないだろうと…。
言われてみればです。
それにしてもこんな柄の肌がけカバーなんて
もったいなくて息子には使えませんわ。
手描きのこういう柄はもうでないでしょうからねぇ。

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