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ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

コッコ羽裏の続き

2009-06-04 17:21:20 | 着物・古布
しつこくコッコ羽裏のお話しですみません。表地はだいぶ色が汚れているし、
羽裏だけ、色落ちがなさそうでしたので先に洗おうかと思って解きました。
トップ写真は、今日のお天気で伸子張りができないため、
ころーんと転がしてある「元・羽織の本体」です。

元々ひろげたときから背中の羽裏が小さかったので、
「繰り回し」だとは思っていたのですが、
解こうとして衿をつかんだとき、右と左で衿の厚みがなんとなく違う…。
それによく見ると衿のハンパなところで継いであります。
羽織本体も繰り回しでした。継いである部分です。


   


通常、長着をリフォームして羽織にすると、どうしても衿は継ぎます。
大体は目立たない衿の真後ろで継ぐのですが、これは胸の上くらい。
元々が地紋のあるものなので、目立ちませんが…。
とりあえずまず衿から解き始めます。

羽織は最初から羽織として仕立てるときは、衿は反幅のままで、
2メートル以上使います。結構大きいパーツなんですね。
これが繰り回しになると、それだけの幅も長さも取れませんので、
長さは上記のように途中でつぎ、幅の方は中に別布を入れたりして縫います。
これもそうでした。
左右で厚みが違ったのは、中でその「中芯」がまた継いであり、
とちゅうまでは元々の生地、残りは「紗」だったからでした。


   


それがですねぇ、一応色はなんとなくあわせてあったこの「紗」部分、
開いたらなんと!おぉとんぼ柄じゃぁござんせんか!


  


もうひとつ「ハグロトンボ」もいましたが、残念ながら羽しかない~。


 


あぁ!オマエさんたちが着物であったときに、出会いたかったよぉ。
どんなにか粋な着物だったろかいねぇ。
こんな着物が今、なんでないんじゃぁ!…(落ち着けって)

さて、こちらはまたコッコさんですが、解いたので隠れたところも出てきました。
これも繰り回しで、てっきり丈を詰めただけだと思っていたところ、
実際には「元の袖を身頃に、元の身頃を袖に」かえてありました。
そのため、解いたら袖の裏地に元の「衿肩アキ」が…。


   


なんと細かく縫ってあることでしょう。
あれっ?普通羽織の肩って、U字型の半分にカットするんですよ…。
普通の衿肩アキということは…あとあとを考えてわざとそうしてた?
それともひょっとしてこれは、元はじゅばんだった?
わぉ、それだったらステキなじゅばんだったでしょうねぇ。

相変わらずの「昔の人の知恵」と「もったいない精神」に感服です。
きれいに洗ったのですが、さすがに黒ずみは取れませんでした。
それでもサーッパリしました。おや、縫込みから出てきたアナタはだぁれ?


  


そんなこんなでこの羽裏、もう一度は無理かもしれませんが、
例えば渋い大島のバッグの中袋なんかにしたら、いいでしょうねぇ。

一枚の、ジミで薄汚れた羽織も、
解くたびに何かしら学ぶところ、感じるものがあります。
いろんな継ぎ目や、もう限界ぎりぎりのツギアテや、
よくまぁこんなテを考え出したものだと思うような工夫…。
着物って、そういうことができるのも、ミリョクですねぇ。
そういうものを縫った人は、さんざん考えて
「こうすれば、いいかな、いや、こっちのほうがいい」
「これでなんとかならないかしら…なったなった!」
そんなふうに薄暗い電灯の下で、一針一針縫い進めていたのでしょう。

モノがあふれる今、こういうものを見ると、
もういっか、と捨てようとした「穴あき靴下」をつまむ手が止まります。
確かに、そうはいっても穴を繕ってまでもはくのにも限界があります。
せめてちゃんと洗って、窓を磨いたりガスレンジを磨いたり…、
そうやって使ってから「ありがとうご苦労様」と捨てる…。
今はそれくらいしかできない私、とりあえず「安いから」と、
3足千円の靴下の買いだめは、やめるようになりました。

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6 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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Unknown (陽花)
2009-06-04 18:26:53
あらぁ、ほんとだ!長襦袢だったのかも
しれませんね。
それにしても、子供の頃は靴下もズボンも
繕いをして穿くのが当たり前だったんですけど
最近は本当に繕い物をしなくなりましたね。
返信する
つくろいどころか…。 (えみこ)
2009-06-04 20:03:58
そのへん歩いてますよね。穴開けたまんまで^^;
先日お気に入りのシャツのわきがほころんでしまって、
つくろうとしたら
ぬいしろがほとんどなくて、つくろいようにもつくろえない!
ロスのないようにぬいしろもギリギリなんですね。
一度洗ったら着られなくなったものもありました。
なんなんかなぁって感じです。
返信する
うわ~ (りら)
2009-06-05 01:27:14
力かからないように、出るところだけの継ぎ接ぎ作り帯ってのはどうでしょう?
羽裏だと足りませんか??

そして又しても・・・なんでこういう色柄を作らないかねぇ??と・・・・
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Unknown (とんぼ)
2009-06-05 23:43:55
陽花様
そうなんです、じゅばんだったのかもですね。

昔はふつうでしたね。タイツまで、
伝線したところをかがってもらって…。
でもそこが凸凹して、座ると痛かったり
やだなーなんて思ってました。
ほんとに繕ういうことがなくなりましたね。
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Unknown (とんぼ)
2009-06-05 23:45:05
えみこ様
ははは、わざわざあけたりね。

>ぬいしろがほとんどなくて、つくろいようにもつくろえない!

今日それだったんです。
息子のトレーナーが…。
腹立ちますわー。
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Unknown (とんぼ)
2009-06-05 23:46:14
りら様
それもいいですね。
接着芯で保護して、別布合わせて…。
それにしても、いい柄でしょう?
ないんですよ、ほんっとに。
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