ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

男の子の着物です。

2005-11-27 02:38:17 | 着物・古布

友人の娘さんが、出産間近です!友人はまだ50前だというのに
もう「おばあちゃん」です。早いネェといったら「19で結婚したんだもん」!
もう一人女の子がいますが、ほんとに「三姉妹」みたいです。
さて、出産のお祝いは何がいいかなぁ!あの最近はやりの
「スリング」というのを、よくこなれた「会津木綿」かなんかで
作ってあげようかなと思っているんですが・・。

昔の赤ちゃんは生まれてからずっと着物で育ったわけで、
この写真の着物はいわば「赤ちゃん着」です。まだ抱っこだけのころに作って、
少し大きくなったら肩揚げや腰の揚げをして着せるわけです。
今でも赤ちゃんの肌着は、前で合わせてヒモで結ぶタイプも
使われていると思いますが、ボタンなど身体にあたるものがなく、
シャツのようにアタマからかぶせなくても着せられる・・という点で
「キモノスタイル」のあの肌着はとてもいいものだと思います。
その上に着るものとなると、今はもう洋服ですね。
ベビードレスとか、カバーオールとか・・。
でも、小さい子の着物姿って可愛いものですよね。
動きにくかったら、短い着物とモンペにしてあげればいいんですし。
ウチは男の子でしたので「赤い水玉」とか「ピンクの金魚」なんてユカタも
着せられなくて、寂しかったー!それでも腹掛けもじんべいも
いろいろ作りました。未だにとってある・・・。

この着物は兜柄。兜の柄は斜めに置いた図柄が多いのですが、
これは真上から見た兜。ちょっとオトナっぽくみえるかな?
地色もシブいですね。とても上質のシボの大きなちりめんです。
裕福なおうちの総領さんだったのかもしれませんね。
着物がジミなせいか、明るい黄色の結び紐がついていました。
兜のところを切り取って、黒のちりめんとあわせて、
額縁仕立てのクッションにしようかと思っていたのですが、
とてもいい状態でしたので切るにしのびなく、
これまた「資料」として保管することにしました。

兜の柄なので、甲冑のお話しを・・・。
甲冑というのは「兜と鎧」のこと。つまりペアですね。
物の本によれば「冑」というのは「奈良・平安」より前のもの、
中世に入ってから「兜」というようになったそうです。
「かっちゅう」の「かつ」は昔の兜のことなのですね。
甲冑の歴史はいわば「闘い」の歴史というわけで、戦い方の歴史でもあります。
甲冑の歴史は専門用語が多くて私にはムズカシすぎる!
でまぁ、ごくごく大ざっぱに言いますと、つまり「戦い方」が
変わっってくると、甲冑の材質や形も変わっていった・・ということになります。

むか~しの闘いというものはけっこう優雅?だったというか、
騎馬戦、個人戦で弓矢で射ちあう・・ですね。
お芝居なんぞのせりふにも「やぁやぁ遠からん者は音にも聞け、
近くばよって眼にも見よ!我こそは『ナンタラのなにがし』なり!」と
ハデに名乗りを上げる場面があります。そうやって敵陣の大将だの、
名の知れた武将と一騎打ちをやったわけです。
となると身を守るのは矢がとおらない鎧でよかったわけですが、
戦の規模が大きくなり、また外国との闘いなんてのもあって様相が変わりました。
要するに大群で押し寄せてきて、名乗りもへったくれもありゃしない、
というわけです。いってみれば個人戦から団体戦になったわけで、
馬に乗っているのもいないのも入り乱れて戦うとなれば、槍・刀、
「討物(うちもの)」と呼ばれますが、そういう武器が使われるようにり、
それまでのような「馬に乗るのに都合がいい」というものばかりでは
なくなってゆくわけです。ちなみにヨーロッパの鎧は、
関節のところしか動かないような「一枚板」みたいな鎧ですね。
あれは、使うのが「刀」ではなく「両刃」で反りのない「剣」だからです。
剣は刀のように「薙いで相手を切る」というよりは、その大きさと重さで
いわば「たたき切る」わけです。だからたいがい「両手」で持ってますよね。

日本の「刀」は細身で反りがあります。
反りはなんのためにあるかというと、ちょっと血なまぐさい話しになって、
ごめんなさいですが、ニンゲンの身体は、胴体も手足も丸みがあります。
まっすぐなもので一直線に切ったときと、反り(丸み)があるもので
切った時と、どちらが切りやすく、ダメージが大きいか・・。
つまり、かまぼこを包丁で切ったときとピザカッターのような円形のもので
切った時とでは、どちらがすばやく、深く切れるか・・ですね。
それで体のカーブにあわせて?「反り」というものがついたわけですが、
その「反り」も歴史とともにだんだんカーブがゆるくなってきます。
刀は横に薙ぐとか、袈裟懸けのように切り下ろすとかで相手を倒します。
ついでのことに、細身ですから、突くこともできます。
矢とか槍、細身の刀を使って身軽に動きながら戦う日本の鎧は
そういうものを通しにくくして、ダメージを防ぐというものになり、
細かい革や金属を漆や絹糸で「つなぎ合わせる」というものになったわけです。
刀の通りにくい鎧を着た相手を「突く」場合は、反りは甘いほうが
いいわけで、そのため近年に近づくほど「反り」はゆるくなります。
白拍子「静午前」が、男装で舞う時の刀は、かなり反りが強いです。
あれも時代と、そういう刀は「装飾」の意味が強かったということも
あるのかもしれません。これは推測でゴメンナサイです。
それから信長さん以来、鉄砲というものを使うようになって、
鎧は更に「隙間」をなくすことが大切になってきました。鉄砲こわいですもん?!
それで胴体の鎧はあれこれ分割したものをつけて更に隙間をなくし、
昔は兜と鎧だけだったものに「面頬(めんぽう)当て」「脛当て」など、
でているところを出来るだけ隠すように細かいものがついてワンセット。
昔は美的な要素を重んじていたものが、実用本位になって
歩きやすいとか動きやすい、戦いやすくより安全、と変わっていったわけです。

これでもすんごくおおまかな説明で雑学知識、専門家の方が読んだら
「教えてあげるからちょっときなさい」とお叱りを受けるでしょう。すみません。

というわけで、私の知ってるかぎりの甲冑のお話しはこれでオシマイ。
あっ最後にひとつだけ、甲冑の数え方、ご存知ですか?
甲冑、とワンセットで数える時は「一具」、兜だけなら「一頭(かしら)」
鎧だけなら「一領」です。

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3 コメント

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初めて見ました! (chi3_field)
2005-11-27 09:54:21
はじめまして!

写真の着物…こんな着物もあるんですね。

初めて見ました(^^);



知識の広さにもビックリです!

ちょくちょく遊びに来て

色々と知識を身につけたいと思います。
返信する
師匠と呼ばせて・・・ (さすらい)
2005-11-27 17:58:12
やってきましたよ。(笑)凄い凄い、刀や甲冑のウンチクためになります。

私は実はかなりの長身で、中学時代に差していた刀は、2尺8寸近くある長い古刀でした。ですから反りは大きく、刀身がもう細くなっていました。父が差していた刀は、豪刀のような刀身の太い直刀に近いものでしたが、晩年はどの様な刀を差していたか判りません。って江戸時代じゃないよね(笑)ブログにもありますが、我家は剣道と居合いをするものですから。

着物も、これからの処分に困っている所です。どうすれば良いか、ご教授ください。それではまた・・・。
返信する
いらっしゃませー (とんぼ)
2005-11-27 18:29:21
さすらいさま

さっそくおいでいただいてありがとうございます。

コメント拝見してから「シマッタ!剣道・居合いの

達人家系」だった!と思い出しました。

雑学知識でお恥ずかしいです。

着物はどうぞ、お捨てにならないでください。

お父様の「遺品」についてのブログを拝見して、

気になっておりました。

まだ先のことでよかろう・・と書いてらしたので、

ホッとしたのですが。

羽裏のよいものなどは、欲しがる人もおりますので。

お話しお聞かせ下さい。
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