ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

戻ってきました。

2006-12-16 22:41:41 | 昔の道具・暮らし

以前、アップしました「宝船」のかんざしです。
日本職人名工会、というところで、まだお若いけれど
「かんざし」を作っておられるホンモノの「錺職」の
三浦様と言う方をご紹介していただいて、相談してみました。
完全とまではいかないけれど「できるだけ」というお約束でお願いしました。
薬品を使わず、全て手磨きできれいにしてくださり、
とれてしまった花などもちゃんとつけてくださいました。
えっ?こんなにきれいだったの?というくらい、若返って帰ってきました。
なんたって、元はどんなだったか忘れてしまい、以前の画像を探しました。
左が補修前、右が後です。ちょっと画像暗くてすみません。





甲板に乗っていたぐしゃぐしゃしたものは「縄を巻きつけた錨」でした。
舟の胴体は「梅の花」で、ボロボロ落ちていたりずれていたりしたのも
全部きれいに並べていただきました。千両箱もピッカピカです。
帆もきれいに磨いていただき、帆を張った綱もよれよれだったのが
ピンと張っています。波を表す細い銀線もきれいに整えてもらいました。
やっと船出ができますね。
グシャグシャの時には、壊れているところばかり眼について、
舟の下にも波があったとか、細かいところまで気がつきませんでした。
実は帆柱がぐらついて、帆が動いていたのですが、直ってきても動く…
そーか、ぐらついていたのではなくて、帆が風をつかまえるのに
ちゃんと回るようになっているのだ、と気がつきました。
ほんとに細かい細工です。三浦様と名工会のお話では、
日本髪に使われるもので、やはり「お正月やおめでたいとき」のものか、
長唄に「宝船」というのがあるそうで、その踊りの舞台で使われたのではないかと
そういうお話でした。珍しいもの…と言っていただきました。
もう残ってないのかもしれませんね。
とにかく大きいですから、舞台などではよく見えてよかったかもしれません。
それにしてもほんとに大きな簪です。手の上に乗せてみました、こんなです。





今更日本髪を結うこともできませんから、
これはこのまま大切にとっておこうと思います。
もう少し工夫して写真を撮って、年賀状に使おうかと…
そりゃいいんですが、早くしないとぉ!!

この三浦様の作品、とても気に入りまして買ってしまいましたぁ!
題は「心に鍵」です。銀細工なので光って見えにくくてすみません。
心と言う字に「鍵」がぶら下っていますー。江戸のシャレと粋ですねぇ。






もうひとつ「かえって」くるものがあります。
あの「貝模様の丸帯」。黄変は、一番取れにくいので、
あまり期待はできないと思っていたのですが、
やはりとてもとれない…とのことでした。
とらずに上から箔を乗せてぼかす方法もあるといわれたのですが、
目立つ柄の近くだけでも、ずいぶん黄変箇所があるので、
全部、箔をぼかして乗せると帯そのもの雰囲気がかわってしまう…とのことで、
私もそう思いました。今後締めるつもりがあるのなら、
それもまたひとつの方法ですが、あの柔らかさでは、一度でも締めたら
ぜったい折り線やシワがつきます。今後は「鑑賞」することとして、
とりあえず、はげてしまった女性の髪部分だけ補修をお願いしました。
また戻りましたら、アップします。

古いもの、もうそれぞれの役目を果たせないもの、果たす場のないもの、
それでも誰かが一心に作り上げた美しいもの、誰かがその手にのせて
いつくしんだもの、その人の人生のどこかに映っていたもの、
そう思うと「古い、使えない」というだけで、埋もれさせてしまうのは
とても惜しいと思うのです。見ていただくだけでも、
彼らにとっては、自分の昔を誇らしく思えるのではないかと…。
そんなつもりで、これからも古いものを探してみようと思います。




コメント (4)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 忠臣蔵「おまけ」? | トップ | 忘年会…でした。 »
最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (陽花)
2006-12-16 23:04:38
なんとっ!新品になりましたね。
本当に同じものとは思えないほど美しい!
昔の物がよみがえる、そんな職人さんが
おられるのは本当に嬉しい事ですね。
返信する
Unknown (とんぼ)
2006-12-17 18:33:35
陽花様
ありがとうございます。
職人さん探したんですが、結局、今風の簪を
作っている人はけっこういるのですが、
銀細工というと、どうしても「宝石関係」、
つまり指輪の直しとか、そういう仕事が多いんですね
それと「錺職」というと「仏壇」や「家具」の
錺を作る人はけっこういるんですね。
でも、昔ながらの銀簪を作ったりしている人は、
本当に数が少ないです。見つかってよかったです。
これも「ネット」のおかげ!
返信する
立派ですね~ (蜆子)
2006-12-17 21:52:08
宝恵駕篭にのってる人の簪みたい、豪華ですね。そして美しくなりましたね。
先日、あろうことか400年ぐらい前の釜、これって鉄なのですがガラスのようにもろいんですね。湯をいれたらさ~~っとさけて、大騒動、恥ずかしいやら悔しいやら、涙物、
私の住んでいるところには、釜師というかたが何人もいらっしゃいますが、昔ながらの直し方をできる人一人だけみつかりました。80代のかた
もちろん直しはわかりますが、なんとか直していただきました。きちんとした職人さん探すのは大変ですよね。昔は直すっていうことは当たり前、でも今はそんなかたは貴重ですね。
修理のかた、見つかってよかったですね。
返信する
Unknown (とんぼ)
2006-12-18 20:32:32
蜆子様
なんでもそうですが、職人さんが減っていること、
更に「後継者」がいないこと。
直して使うということがなくなっていく時代って、
ある意味不幸だと思うんですけどねぇ。
せめて今あるものは、大切に…と思います。
返信する

コメントを投稿

昔の道具・暮らし」カテゴリの最新記事