「メジャーの打法」~ブログ編

野球、ゴルフを中心とするスポーツ動作論
『究極の打法』オースチンからボンズまで
 Amazonにて発売中

B.J. アプトン(2)

2008年11月04日 | 打法

 B型が黒人打者に合わない理由として「腸腰筋を使えない」と述べたのは間違いだった。

 腸腰筋を使った下半身の動作とバットを前方に振り出す上半身の動作の整合性に問題があるからだろう。A-ロッドもボンズも肩の内転によりバットを引き下げる。腸腰筋による股関節屈曲(体幹の側屈・回旋)は引き下げに協調的に働く。それにたいしてB型は肩の屈曲でバットを前方に振り出すから、合わないのだ。

 アプトンは腰でテイクバックをとることによってその問題点を解決している。体幹が横回転になり、上肢(上肢帯)の動作とあいだに協調関係が生まれる。だから当たれば飛ぶのだ。

クロフォード初め他の黒人打者はこれほど著しくない。

腰でテイクバックを取る点は日本人のⅠ型と似ている。アメリカ人はやらない。これも動作の整合性とパワー増を求めた結果だろう。
日本人とアメリカ人(白人)の違いについてはゴルフのところで述べた。

  テッド・ウィリアムス、 鳥谷敬 


 腰のテイクバックはB型黒人打者が長打力を獲得するための方策として有効ではある。しかし、問題がないわけではない。確実性だ。
 B型はグリップを(回転しつつ)前方に突き出す突き型だ。グリップの加速はバットにエネルギーを付与する一方でバットの角加速を抑えるという欠点を持つ。つまり、ヘッドを走らせることができないのだ。しかし、その動作がバットの並進性を維持し、確度を高める(B型について)。芯に当たれば入る程度のヘッドスピードがあれば、確実性はアベレージだけでなくホームラン数にもプラスに働くだろう。ところが、アプトンの腰の高速回転に依存するスイングはバット並進性を損なうから、B型の長所である確度を落とすことになる。一種のドア・スイングで、タイミングがドンピシャでないとなかなかホームランにはならないだろう。

 アプトンはワールド・シリーズに入って打てなくなり、右狙いで解決した。あと出しジャンケン気味だが、結局、B型は黒人打者にとって最良の打法ではないと思うわけだ。



コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。