「メジャーの打法」~ブログ編

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A-ロッド(10)

2011年05月06日 | 打法

 THの振り出し。

 B型のTHは突き型で、バットに長軸方向の力でエネルギーを付与する。このとき肩関節は屈曲で、内転のA型との違いを見せている。

 先日@toredo1492さんから、「B型も多少は王貞治と同じような前腕回内がある」という指摘があった。調べたところその通りで、従来の肩甲骨固定のB型では肩甲骨下筋を使うために肩内旋が起こるようだ。しかし手首は空間的に回転するものの、それは上腕の回転を前腕に伝えた結果起こったもので、回内(上腕に対する前腕の回転)は王ほど著しいわけではない。むしろ、手首伸展筋も収縮して前腕手首を固定しつつ、バットを振り出すようだ。リストを利かす打法ではないのだ。
 そのために、従来型は長打力に欠けるきらいがある。そこで現在のアメリカでは肩甲骨を外転し、手首屈曲を使える改良型が流行りつつある。その代表格がボティスタで、打法改造によりホームラン数が急増した。スイング論(298) もともと(キューバを含めた)カリビアンは外転するタイプだから、アメリカがやっとそこまで追いついたと言えるだろう。

 ところがこの改良型には欠点があって、体幹前屈との相性が悪い(バットを振ってみてのことだから、検証をお願いする)。したがって、前屈を活用するA-ロッドは当然旧来の肩甲骨固定型に留まらざるを得ない。それでいて飛距離が出るのは腸腰筋の収縮パワーで補っておつりが来たからだ。外転タイプのゲレーロやトーミと比較して、スイング、特にフォロースルーの豪快さに欠けるものの、長打力において遜色ないのはそういう事情による。

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 これまで、B型黒人(アフリカ系アメリカ人)選手の貧弱な長打力を嘆いてきたが、それが何に由来するかがわからなかった。しかし、ここでひとつの考えが浮かんだ。

黒人選手は、肩固定型スイングができない。

 黒人は、僧帽筋上中部を収縮することで、肩甲骨を固定する。そこから構えに入って、A-ロッドのような肩水平外転の姿勢を取ることができないようなのだ。前屈が使えないとなると、腸腰筋は、無用の長物となるどころか、収縮することで外転タイプに必要な股関節伸展の邪魔をする。だから、飛距離がでない――ということなのではないか?

ハンターあたりがその典型で、そっくり返って打っているのだが、上半身に対して下半身の力強さに欠ける。A-ロッドと比べて、体格的には遜色ないのに、ホームラン数ではかなり劣っている。


 旧来型の欠点は共通なのだが、白人と黒人では事情がまったく違うわけだ。

  • 白人は固定型であるがゆえに、
  • 黒人は外転型であるがゆえに、

長打力に欠ける。

 A-ロッドやボティスタは、ラテン系とはいっても、アメリカで生まれ育っている。白人同様のB型教育を受ける中で自然と肩甲骨固定の構えを取り、そのままバットを振り出すことができるようになった。ところが、同様の教育を受けてきたはずの黒人選手にはそれができないのだ。もし可能なら、アーロン、メイズ・・・を産んだ経緯からして、A-ロッドに似たスタイルの黒人スラッガーが多く生まれたことだろう。





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