「メジャーの打法」~ブログ編

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トップハンドの使い方(4)

2011年04月05日 | 打法

 上腕三頭筋を使う。

 それでは、Ⅰ型トルク打法は三頭筋を利用できないのか?

 そんなことはない。この動画を見ればわかるように、王は使っている。このTH動作は、ボクシングのストレートに似ていて力強い。肩内旋、前腕回内を伴うから手首が返る。手首が返ることが失敗スイングとなるローズタイプとは本質的に違うのだ。

「バットをこねる」という言い方もできるだろう。バットの長軸周りに順回転のトルクを掛ける。
小池論文のデータでY軸まわりのトルクを見ると、左右で相殺している。このことから、この打者がバットを積極的にこねてはいない、つまり、王タイプではなく、ローズタイプだということがわかる。


 この動画を見ると、インパクトまでTHで押し続けていることがよくわかる。小池論文の選手Sのように、「インパクト付近になって、THによって及ぼす力の方向が逆転する」などということはない。
 掲示板で「神戸のサラリーマソ 」さんが王の次の言葉を教えてくれた。

ホームランを打つコツはちょっと詰まらせて打球を上げる。

球をスイートスポットの内側でとらえTHで押し込んでエネルギーを付与するのであれば、やはり、インパクトにおける右手の突き出しが重要となる。この打ち方はローズタイプでは難しいだろう。


 またバットがダウンワードに振り出されることも特徴的だ。すでに述べた(三頭筋を使わない)ダウンスイングとはメカニクスを異にするのだが、もともと巨人がドジャースのベロビーチキャンプに参加したときに教わったダウンスイングはこちらの方だ。この動画の中にも何人かはいるだろう(例えばS・ガービー)。王も、素振りやマイク・シュミットほど極端ではないものの、バットの振り出しは腰の回転に比べてダウンワードになる。本人も「低めもダウンに振る」と言っていた。


 このTHの突き出しを活用し、BHの引きを極力抑えることによってⅢ型が誕生した。この打法に基づいたアメリカの指導書にある、

インパクトのときにトップハンドの掌をボールに向けるようにする

という記述は手首が返る動作を奨めていることを示している。
 この動作は、バットの長軸に直角に力を付与してトルクを掛けるものだから、長軸に沿った力を付与するⅡ型の時代になって消え失せた、肩内転を伸張反射で済ませるボンズを除いて。





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