「メジャーの打法」~ブログ編

野球、ゴルフを中心とするスポーツ動作論
『究極の打法』オースチンからボンズまで
 Amazonにて発売中

一本足打法(2)

2011年06月03日 | 打法

 投球との類似性。

 右足の振り下ろしは、鋭いバックスイングではなく、下半身のエネルギーを引き出すためのものなのだ。
 そのこと理解するには、投球動作における踏み出し足が参考になる。高く上げた足を前方に振り出すことによって、パワーを発揮するとともに軸足のパワーをも引き出せるのだ。吉福康郎は『スポーツ上達の科学』で投球動作の物理学についてかなり詳しく論じているが、足の踏み出しについてこう書いている。

・・・両脚の動きのタイミングカ合うと大きなパワーを引き出すことができ、ステップが力強くなる。
なぜなら左脚を前方に振り出せばその反作用で右脚には後方への力が加わる。その力に逆らって右脚を伸ばすと、パワー=力×速度の力の部分が大きくなるので伸ぱす速度が同じてもパワーが増すのである。同じ理由で、右脚の伸展に合わせて左脚を振り出すことで、左脚自身もより大きなパワーを出すことができる。このように、両脚の動きのタイミングはパワーに影響するのである。・・・

ここで、負荷が増えても同じ程度の速度を保障するのが筋肉の偉いところ。逆境になるほど強いのだ。

 王のこの素振りは、実打とはかなり違うが、「バックスイングではなく、力強く踏み込むため」という右足動作の本質をよく表している。この時、右股関節屈曲トルクが発揮されて足の振り下ろしが遅れる感じになるのも投球動作と同じ。その方が軸足にうまく負荷がかかるのは、やってみればわかるだろう。

 では、小林一敏はなぜあのような間違いを犯したのか?それはそういう打ち方もあるからで、門田なら、「(少なくとも半分は)鋭いバックスイングのために使った」と言えるだろう。

  (この項終り)



コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。