A-ロッド（６）

　両親はドミニカ共和国出身だ。

　その彼が（恐らく）アフリカ系アメリカ人特有の腸腰筋を使う打法を採用している点が面白い。ドミニカにはⅢ型がないからなんとも言えないが、Ⅲ型を持ち込んだところで第二のA-ロッドは生まれないだろう。遺伝子だけではないのだ。

　何が彼にあの打法を採用させたのか？　

　あるいは英語の使用が腸腰筋の発達を促し、打撃における使用が自然なものになったのかもしれない。

• アフリカ系の遺伝子
• アメリカの言語
• アメリカの打撃理論

の組み合わせがあの打法を生んだとしたら、ちょっとした奇跡であり、アメリカにとって貴重な文化財だ。それがやがて消えることになる。絶滅危惧技術に指定しなくていいのか？

　カリブの攻勢への対応として打撃技術の改良が求められ、あえてカリブ産のＢ型を採用することになった。現状を見ると、その涙ぐましい努力は報われ、アメリカの威信は保たれたかに見える。しかし、

これでいいわけないのだ。