快読日記

日々の読書記録

「僕の読書感想文」近田春夫

2010年04月13日 | 総記・書評・人生訓・哲学・宗教など
《4/11読了 国書刊行会 2008年刊 【書評】 ちかだ・はるお(1951~)》

まず初出誌が「家庭画報」ってのがさすが。
近田春夫の文章は、意外と読者を選ばないと思うからです。
子供の頃、「明星」の歌本で近田春夫の連載を愛読してました。
もちろんわからないところも多かったはずですが、とても刺激的で、子供なりにも音楽のおもしろさに気付いたし、
それ以来、歌の背後にいる「作った人」を意識して聞くようになりました。
音楽知識ゼロの小学生のハートにもグッと届く浸透力、それが近田春夫のすごさであり魅力です。
だから「考えるヒット」がおもしろいのは当然!
この本は、その読書版ですね。

よかった点をあげてみます。
1、選書がいい。
近田春夫自身が選んでいるので、その興味の方向のおもしろさも堪能できる。
2、読書欲を掻き立てる(とくに古本)。
新刊本には、書物というより商品の匂いを感じるが、古本屋の本の表情は穏やかだ、なんて言われると、無性に古本屋が恋しくなりますね。
3、本の「読み方」にも味わいがある。
内容以外にも、その文体やリズムを気にするところが音楽の人らしい気がするし、
過ぎた70年代や80年代をふと振り返る場面が多いのも切ない。

とにかく、本が読みたくてワクワクするような書評を求めてる人、「考えるヒット」が好きな人、ベストセラーにはいまいち食指が動かないけど「ジャンル問わずおもしろい本が読みたいっ!」って人におすすめです。