快読日記

日々の読書記録

「狂人三歩手前」中島義道

2009年07月07日 | 総記・書評・人生訓・哲学・宗教など
《6/30読了 新潮文庫 2009年刊 (2006年に新潮社から刊行された単行本を文庫化) 【哲学 エッセイ】 なかじま・よしみち(1946~)》

北野武が「アキレスと亀」の監督インタビューで、
(数学の)アキレスと亀の話は言っちゃえば「屁理屈」だから、普通は受け入れないんだけど、
あ、そうか!って思っちゃう人が必ず出てくる、
そうなるとその人はもう戻ってこれない、
みたいな話をしていました。
行き着く先は「狂気」、というか。
中島義道はその主人公マチスと少し重なってしまいます。

雑誌に連載された軽めのエッセイを集めたもののせいか、
吹き出してしまうような話も多く、
しかし、ほぼ同時になんとも言えない「恐怖」が押し寄せて来ます。
"私は、私を理解してくれる人が大嫌い"なんて、うっかり共感しそうになって、自分を必死で引き止めました。
ひとことで言えば「"哲学"という"あちら側"」に行っちゃう恐ろしさ(世の中からこぼれ落ちる恐怖かな)なのですが、
そうかと思えば、日常にどっかり腰をすえているじゃないかという場面もあって、
その振り幅に笑いながらクラクラしました。
この、日常とシュールを行き来するかんじ、だれかに似てるなあ…と思ったら、そう!バカボンのパパ!! バカボンのパパです!

これでいいのだ。