快読日記

日々の読書記録

「纒足の靴 小さな足の文化史」ドロシー・コウ

2008年04月24日 | ノンフィクション・社会・事件・評伝
《女性の健康を蝕む靴や化粧をはじめ、美を求めての加工は現代の纒足と言える。
その意味では筆者の言う通り、纒足は女性の喜びなのか?》





纒足というと、父権的制度の下、女が虐げられている、淫靡で退廃的な奇習といったイメージがありませんか。
筆者(香港生まれ)は、こうした見方に対し"女性から見た纒足の意味"を検証しています。

豊富なカラー図版で紹介される纒足靴は、繊細な刺繍と美しい色使いがとにかくかわいいのでうっとりしてしまいますが、これらは全て当の女性たちの手作りです。
確かに、強制されてたらこんなに綺麗な靴は作れないだろうとは思います。

でも、纒足は母から娘へ受け継がれる伝統で、そこに男性は立ち入れない、女性の喜びがあるのだ、と言われても、変形した骨の図が痛々しすぎて素直に飲み込めませんでした、すみません。
小さい足の女が綺麗とか、首が長ければ長いほど美人とか、そういうところに生まれてたら大変だなあと思うけれど、それがそこの「常識」である以上、とらわれずに生きるのは至難の技です。

■4/23読了 平凡社 2005年刊 小野和子+小野啓子 訳 【社会】