快読日記

日々の読書記録

「脳はバカ、腸はかしこい」藤田紘一郎

2015年08月10日 | 暮らし・健康・理科っぽい話
《☆☆ 6/18読了 三五館 2012年刊 【腸 健康】 ふじた・こういちろう(1939~)》

人間の「幸せ」を作るのは脳ではなくて腸である、という話。

ドーパミンやセロトニンといった脳内物質は脳が作るわけではなく、その前駆体と呼ばれるものを腸が脳に送っているんだそうです。
だから、腸内細菌が活発に働くための餌となる食物繊維をたくさんとる人ほど、「幸せ物質」が多い。
世界一食物繊維をとるメキシコ人はうんこが大きくて自殺や鬱の率が低く、日本は高い。
そういえばこの前「徹子の部屋」で松本明子が“しぶとい便秘が治ったら夫婦の会話が増えた”と言ってました(え?関係ない?)が、毎日機嫌よく穏やかに過ごすための必須事項ですね、腸内環境って。
免疫力の7割を作っているのも腸だということなので、頭より腹を大事にせねば。

全体的には免疫学の安保徹や、漢方の丁宗鐵みたいな雰囲気。
体や健康に対する考え方も近いと思います。

/「脳はバカ、腸はかしこい」藤田紘一郎

「丁先生、漢方って、おもしろいです。」丁宗鐵 南伸坊

2015年06月15日 | 暮らし・健康・理科っぽい話
《☆☆ 5/17読了 朝日新聞出版 2014年刊 【漢方】 てい・むねてつ(1947~) みなみ・しんぼう(1947~)》

南伸坊の質問は「そう、そこを聞きたかった!」ってことばかりでうれしい。

「中医と漢方は違う」という話から「実証と虚証」「免疫貯蓄」なんて話題になるにつれ、わたしは漢方という考え方そのものが好きなのかもしれない、と感じました。
この本の魅力は、漢方医学とその根底にある思想のおもしろさ、そして丁先生の雑談のおもしろさ、に尽きます。

糖尿病にかかる人の共通点や、梅毒が文化をつくった、なんて話に始まって、パニック障害、不妊、不眠、認知症などなど、わたしは当事者ではないから「おもしろ~い」と読んだだけですが、それらで悩んでいる人にはぜひおすすめしたいです。

近藤誠のガン放置論についても丁先生の見解が示されていて、かなり説得力があるものだと思いました。

/「丁先生、漢方って、おもしろいです。」丁宗鐵 南伸坊

「遺伝子も腸の言いなり」藤田紘一郎

2015年06月03日 | 暮らし・健康・理科っぽい話
《☆☆ 5/30読了 三五館 2013年刊 【腸 遺伝子 健康】 ふじた・こういちろう(1939~)》

「丁先生、漢方って、おもしろいです。」で南伸坊が言ってた「脳はバカ、腸はかしこい」を読みたかったんだけど、先に手に入った続編から。

脳は目先の快楽に弱く、恐怖に対する不安を勝手に生み出し、それに怯え、暴走する困ったやつ。
“脳”に頼らずミミズみたいに“腸”で考えよう。

第3章「脳がつくる恐怖は腸が解決する」もおもしろかったです。

「生物の歴史を遡ると、もともとは腸だけで立派に生きてこられたのです。問題は脳をつくったことです。おかげで私たちは、不安や怒りなどを感じるようになってしまいました」(102p)

例えば、本書ではパニック障害を起こした女性が、薬物療法→認知行動療法→自律訓練法→坐禅とたどって最後に食事療法で救われる、という話が紹介されています。
脳内のドーパミンやセロトニンは腸内細菌によって合成されているので、腸内細菌の餌となる食物繊維が豊富な食事に切り替えることでそれらを増やそう、という治療が功を奏したわけです。

この“脳ではなく腸で生きる”という考え方を知る利点は、とにかくラクになること、です。
ひろさちやや安保徹に近い考え方だと思いました。

睡眠中に不安におそわれて何度も目を覚ましてしまうという友達Xさんにも勧めたいです。

/「遺伝子も腸の言いなり」藤田紘一郎

「あの人の声はなぜ魅力的なのか―惹かれる声と声紋の科学―」鈴木松美

2015年06月01日 | 暮らし・健康・理科っぽい話
《☆☆ 5/30読了 技術評論社 2011年刊 【音声科学 声紋】 すずき・まつみ(1941~)》

ドップラー効果が起きるのはなぜか、何度聞いても理解できなかったあれがなんとなくわかりました、もちろん「計算式」は無理ですが。

おもしろかったのは、鈴木宗男がNGO問題を突っ込まれたときの答弁、そのときの「相当に動揺(131p)」していた声の周波数や、「鳴き龍」のしくみ、ジャパネットたかた社長(元)の声とトークがあんなに人の心を打つ(笑)のはなぜか、ハスキーとだみ声のどこが違うのか、録音した自分の声が変な理由、など。

これは“理由はわからないけど誰でも知ってること”の“理由”をわかりやすく教えてもらう面白さ、なんですね。
例えば、人と話をしていて「あ、この人、今日はなんだか元気がないな」とか「様子が違うな」と“感じる”ことがありますよね。
それはただの勘などではなく、根拠があることなんだ、というわくわく。(ビンラディンの声から健康状態を分析した)

全体的には、声・音・耳の仕組みなど、話題は広めで、1項目がすっきり短く、図版も多くて読みやすい。
ビギナー向けっぽい本で大満足でした。

/「あの人の声はなぜ魅力的なのか―惹かれる声と声紋の科学―」鈴木松美

「ゆるい生活」群ようこ

2015年05月06日 | 暮らし・健康・理科っぽい話
《☆☆ 5/5読了 朝日新聞出版 2015年刊 【日本のエッセイ 漢方】 むれ・ようこ(1954~)》

「人間の体は耐用年数が五十年くらいですからね。それ以降は食事などの毎日の生活習慣に注意するなり、第三者の力を借りていかないと、維持するのが難しくなりますよね」(191p)

なんかこう、決定的な大病というんではなく、体のあちこちにガタがきてるかんじ、養命酒のCMで未病という言葉を知ってはっとするかんじ、じわじわと漢方が気になります。

「若い頃は自分にいろいろなものを加えていくけれど、中高年になるとそれまで自分の身についたものを、やめる、減らす、変えることが必要になる」(214p)

漢方は、人体の「血・水・気」を総合的にみてくれるわけですが、群ようこは水が溜まりやすい体質だそうで、甘いものをやめて(糖が水を溜めて体を冷やすから)水を排出する漢方薬を服用することでかなりすっきりしてきます。
生活習慣を変える苦労は相当なもんだろうなあ、と思いつつも、その過程を読んでいると、こっちもさっぱりした気分になります。

しかし、それを維持するのは大変だし、何よりまともな体を手に入れたせいで、ちょっとした変化をダイレクトに体が察して反応してしまうってのはしんどいんではないでしょうか。
これを読んで、昔“ダダモ博士の血液型ダイエット”にハマっていた中村有志を思い出しました。
O型は小麦粉がダメだっていうんで一切口にせずにいて、ある日ちょっとパンか何かを食べただけで具合が悪くなった、だからダダモ博士は正しいんだ、という話をシティボーイズのライブで言ってました。
それに対するきたろうの答えは「おまえそれ、病気になったんだよ」でした。
群ようこがちょっと甘いものを食べたらてきめんに体が調子を崩す、それは漢方的にみたら「正しい反応であり、健康な体こその反応だ」ってことになるんですが、そして、それはその通りかもしれませんが、わたしはつい「いるか? その正しい体」とか思ってしまいます。
元々漢方にはとても興味があるし、この本とってもおもしろかったんだけど、「結局、健康って何よ?」という根本的な疑問が生まれた1冊なのでした。

/「ゆるい生活」群ようこ

「受験脳の作り方-脳科学で考える効率的学習法-」池谷裕二

2014年09月10日 | 暮らし・健康・理科っぽい話
《9/7読了 新潮文庫 2013年刊(「高校生の勉強法」(2002年 ナガセ刊)を改題、増補、一部改稿して文庫化 【脳科学】 いけがや・ゆうじ(1970~)》

旧題のとおり、脳科学者から高校生に向けた勉強法のすすめ。

記憶は“繰り返し”だ、“入力”より“出力”だ(だから何度も使うと定着する)とか、学習とはものごとの関連性を理解することだ、とか、“大人になると実感できる”ことがたくさん出てきて、これを中高生のときにわかっていたら…とがっかりするわけですが、それはさておき。
(わかっていたとしても、たかがしれてる気がするけど)

おもしろかったのは、「ファジーな脳」の項。
記憶というのはあんまり厳密だと役に立たない、人間は臨機応変にさまざまな判断をしなきゃならないけど、人生で完全に同じ状況が何度も来ることはまずないので、変化に対応できる曖昧な記憶こそが有用だ、という話です。
だから、最初からひとつのことを正確に覚えるのではなく、失敗を繰り返し、消去法で必要な情報を記憶するやり方を脳が選んでいるんだそうです。
しかも、脳は疲れないんだって。
(疲れたと感じるのは目とか首とか)
これにはちょっと希望が持てた。

我が身を振り返るに、40を過ぎて、ますますいろんなことを覚えられなくなり、忘れっぽくなり、大丈夫か自分?と問いかける毎日ですが、脳の仕組みや癖を理解してコツコツ勉強していったら楽しいかもしれないですね。
若い脳科学者というイメージがあった筆者も、もう40代。
この人の脳も衰えるのか。
彼が書く中高年向けの脳の話もぜひ読んでみたいです。

「私たちが人生とは何かを知る前に人生はもう半分過ぎている。(ヘンリー 詩人)」(208p)

/「受験脳の作り方-脳科学で考える効率的学習法-」池谷裕二

「「におい」と「香り」の正体」外崎肇一

2014年01月27日 | 暮らし・健康・理科っぽい話
《1/26読了 青春出版社 2004年刊 【生理学】 とのさき・けいいち》

かぐわしいジャスミンの香りの主成分はスカトール。
そう。糞便のにおいと同じ成分なんだそうです。
高濃度のスカトールは悪臭ですが、それを希釈するとジャスミンの芳香になるという不思議。

他にも、野生の象は、現地の人と白人のにおいを嗅ぎ分けられるとか、
「死体のにおい」の薬品がアメリカの製薬会社から販売されている(しかも、「新鮮な死体」「古い死体」「溺死体」の3種類ある!)とか、
居酒屋で聞いたら盛り上がりそうなネタがたくさん書かれてるんですが。

嗅覚やにおいの研究って、本書にもあるように五感の中で一番遅れてるんですね。
まだ解明されていないことも多いのと、全体的に話題が“広く浅く”なかんじで、ちょっと物足りなかったです。

動物の話もおもしろいけど、ここはひとつヒトの嗅覚に絞って、もっと深いところを教えてほしかったです。

/「「におい」と「香り」の正体」外崎肇一

「糖尿だよ、おっ母さん!」グレート義太夫

2013年11月28日 | 暮らし・健康・理科っぽい話
《11/27読了 幻冬舎 2009年刊 【闘病記 糖尿病 腎不全】 ぐれーと・ぎだゆう(1958~)》

普通、闘病ものってある程度回復して終わりませんか。
それはまあ、病気にもよるだろうけど、そこに何らかの希望(客観的にそれが希望であるかはさておき)が語られて本を閉じるっていう。
ところがこの本、体調が悪いのを夏バテかと思ったグレート義太夫が糖尿病の宣告を受けたところから始まり、治療→ちょっとよくなる(気がする)→服薬や通院や食事療法をサボる→悪化→怒られる→治療、というスパイラルで、やがて糖尿病性腎症になり、さらに腎不全、週3回の透析を受けるまでになるという、心細いことこの上ない話。

夫(つまり義太夫の父)を同じ病で失った母親を筆頭に、心配してくれるビートたけしや軍団の仲間、ウガンダを頂点とするデブタレント集団、ネットで知り合った糖尿病患者たち、そして医師や看護士。
彼らとのやりとりが優しさにあふれているから余計にこの人の弱さが目立ち、せめて離婚をしなければもうすこし進行が抑えられたんじゃないかと、親戚でもないのに悔やまれてなりません。

図書館でこの本を見つけ、NHKで水道橋博士が言ってたやつだ!と思い出し、ついつい読んでしまいました。
新刊かと思ったらもう4年近く前の本なんですね。
今はどんなかんじなんだろう。

糖尿病の本というと猪木が自力で克服した本を読んだくらいなんですが、今回この義太夫本を読了して改めて感じるのは猪木の凄さ、超人っぷり。
迷わず行けよ、行けばわかる、北朝鮮。

/「糖尿だよ、おっ母さん!」グレート義太夫

「人生を狂わせずに親の「老い」とつき合う」和田秀樹

2013年10月04日 | 暮らし・健康・理科っぽい話
《9/25読了 講談社+α新書 2012年刊 【介護】 わだ・ひでき(1960~)》

なんだか苦手なイメージがあった和田秀樹を初めて読んでみました。
タイトルの「人生を狂わせずに」というのがポイントです。
介護によって家族の人生が狂ってしまえば、する人・される人双方にとって不幸だもんね。

介護中の人にも、今はまだだけどいつかはという人にもおすすめしたい1冊です。

現在の日本の介護制度の問題点や介護の実状だけでなく、
当事者になったらどうしたらいいか、何に気をつけるべきか、
さらに、介護はまだ先の話という人もこれは知っておいた方がいい、ということまで、
論評だけでなくかなり実用的な内容が充実していて役立つ本です。
文体も歯切れがよくて読みやすいし、この手の本にたまにある「他人事感」「きれいごと言い」がないのがいい。

「「施設で死ぬのはかわいそう」という偏った発想は、中高年の女性や、老老介護を強いられているお年寄りの負担を、さらに増やす危険がある。
それよりは施設をもっと増やし、施設の労働者の待遇をもっとよくすることに金を使えといいたいし、それをマニフェストにしない政党ばかりなのが不愉快でならない。
(略)「親が元気だったから、見回りに行かないうちに孤独死をさせてしまった」と罪悪感を持つ人も多いようだが、「親が元気だったから行かなかった」のだ。だから、必要以上に気にしてほしくない。
施設死や孤独死を目の敵にする、ものの道理のわからない報道は、女性の敵、中高年の敵だという認識が、ぜひ日本中に広まってほしい」(76p)

とにかくとことん現実的なことしか書いてないところがうれしいし、なかなか人に相談しにくいお金のこともかなり率直に教えてくれます。

/「人生を狂わせずに親の「老い」とつき合う」和田秀樹

「「余命3ヵ月」のウソ」近藤誠

2013年07月07日 | 暮らし・健康・理科っぽい話
《7/6読了 ベスト新書(KKベストセラーズ) 2013年刊 【がん 医療】 こんどう・まこと(1948~)》

がん放置療法を提唱する筆者の新作。
先日亡くなった中村勘三郎が何度か話題になっていますが、ファンにはつらくておすすめできない本です。

「がんが恐ろしい病気と思われているのは、がんの治療のせいです。無意味な手術や抗がん剤がもたらす、生き地獄が恐ろしいのです」(51p)

摘出手術や抗がん剤はもちろん、免疫療法や野菜スープなど、完膚なきまでに否定されていて、でもきっと、この先生の言うことが正解なんだろうなあ、と思ってしまう。
巻末のQ&Aも、気がつくと納得してしまうんです。
たしかに、1ヶ月でも1日でも長く生きたい(生かしたい)気持ちは理解できるけど、ではどういう状態で生きるか、は意外と考えられていない。
人間の体もがん細胞も自然の一部なんだから、あんまり不自然なことすんな、という主張にもうなずけます。

しかし、医者でもないわたしたちにしてみれば“何が正しいか”なんてわかるはずもなく、結局“何を信じるか”しかないんですかね。
病気の専門家ではないけど、“自分の人生”の専門家として。

あとは、わたしや家族が当事者になったときにどういう判断をするか。
その日が来たらまた読み直そうと思います。

/「「余命3ヵ月」のウソ」近藤誠

「ドコバラ! シワの多いイケメン、大食い、美人薄命の謎」竹内久美子

2013年06月17日 | 暮らし・健康・理科っぽい話
《6/17読了 文藝春秋 2008年刊 【生物】 たけうち・くみこ(1956~)》

週刊文春に連載(平成19年1月~20年4月)された、読者の理科的質問へのお答え集。

例えば、玉木宏が笑ったときの頬にできるシワがすてき!という話(個人的には所ジョージのシワの方がはるかにすてきであることを確認しておきたいですが)。
このシワは、男性ホルモンの一種、テストステロンが少ないとできるものなんだそうです。
これは男性的な容貌や声、加えて暴力性なんかに作用するもので、テストステロン・レヴェルの低い男ほど、友好的で知的で、優しく思いやりがある、という研究結果がある。
筆者は、男性的であることと優しさとが両立することに驚いていますが、
わたしはそんなことまで科学者の研究対象になってる!という方に驚きました。

掲載当時の世の中の話題に関連したもの(ぶってぶって姫、赤ちゃんポスト、狂犬病とか)も多く、ニュースなどを見て湧いた“素朴な疑問”を気さくな学校の先生にぶつけてみた、みたいな本になっています。
スカンクのおならで死ぬか?とか、ギャル曽根の腹はどうなってんだ?とか。
そんな疑問です。
一つひとつの記事が短いので、空いた時間にポツポツ読むのにちょうどいい。
トンデモだという批判も多い著者のようですが、実害ないじゃないですか、ねえ。

寄藤文平の挿し絵もおもしろかったです。

ちなみに「ドコバラ」とは「動物行動学バラエティ」の略。
…あんまり、定着しなそうですね。


/「ドコバラ! シワの多いイケメン、大食い、美人薄命の謎」竹内久美子

「大便通 知っているようで知らない大腸・便・腸内細菌」辨野義己

2013年01月19日 | 暮らし・健康・理科っぽい話
《1/10読了 幻冬舎新書 2012年刊 【大腸 便 腸内細菌】 べんの・よしみ(1948~)》

[問題]日本人が一生のうちに出すうんこの量はどのくらいでしょう。人生80年として考えてください。

健康な便でも約80%は水分なんだそうです。
便秘などの硬いやつでも半分以上が水だというんだから驚きです。
残り20%のうち、食べ物の滓は意外と少なくて3分の1、はがれた腸粘膜が3分の1、腸内細菌が3分の1。
大便の研究というのは、つまりこの腸内細菌の研究なんですね。

みんな、何を食べるかについては関心が高く、いろいろな知識を求めるけど、どんなものをどう出すかには意外と無頓着かもしれないですね。
以前読んだ辨野先生のジュニア向け本「べんのおたより」がおもしろかったので、今回は一般向けの新書を読みました。
重複するところも多いですが、ほとんど忘れてるのでいい機会かも。

“いい大便を作る”という斬新な観点から食べ物をチョイスする--読むだけでも体に良さそうです。
これを筆者は「便のデザイン」と呼んでいます。
わたしは、この本で推奨されているヨーグルトが苦手なので、せめて毎日飲んでるヤクルト400は継続して、食物繊維をできるだけ食べよう、と決意した次第です。
体が大便を出そうとするのは、1日に1、2回だけなんだそうです。
だから、朝時間がなかったりしてタイミングをずらす日が続くのはよくないですね。
要注意です。

この本では、そうした“ためしてガッテン”的理想の便の話から、研究者の苦労話(テーマがテーマなだけにどうしても笑ってしまう)、世界の大便研究の最先端の話まで、フルコースでたっぷり堪能できました。
“大便”通になって“大”便通になろう!という1冊。

…ちなみに[答え]は約8.8トンでした。

→「べんのお便り」辨野義己

/「大便通 知っているようで知らない大腸・便・腸内細菌」辨野義己

「自分の体で実験したい-命がけの科学者列伝」レスリー・デンディ/メル・ボーリング

2012年08月18日 | 暮らし・健康・理科っぽい話
《8/16読了 梶原あゆみ/訳 紀伊國屋書店 2007年刊 【自然科学】 Leslie Dendy/Mel Boring》

ときには命を賭けてまで、“自分の体で実験”した科学者や医学者の話。
「訳者あとがき」にまとめてある内容をもとにざっくり紹介すると、こんなかんじです。

1 人間はどのくらい高温の空気に耐えられるか、みんなで試した。イギリス1770年代

2 食べ物はどうやって消化されるのか、自分の体でやってみた。イタリア1770年代

3 どんなガスや液体を摂取したら麻酔になるか、吸ってみた。アメリカ1840~70年代

4 ペルー特有の熱病の解明のために自分に菌を感染させた。ペルー1885年

5 黄熱病解明のために自分を実験台にした。キューバ1900~1901年

6 ラジウムの研究の末に被爆した。フランス1902~1934年

7 炭坑や海底などの危険な場所で働く人のために、自ら危険な気体を吸い続けた。イギリス1880~1940年代

8 自分の体を使って心臓カテーテル法を試み、成功させた。ドイツ1920~1950年代

9 スピードと減速時にかかるGの限界に挑戦した。アメリカ1940~1950年代

10 たった一人で長期間隔離されると心身にどんな影響が出るかを知るために洞窟にこもった。アメリカ1989年

これらの実験で命を落とした人も何人か出てきます。

この中で、やってみたい実験ありますか。
2番目のなら命を取られる心配はなさそうですが、袋に肉を入れて飲み込み、排泄された袋から中身を取り出して調べるとか、胃液のはたらきを知るために空きっ腹で自らの胃液を吐き出すとか、やっぱりキツそう。

10の、洞窟実験をした女性だけは科学者ではなく、インテリアデザイナーです。
自ら志願して被験者になった彼女がその後漏らした「できるかどうか自信のなかったことでも、今ならできます。でも、ときどき自分がもうこの世にいないような気がするんです」(190p)という言葉はちょっと怖い。

7の、呼吸の研究をした親子は、窒素・酸素・二酸化炭素・ヘリウムなどからいくつかの有毒ガスまで、さまざまな気体を吸っています。
この、かなり命がけ度の高い、危険な実験をした彼らの家の家訓が「耐えよ」というのがまたすごいです。

結果的には世のため人のためになる実験だけど、やる側の人はそういう目的は二の次、結局は真理の追究の魅力に捕まり、とりこになっているんだろうと思います。
彼らに共通するのは“知りたい!”という強い欲求と好奇心、集中力、そして忍耐強さです。

山崎努の本で取り上げられていて、面白そうだったので読んでみました。
期待以上でした。

/「自分の体で実験したい-命がけの科学者列伝」レスリー・デンディ/メル・ボーリング
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「ちゃんと食えば、幸せになる 水木三兄弟の日々是元気」水木しげる

2012年05月13日 | 暮らし・健康・理科っぽい話
《5/12読了 保健同人社 2012年刊 【暮らし 食べ物 水木しげる】 みずき・しげる(1922~)》

「人間の幸せというのは、三度の飯が食べられること。結局コレにつきる」(99p)

水木三兄弟(宗平(92)、しげる(90)、幸夫(88))の元気と長寿の秘訣を探るべく、彼らの好物を大特集したラブリーな1冊。

うなぎや牛ヒレステーキといった「ごちそう」から、空色のアイス(=ガリガリ君)まで、あらゆるおいしいものを挙げてみんなで語りあう!
とにかく登場するものすべてがおいしそう。
3人とも洋食好きなのが意外でした。
そうだ、好きなものを食べればいいのだ。
まさに、帯にもあるように「食を楽しめる人は人生も楽し」です。

人並みはずれた丈夫な胃袋を授かった水木さんですが、
健康で楽しい毎日の秘訣があるとしたらタイトルの「ちゃんと」にあるのではないかと思いました。
つまり、家族や仲のいい人と、楽しく食べること。これです。
ひろさちやも「おいしいものを食べるのではなく、“おいしく”ものを食べるんだ」と言っていたし。

「人間はいろんなものを食べますが、死ねば大地に食べられるわけです」(172p)

/「ちゃんと食えば、幸せになる 水木三兄弟の日々是元気」水木しげる
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「なぜ脳は、ヘンな夢を見るのか?」ライフ・サイエンス研究班/編

2011年01月06日 | 暮らし・健康・理科っぽい話
《1/6読了 KAWADE夢文庫(河出書房新社) 2010年刊 【夢 睡眠】》

夢が支離滅裂だったり、逆にストーリーがあったりするのはなぜか。
犬や猫も夢を見るのか。
楽しい夢より怖かったり不安だったりする夢が多いのはなぜか。
例えば目が見えない人はどんな夢を見るのか。
金縛りや夢遊病とはどんな現象か。
そもそも寝ている間、人間の体内では何が起きているのか。
さらに、夢の活用法まで。

夢や睡眠について、およそ思い付く疑問はほとんど網羅している(と言っても過言ではない)雑学本。
巻末に、参考図書として7冊の専門書があげられていて、
早い話が、これらをしっかり読んでくれた誰かが、「夢について、今のところここまで解明されてるよ」っていうダイジェストを作ったわけですね。
こういう本、大好き~。
しかも、この手の(著者が名乗っていないような)本にありがちな「書いてる本人がわかってないな」と思わせるいいかげんな箇所が見当たらない!
雑学系のテレビ番組みたいな親しみやすさと分かりやすさで、読みながら「へえ~」の連続でした。
あー おもしろかった。

/「なぜ脳は、ヘンな夢を見るのか?」ライフ・サイエンス研究班/編
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