十勝の活性化を考える会

     
 勉強会や講演会を開催し十勝の歴史及び現状などを学ぶことを通じて十勝の課題とその解決策を議論しましょう

日本の社会福祉制度

2022-11-17 05:00:00 | 投稿

日本の社会福祉制度は高いのだろうか。北欧三国が福祉国家として注目をされているのは、世界的に見ても社会保障制度が充実しているからだろう。具体的にどういった内容かと言うと、医療費や教育費は基本的に無料、妊娠から産後までの医療費ももちろん無料でサポートしてくれる。

北欧で暮らす人は無料でありながら、世界水準的に高い医療サービスを受けることができる。特にデンマークやフィンランドは、外国に住んだことはないが、欧州の中でも優良だそうである。教育費においては、義務教育から大学まで無料で通うことができる。リタイア後のおじいちゃんやおばあちゃんであっても平等に学ぶ機会が与えられているのである。

やりたいことや方向性が変わったとしても、やり直しがしやすい環境が整っているので積極的に挑戦しようという意欲を後押ししてくれる。介護や年金でもしっかりとしたサポートを受けられるので、老後の不安も少ない。

日本の社会福祉制度は、長年、行財政両面からの公的サービスを根幹とする措置制度により運営されてきたが、財政難の煽りから契約制度に変わった。スウェーデン、ノルウェー、フィンランドの北欧三国は他国と比較して社会保障制度が充実していると言われるが、税率が高いことでも有名である。

そこで今回は、北欧三国のそれぞれの税制と税の使途を見ながら、世界から見れば税負担が低い日本の現状と比較してみよう。良いサービスを受けるためには、それなりの負担をしなければならない。国民みんなで負担をし、お互いを支え合うというのが高福祉・高負担の考え方である。

北欧三国は、特に福祉サービスや医療制度、セーフティーネットが充実している。そのため制度を維持するための税率が高いのが特徴である。

(※:財務省の消費税などに関する資料)

北欧の社会保障政策の特徴は、日本と北欧三国を比べると「国民負担率」に大きな差があることが分かる。国民負担率とは、「租税負担率」と「社会保障負担率」を合計したもので、国民がどの程度の税負担をしているのが分かる指標である。上の図を見てみると、スウェーデン・フィンランド・ノルウェー三国の国民負担率が50%を超えており、日本の負担率の約1.5倍程度にもなる。消費税で比べても大きな差がある。日本の消費税は、現在、一律10%と定められている。

一方、スウェーデンとノルウェーの付加価値税の税率は25%、フィンランドは24%と、日本の約3倍もの消費税を支払わなければいけない。

北欧では、消費税率が軒並み25%を超えるが、国民は納得して納税している。その理由は、この税金が自分たちに戻って来ることを判っているためである。日本も税金も使い道が決まっているが、ふたを開ければ使い道が不透明で、その結果、弱者切り捨てになっている。そこで行政に頼ってもしょうがないので、これからは「介護予防」がキーワードになると思われる。

住民は行政に陳情するのではなく、「こういうことをやりたいので協力して欲しい」という提案型公共サービスが主流になっていくと思う。知恵を出せば、お金を使わなくても充実したサービスが生まれてくるものである。なお、消費税と付加価値税は同じものと考えることができる。

先日、地域包括支援センターでやっている高齢者いきいきふれあい館「まちなか」で、無料の体操をやってきた。柔軟・ストレッチから始まり、“どさんこ体操”など5個程度の体操をやってきた。参加者は約25人程度で平均年齢75歳の女性が主体であったが、そのパワーに圧倒された。女性の平均寿命の長い理由が、ここにもあったのである。 

「十勝の活性化を考える会」会員 


二道都体制

2022-11-16 05:00:00 | 投稿

野村総合研究所の未来創発センター室長の斎藤義明氏が、札幌と十勝・帯広の50年後の“二道都体制を、地元の十勝毎日新聞に投稿していた。住めば都といわれるが、十勝人にとっては嬉しい話であるので抜粋を載せよう。

『十勝には開拓者の血が流れ、独立心のある人が多いと感じる。道内の他都市のような「支店」経済にはない、地域資源を使って自分で仕事を作っていく独自のスタイルを持っている。

全国有数の晴天率という環境のせいか、ポジティブで快活な人が多い。日高山脈が壁になる、札幌に影響されにくい経済圏、大規模農業を土台に経済も安定し、中心街は他都市と比べて元気。人口減による暗さを十勝には感じない。(後略)』

全国各地に住んだ者として感じるのであるが、日本の食糧基地として“フードバレーとかち”と言われるだけあって、農作物は寒暖の差があり糖分も高く美味しいのである。これは、2019年に放映されたNHK連ドラ「なつぞら」の俳優さんたちも同じことを言っていた。

そのために関西方面からの移住者も多く、札幌圏に続いて人口減少率が低い。北海道は“でっかいどー”と言われるが、十勝は7番目の広さを誇る岐阜県と同じ広さで、とても大きいのである。私の従兄は帯広市の隣りまちで酪農を営んでいるが、農地の広さは分散しているものの2キロ*8キロぐらいある。

そのために牛の飼料はほとんど自前で調達しているそうであるが、トラクターで牧草を収穫するものの最後は外国人労働に頼らないといけない。そのため悩みの種は、酪農ヘルパーに支払う24千円の日当だそうである。

十勝の食糧自給率は1,300%あるが、日本の食糧自給率は40%弱である。日露戦争で活躍した乃木希典将軍が言っていたように「国富在農」であるから、日本はもっと農業を大切にしなければいけないと思っている。

「十勝の活性化を考える会」会員

注) 日高山脈と十勝平野

(出典: 『ウィキペディア(Wikipedia)』より)


未来社会とは・・・

2022-11-15 05:00:00 | 投稿

自然豊かで農業や観光が地域を支えている十勝は、北海道の中でも札幌圏に次いで人口減少率が少ないところである。これからは地方の時代になる可能性があり、我々はどのような “未来社会”を望むのか、一人一人が考える時期にきているのではないだろうか・・・・。

札幌と十勝・帯広の50年後の二道都体制を、野村総合研究所の未来創発センター室長の斉藤義明氏が、地元新聞に投稿していた。

『十勝には開拓者の血が流れ、独立心のある人が多いと感じる。道内の他都市のような「支店」経済にはない、地域資源を使って自分で仕事を作っていく独自のスタイルを持っている。

全国有数の晴天率という環境のせいか、ポジティブで快活な人が多い。日高山脈が壁になる、札幌に影響されにくい経済圏、大規模農業を土台に経済も安定し、中心街は他都市と比べて元気。人口減による暗さを十勝には感じない。(後略)』

全国各地に住んだ者として感じるのであるが、日本の食糧基地として、またフードバレーとかちと言われるだけあって農作物は、寒暖の差があり糖分が高く美味しいのである。

十勝の食糧自給率は1,300%あるが、日本の食糧自給率は40%弱で、日露戦争で活躍した乃木希典将軍が言っていたように「国富在農」であるから、日本はもっと農業を大切にしなければいけないと思っている。

ところで、世界で2千万部が売れてベストセラーになっている著書『サピエンス全史』を書いたハラリ氏は、人間は個人主義化し“戦争と競争の時代”に突入し、10年後の世界は予想できないと語っていた。

また、未来学者 エイミー・ウェブ氏が、コロナ後の社会について、社会が急速に変わっていく時、「目の前の小さな兆しをキャッチし、5年後・10年後の未来を予測することが出来る」とも言っていた。

道東唯一のデパート“藤丸”が来年1月末で閉店するそうであるが、デパートの閉店は全国的な傾向で十勝に限ったことではない。未来学者によれば、5年後・10年後の未来を予測できると言っていたが、デパートの閉店により、中心市街地は寂れていくということだろうか・・・。

未来社会がどんなものになるか見当もつかないが、将来的に日本は人口の急減で貧民国家になることは事実だし、国力が弱くなって国の財政悪化も避けられないだろう。

それでは、どうすべきか。戦後間もなくの日本がそうであったように、耐えることだろう。なお、賞味期限を考慮して食べることができる食品をいとも簡単に捨てる国はあまりない。

十勝の活性化を考える会」会員

注) 十勝はこんなところです。

十勝は、北海道を14に分けた行政区画である振興局の一つで、北海道の東部に位置し、1市16町2村から構成される地域です。 十勝の開拓は、明治16年(1883年)に「晩成社(明治15年1月、現在の静岡県松崎町で結成)」一行27人が、下帯広村に入植したことによりはじまりました。

その後、寒冷な気象条件にありながらも、広大で恵まれた土地資源、年間2,000時間を越える日照、良質な水資源等、豊かな自然環境の中で、農業・林業・水産業といった1次産業を柱に地域が発展してきました。  (出典:十勝観光連盟ホームページより)

                          


内部留保

2022-11-14 05:00:00 | 投稿

日本企業の“内部留保”の額が500兆円を超え、過去最高を記録している。これを受けて、「賃上げなどによってもっと従業員に還元すべきだ」などといった議論がある。この20年あまり、先進諸国と比べて日本の賃金は、全く増えていない現状である。

内部留保というと内部にお金を貯めこんでいるイメージを思い起こすが、正確には「利益剰余金」といい、利益から法人税や株主などへの配当を行なったあとに残った金額である。内部留保は、企業の資金調達の方法として極めて重要なもので、企業が資金を確保する方法は、大きく分けて以下の3つしかない。

  1. 内部留保(利益剰余金)
  2. 投資家等からの出資(新株発行等)
  3. 金融機関からの融資

  このうち、中小企業の大部分を占めるオーナー企業にとっては、外部の投資家等からの出資を受けることは困難である。 また、金融機関からの融資も、財務状況が良好でなければ有利な条件で受けることができない。

結局、それまでにどれほど業績を積み上げてきたかによって企業判断は大きく左右されるので、内部留保はその重要な証である。 

従って、内部留保を積み上げることは、企業が資金を確保する方法としてきわめて重要である。すなわち、内部留保の額が大きいことは優良企業の目安のひとつで、「自己資本比率」が高いことは良いことである。なお、トヨタ自動車の自己資本比率は4割弱である。

ところで、円安や物価高対応を中心とした約30兆円の大型経済対策が閣議決定される予定で、これらはすべて赤字国債が財源となる。円安を食い止めるために日銀の金利引き上げがあるが、国債の暴落も懸念されるので、そんなに簡単なことではない。

そこで、日本の借金である国債を一体誰が払うのかという心配がでてくる。個人には、借金を返済できなければ自己破産の申立が出来るが、国は基本的にはできない。

国の財政を立て直すためには収入を増やすか、支出を抑えるしかないので、あまり良い方策が見当たらない。ただ、法政大学の水野和夫教授が、以下のことを主張している。

『2019年3月末現在、企業の内部留保は、463兆円ある。このうち263兆円は、バブル経済以降の1989年以降に積みあがったものである。今回のコロナ禍に際して、“新型コロナ国債”なるものを発行して、この263兆円を減資して企業からお金を吐き出させようということである。企業は社会的な存在であり、今回のようなコロナ禍による非常事態には当然のことである。』と。

日本経済を支えている資本主義というものが問われており、上述した水野和夫教授の考えは、企業の税負担になり議論が分かれるところであるが、個人的には大変良いアイデアであると思った。なお、国家予算については、次のとおりである。

<国家予算>

日本の国家予算は、約100兆円である。国家予算が成立した後に何らかの理由で必要事案が発生し、予算案での執行が難しくなった場合、「補正予算」といって予算を組み替え追加する場合がある。

日本の国家予算は、一般会計の約100兆に加えて、特別会計が200兆円規模である。特別会計は目的ごとの予算で、国がどの事業にどのくらいお金を使ったのかを明確になりやすいという特徴がある。なお、特別会計のほかに「第二の予算」と言われる財政投融資がある。

財政投融資とは、以下のとおり。

  • 租税負担に拠ることなく独立採算で行なう事業
  • 財投債(国債)の発行などにより調達した資金を財源
  • 政策的な必要性があるものの、民間では対応が困難な長期・固定・低利の資金供給や大規模・超長期プロジェクトの実施を可能とするための投融資活動。 これには、公庫・公団などがある。

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