goo blog サービス終了のお知らせ 

Northern Liquor Mountain

くじ引きによるリレー小説と書き手の生態など。

タイトル思いつかないのでご勘弁を

2009-09-04 09:23:23 | リレー:2008 秋 深司とアキラ②


「ホントかよ……」
半信半疑になりつつもアキラが深司のために動く。

冷凍室の扉を開けてギュウギュウに詰まっている冷凍室の中から冷凍食品や残り物を冷凍しているのかタッパーを一度取り出して探しだす。

しかし、深司の言うようなあの丸こい形で橙色の物体は出てこない。

「深司、みかんないぞ?」

「……そんな、こと、ない」

と言いつつ小さな声で「はず」と付け足す。

しんどいのだろうフラフラとしながら立ち上がり、アキラの元に近寄ってアキラが外に出したタッパーの山を確認していく。

「剥いてあんなら、剥いてるって言えよ」

アキラの非難を無視して相変わらずマイペースに外に出ている分を調べ終わると、庫内に残っているタッパーの中身を調べて行く。
アキラはまったく人の話を聞いていない幼馴染みに溜め息を漏らしつつ、探すのを手伝う。

「……あった」

「良かったな」

そう言って深司の持っているものの中身を覗き込む。
が、どう見てもミカンよりも少し大きいような気がしてアキラはこれがみかんかと尋ねる。

「そうじゃないの?」

そう言ってみかんが入ったタッパーと引き出しの中からフォークを出して、一人さっさとこたつの中に潜り込む。
アキラは冷凍庫の中から取り出したまま戻されない冷凍庫の中に入っていた物を慌てて
一人で戻していく。

アキラが一人冷凍食品と格闘しているのを深司はそっちのけでカチンコチンに凍ったみかんにフォークを突き刺す……が、硬過ぎてなかなか突き刺さらない。

「深司、これは一体いつから冷凍庫に入ってたんだ?」

「……うーん、いつだっけ?」

橘の質問に可愛らしく首を傾げる。

「古いのだったら止めた方がいいぞ」

「そこまで、古くないはず、です」

朦朧とした頭で記憶を辿るが結局思い出すことができず、まぁいいかとみかんを食べようと躍起になる。


「橘さん、これってみかんですか?」

ようやく冷凍庫に何とか全部押し込むとアキラが二人の元に戻ってきた。
いつから入っていたのかも気になるが、これが本当にみかんなのかがアキラは気になって年長者の橘に質問してみる。

橘は深司の手元を覗きこみ首を傾げる。

全部剥いてあるそれは確かにみかんと言うには少し粒が大きく、みかんよりも少しだけ色が薄いような気がする。

「みかんの味か?」

突き刺すのを諦め今度は削るようにして少しずつ食べている深司に聞く。

「冷た過ぎてよくわかんない……」

「深司、こたつあんだからちょっと中に入れて溶かしてみたらどうだ」

「それ、冷凍みかんじゃなくなる……」

「完全に溶かさなくていいからさ」

「…………ん」

手元の凍りすぎて食べるのも一苦労のみかんに視線を落とし、しばらく考えたのち静かにタッパーのふたを閉じてこたつの中に入れた。



時間にして4分ぐらいして深司はこたつの中からタッパーを取り出しふたを開けた。

半分溶け始めたそれは先程はフォークで突き刺さらなかったが、今度は簡単に突き刺す事ができ、さっそく深司は一つ口に運ぶ。

「んー」

「美味いか?」

橘の問いに頷く。

「なぁ、一個貰っていいか?」

本当にみかんなのか気になって仕方のないアキラが聞くと一瞬深司は嫌そうな顔をしつつタッパーをアキラの前に差し出す。
差しだされたタッパーの中からやや大き目のを選んで口の中に放り込む。

「みかんか?」

橘も少し気なっていたのかアキラに尋ねる。

「んーん? みかんっぽくないですよ」

「深司、一つ貰うぞ」

そう言うと深司の返事を聞く前に一つ取って食べる。

まだ冷たいせいもあってか、味が分かりにくいがこれはみかんではない。
なんだったかと考えているとアキラが何か分かったのか大きな声を出した。

「……うるさい、アキラ……近所迷惑」

先程アキラに大きいのを取られた事と体調が悪いせいもあってか深司の機嫌がどんどん悪くなっていく。

「深司、やっぱこれみかん違うって」

「……じゃぁ、なにさ」

「これ伊予柑だって。ほら、三日程前俺のオカンが柑橘系のでゼリー作ったのの残りだって」

「……あー」

思い出したのか深司はうんうんと頷き、立ち上がって再び冷蔵庫に向かった。
今度は冷蔵室の扉を開け中を漁って、ボールを取り出してついでにスプーンを持って戻ってきた。

「これ、あったの忘れてた」

「まだ残ってたのかよ」

「これがアキラのお母さんが作ったゼリーか」

「アキラ食べる?」

「いい」

「じゃ、ハイ。どうぞ」

サムゲタンもすでに食べ終わっていた橘の前にスプーン付きで差し出した。

「えっ」

「あ、安心して下さい。味には問題ないんです……味は……」

遠い目をするアキラを不審に思いながらボールに掛けられているラップを取ってさっそく食べる。
果肉も入っていてアキラの言う通り、味に問題はない。むしろ、美味しい。
それにも関わらず二人は橘と言うよりもゼリーから視線を外したまま、静かに自分の食事に集中していた。
不思議に思いながらも、橘は黙々とゼリーを食し始めた。


「…………」

さすがに4分の1程食べれば苦しくなって、アキラと深司に返そうとしたが二人は声を揃えて「「どうぞ、どうぞ」」と言って差し出しだボールを押し返してきた。

「俺達もう十分過ぎるほどに食べたものなんで、橘さんにあげますよ」

「……遠慮、しないでください」

「いや、でも……あ、ラップして冷蔵庫戻しておくな」

「ついでに帰宅される時、持って帰ってもらって良いですよ」

「…………うん」

アキラの言葉に深司もうんうんと何度も頷く。
味は問題無いのにどうしてなのか尋ねると二人は盛大な溜め息を漏らし答えた……。

「うちのオカンがなんでか急にゼリー食べたいって言い始めて……目分量でテキトーに作った結果凄い量になってですね……まだそれは良いんっす。ただ、今橘さんが食べてるのみたいに中に果物の果肉を入れたりしてたんですよ……何を思ったのかうちのオカンは……とてもゼリーに入れるには適してないものまで入れて……ですね」

「……あれはホントに酷い」

「あまりにも多かったので深司の家にもお裾分けしたんですよ……もちろんランダムで」

その時の事を二人は思い出したのかゲッソリとした顔をしている。

「そ、そうかでもこれは美味いぞ」

「……当分ゼリー見たくない」
「俺も」



口を揃えて言う二人はまだ知らなかった。
3週間前の雑誌のインタビュー受けた時に深司の答えで再びゼリー地獄に陥ることに……。




                      




リレーの題を決めてから一年以上経ってしまった…。

これから仕事行って来ます。
帰ってきたら見直すかもしれないし見直さないかもしれません。

はぁ、仕事いやだな……

王女は気まぐれ? アキラを悩ます深司のワガママ10連発!?

2009-01-18 13:23:16 | リレー:2008 秋 深司とアキラ②
アキラと橘の会話がちょうど一段落したとき、ピンポーンとチャイムが鳴った。

「おっ、深司のご両親か?」

「まさか。自分ちのチャイムなんて鳴らさないっしょ? たぶん、うちのオカン」

こたつから立ち上がりかける橘を制して、アキラが玄関に向かう。
うず高く丸まったこたつ布団の中の深司は、その気配にもぴくりともしない。
相当しんどいのだろう。
やはり今後のスケジュールは深司の体調に合わせて組まなくてはな、と決意する橘だった。

「はーい、お待たせしましたー。オカン特製サムゲタン入りまーすっ」

大きな土鍋を両手で下げて戻ったアキラは、連日の疲れも忘れたような上機嫌で、

「うちのオカン、最近、料理教室に通いだしたんスよ」

二つのラーメン鉢に料理を盛りつけ始める。
「オカンにち○こ踏んづけられた!」だの「マスかいてるトコ見られた!」だのデリカシーに欠ける母親(アキラ談)らしいが、深司の様子を――おそらく先ほどアキラが自宅に戻ったときにであろう――聞いて、こうして差し入れてくれるのだから、なかななどうして気の利く女性ではないか、と橘は思う。
ちなみに目鼻立ちのキリッとした江住まちこ似の美女で、そんな母親を持ちながら、どうしてアキラはその十分の一も優れた容姿を受け継がなかったのか、心の底から悔やまれるばかりである。

「おい、深司……まだ起きてるか? オカンがサムゲタン持ってきたんだ。ちょっとでも食べとけよ」

いまだ目を瞑ったままの深司の頬を、アキラがやんわりと撫でる。深司はその手を嫌がるように顔を背け、

「うう…座るの、しんどい」

「でも、なにか腹に入れないと薬も飲めねぇし、ほら、お前、晩飯もおにぎり一個しかくわなかったじゃん?」

「……」

「ワガママ言うなよー。ほら、橘さんも心配してるし」

「……ん」

「ん?」

「みかんなら食べられるかも……」

こたつにはみかんという冬の風物詩が、深司のなかにはあるのだろうか。
だがしかし、季節はまだ残暑も厳しい九月である。
みかんなんてあるのか?と橘の脳裏に不安が横切った。

「冷凍みかん、ある」

橘の不安をよそに、深司が断固とした片言で冷凍庫をさした。


♪ ♪ ♪


コココです。昨夜から書いてるんだけど、文章の書き方を忘れたな。
BL小説の書き方なる本を読んだほうがいい。輪状企画が本格的に始まるまえに、マジで読んだほうがいい。

三ヶ月近くも間を開け、さらに短くてすみません。
笹さんに丸投げバトンパスです。
大丈夫、冷凍庫にきっと伊○柑が入ってるから(ネタバレ)。

深夜の密会!? アイドルたちの秘められた夜

2008-10-22 20:30:49 | リレー:2008 秋 深司とアキラ②
橘が、かつて一世を風靡したその端正な容姿で深司とアキラの保護者たちを半ば催眠術のように篭絡したのは、もう三年も前のことである。
元々彼の熱狂的なファンであった母親たちはもちろんのこと、最近の若者は何だ! と憤慨しながらビールをあおる父親二人ですら、でも橘さんの金髪は男らしいし、よく似合ってるよなあ、などとうっとり呟き、憧憬に満ちた瞳で、晩酌の席になぜか居る橘にビールを注ぐのだった。
昨今は姿かたちが優れていてしかし親しみやすく、身近な存在だというのが男女ともどもアイドルの在り方になっているが、一世代前、昭和のトップアイドルは容姿・歌唱力・ダンス・人柄・そして華やかさという名の圧倒的なスターオーラ、これら全てを兼ね備え、一般人とは別世界にいてこそ、だったのである。
深司とアキラの家族のみならず、韓流ドラマにダダハマりしていたご町内の数十世帯も、いまや橘がいればヨン様はいらないと井戸端会議で囁き合う始末だ。
そんなわけで、この町内ならばどのお宅ででもフリーパスで晩ご飯をごちそうになれる元アイドルが、仕事帰りに深司あるいはアキラの家に引き留められること数百回、もはや橘は両家族の一員のように家族の輪に溶け込んでいた。
ゆえに今も、なんの違和感もなく同じコタツに長い足をそれぞれ突っ込んでいる三人である。

「しかしなんだ、コタツってやつはどうしてこんなにぼんやりまったりとした気分にさせるんだろうな」

別段興味があるわけでもないテレビ番組から視線をそらさないまま、橘がアキラに話しかける。

「あ~、わっかります、なーんかまどろんじゃうっていうんスかね! でも、アグレッシヴさの擬人化みたいな轟さんでも、やっぱそうなんスね~」

ハハハ、と笑いながらもアキラはすでにコタツのテーブルに頭をもたせかけ、とろとろと瞼を半分落しかけていた。
首まですっぽりとコタツに入って生首状態の深司が、何がアグレッシヴさの擬人化だよ……と、茹った顔で呟く。
余談だが、深司もアキラも、家では橘のことをちょくちょく轟さんと呼ぶようになって久しい。もう、お前はこの二人の何なのだといった感じの橘である。

「うお、深司、起きたか」

「大丈夫か?」

つい先ほどまでは目を閉じてくったりとしていた深司が言葉を発したので、アキラも橘も心地よいまどろみからハッと我にかえった。

「うう~……」

真っ白な額に玉の汗を浮かべながら、深司が唸る。
すっかり収納場所を覚えてしまったひえピタを棚から引っ張り出しつつ、アキラはやれやれと肩を竦めた。

「気力振り絞ってまでツッコまなくていいっつの」

額に張りついた黒髪をそっとよけてやり、汗をぬぐってひえピタの貼付場所を深司のデコに確保している甲斐甲斐しい橘に、包装を破ってひんやり冷たいシートを手渡す。

「大丈夫か?」

「うう」

「ひえピタで足りるか? 何ならタオルか、氷嚢を持ってくるが」

「ちょっと、持ってくるがって、俺がでしょ、轟さん」

「うう~、そこまでは……大丈夫です……」

深司はそう言ったきり、薄く開けていた目を、またすうと閉じてしまった。
再び喋らなくなった深司を見下ろしながら橘は、お手入れ一切なしで完璧に整っている眉根を寄せた。

「アキラ、これは本当に大丈夫なのか? すごく苦しそうなんだが……」

「うーん、そう言われれば、ちょっと回復が遅いっスかねえ?」

「そもそも、熱がある体をコタツで温めるのはどうなんだ?」

「でも、深司はこうやってガーっと暖かくして、熱を上げるだけ上げきったほうが早く治るんスよ」

「ふむ……」

よくわからないが、幼なじみのお前が言うなら……と考え込む橘。
アキラも彼も、過ぎるほどに健康体で、病気のことはよくわからないのだった。



◆◇◆◇◆◇

3番手は向いてないな……
どこまで進めていいものか分からないよ!
ぎくしゃくして短いし、全然話進んでない~!!
でもこれ以上進めると、あとの2人が書くことない?
よね?
私にはラスト走者が向いていると思う、照夫でした。


ところで今週の飛翔はやばかった、な。
再生カラーもあれでしたが、おきひじ100%だった、な。
さらに来週もおきひじなんだ、な。

死ぬな……(私が)

なんで空矢口御大の描く14郎はあんなに攻受ヒエラルキーの最底辺なんですか?
いや、個人的嗜好は置いといてもさ……置いといてもさぁ!!!

人気絶頂アイドル 深司とアキラの知られざる裏の顔

2008-09-29 03:29:50 | リレー:2008 秋 深司とアキラ②


左折し、しばらくそのまま真っ直ぐ進み住宅街もそろそろ終わりかというと所でワゴンは止まった。
スピードを出すことを強要されていた高木は無事目的地に着いた事に安堵の息を漏らし、すぐエンジンを切って車から降りると後部座席のドアを開けた。

「……ん? 電気消えてっけど……」

真っ先に車から降りたアキラが深司の家を見て首を傾げた。
そして家のインターホンを鳴らすが、何度鳴らしても家の中から返事はない。

「深司、おばさん達は?」

どういうことだと夜なのであまり大きな声を出せないので小声でまだ車の中にいる深司に尋ねるが、当の本人も首を傾げてどういうことなのかわからないという顔をしていた。

「……さぁ」

のっそりと車を降り自宅の玄関先深司が首を傾げながらアキラの問いに答える。

「さぁ、って。さっき電話した時になにか聞いてないのか?」

轟が高木とともに二人の荷物を分けて持ち家に運ぼうと車を降りながら尋ねるが、深司は何か考えるかのようにあごに手を当てて黙り込んだ。
コンサートも無事に終わり、打ち上げを主役の特に深司の体調を気遣い早めに切り上げ戻った控え室で二人が家に電話していたのをその場にいた高木と轟も見ていた。

「あーそういえば……なんか言ってたような気がする」

「気がするって……まぁ、おばさん達帰ってくるまで俺んちに居るか?」

手をぽんと叩き思い出した事を口にしたが、結局は問題の解答にはならずアキラはため息を漏らしながら隣にある自宅を指差し深司に尋ねた。

「そうそう、それがいいよ」
「一人よりアキラの家のほうが安心だしな」

大人二人は一先ず安心したようにホッとしていたが、深司は一人渋い顔をした。

「……家がいい」

「深司?」
「深司君?」

まさかの言葉に大人二人は慌てふためくが、深司の答えを大体予想していたアキラは慌てる大人を見てため息を吐いた。

「深司、カギは?」
「……持ってる」
「じゃ、先に家に戻って着替えとけよ。俺も着替えたらそっち行くし」
「わかった」

「高木さん、俺の荷物ちょうだい」

高木から荷物を受け取ると急いでアキラは自分の家に戻った。

勝手に決めてしまった二人に大人二人はなにやら深司に抗議していたが、無駄だと分かったのかすぐに住宅街は静かになった。


家に帰りで迎えてくれた母に事情を話しアキラは急いで着替えて今ハマッているゲームを持って深司宅に向かう。

勝手知ったるなんとやらで深司の家の中に入り、明かりの点いている居間に行くと何故か轟がこたつに足を入れてぼんやりとテレビを見ていた。

「あれ? 轟さんだけ? てっきり高木さんもいると思ったけど」
「ああ、高木君は帰ったよ」
「深司のところはホントにこたつ出すの早いな~」

分かっていたことだけど、と苦笑いしアキラもこたつの中に入って持ってきた携帯ゲームの電源を入れた。






                  

さんざん待たせた挙句がこれでゴメン。
先々週にはupするつもりだったのに……。

調子というか、テンションというか……がマシになってきたのでオチは頑張る。
でも、タイトルは難しいです!

沖縄の件もちゃっちゃとやっていくよ。
チケットも取りに行かないとだしね!
まぁ、それに関してはメールで送りまね~

『華麗なる不死鳥伝説! 帰ってきた橘轟!!』

2008-08-31 10:01:43 | リレー:2008 秋 深司とアキラ②

一定間隔で灯る街灯に輝きがかすむ星空の下、かすかに鈴虫の声が響く9月下旬。
秋分の日。
時間にして午後10時。
都内とは言えもの静かな住宅街の間を、とても法定速度以内とは思えない速さで疾走するワゴンがあった。

「高木さん、もっとスピード出ないんですかっ!? このままでは深司が…!!」

その車内の後部座席から運転席に向かって声を荒げるのは、かつて一世を風靡した元アイドル――
現在は某芸能事務所の経営アドバイザーを務める、橘轟である。

本人に言わせれば気が遠くなるような昔に過密を極めた芸能活動を絶ったはずの彼だが、3年前に突如として帝京タワーに現れ、今ではある2人組ために再び芸能界の波の間を奔走していた。

「そんなぁ~、無茶言わないでくださいよ。これでもギリギリの所で走ってるんですよ?」

「しかしっ!!」

戸惑う運転手:高木の声に反論しつつ、自身の腕の中におさまる人物、
――深司――
に橘は目を落とす。
艶のある黒髪が汗を吸って額に張り付き、スノーホワイトと称される美貌が赤く火照っている。
びっしりと濃く長い睫毛とカサカサに乾いたさくらんぼの唇を震わせて高熱にうなされる様子を見ると、橘は叫びだしたい衝動に駆られた。

オーマイゴッド…! 彼の苦しみを、我に与えたまえ……と。

「あー、大丈夫ッスよ橘さん、深司が熱出すなんていつもの事だし、寝たら明日には治ってますって」

助手席から暢気にしゃべるのは、深司の相方アキラである。
彼ら2人は、ここ数年芸能界のトップを走り続けるスーパーアイドル『深司とアキラ』、そして現在の橘の生き甲斐だった。

「ほら、明日から3日間休みだし、深司も緊張の糸が切れたというかさ…」

「そうだね。この3ヶ月は特にハードな仕事が多かったから…この休みでリフレッシュするんだよ~」

「……高木さんが組んだんでしょ? このスケジュール」

「あはは、半分くらいは橘さんと社長が決めたんだよ~」

『深司とアキラ』は、3ヶ月前の“24時間とちょっとテレビ”のメインパーソナリティー就任を皮切りに、番組のイメージテーマとなる25枚目シングルCD『腐れ縁アミーゴ’08』の録音と発売。さらにその曲を収録したコンビ初のベストアルバム制作。
TVや雑誌などの各媒体に向けての番組プロモーションに、特別ドラマ『覇王』の撮影。
本番が終わるやいなや、今度はアルバムをひっさげた約1ヶ月に渡る全国ツアーコンサートに二人は身を投じ、まさに寝る間もないスケジュールを今日まで続けてきたのだ。
体力に優れるアキラは何なく乗り越えたものの、身体能力では深窓の令嬢とも言える深司にはこのビッグウェーブは高すぎたのか、今日の最終公演の終了と同時に倒れてしまい今にいたる……。
彼の脆弱ぶりは芸能関係者やファンはもちろん全国民の認知するところなのだが、橘だけはいつまでたっても慣れないようだ。
思案顔で橘が呟く。

「うーん…次の仕事は、深司がもっとやりやすいように…」

「えーっ!? 何言ってンすか? 橘さんが甘やかすから最近深司がワガママ言って困るんスよね。この秋からの新ドラだって、オファーは深司だったのにいつの間にか俺がやることになってるし!」

「あ、深司君、もう家に着くからねー」

「深司、あと少しだぞ」

「………」

口を尖らせるアキラを無視し、マネージャー高木と橘が深司に語りかける。

「……うん」

小さく答えた急病人を乗せたワゴンは、深司とアキラの隣り合う自宅に着くべく最寄りの十字路を慎重に左折した。



 ☆ ☆ ☆

お題はみんなに伝わっていると思うので書きませんが、マンネリ解消のためにひとつ宿題を出そうと思います。
今回もトライしてみたのですが、記事のタイトルで三流週刊誌のキャッチみたいに各キャラクターを紹介してください。
よろしく~♪