中国ドラマ「宮廷の諍い女」 第34話

ガラスで出来たフタ付きの容器の中にはたくさんの蝶が入っていた。それを見つめる甄嬛。
内務省から冬の品が届く頃だが、甄嬛は生地ではなく、炭と水仙と梅の花を送ってほしいと崔槿汐たちに伝えさせる。そして暖閣で炭をおこし、蝶が死なないよう毎日3回花を取り替えるように甄嬛は言う。

甄嬛は淡い青色の生地で外套を作らせていた。仕上った外套を甄嬛が見ていると沈眉荘が来る。「ようやく着る気になったのね」と嬉しそうに言う沈眉荘。「もう昨日までの私とは違う」と甄嬛は言う。


年妃は嘆願書を書きながら、陛下に渡してほしいと蘇培盛に伝えるよう頌芝に言う。けなげすぎると言う頌芝。これ以上陛下に冷遇されたくない年妃は「なりふり構ってはいられないわ」と悲しそうに返す。陛下は莞嬪(甄嬛)にも会っていないと頌芝が言うと、今度は「自業自得よ」と怒ったように言う年妃。


年妃の嘆願書を読み、ため息をつく雍正帝。反省も見られ、長年の情を思うと感慨深くなると安陵容に話す。そろそろ嬛さんも全快した頃、年妃娘娘が恋しいなら会ってあげては?と安陵容は言うが、雍正帝は甄嬛にも会っていないのにできないと言う。そして「もうよい」と。


年妃の反省した書面に、雍正帝がまだ決めかねているものの心を動かされたと崔槿汐から聞いた甄嬛。年羹堯の勢力は今も強く、年妃が寵愛を取り戻すのも時間の問題だと感じる。そして"今しかない"と思う。
窓の外を見ると雪が降り始めていた。「初雪の日、陛下は毓慶宮で身内の宴を開きます」と言う崔槿汐。浣碧が甄嬛に外套を持って来る。


宴に沈眉荘が遅れてやってくる。倚梅園の梅が咲いていたので、つい見入ってしまったと遅れた理由を話す沈眉荘。実に美しいと言う沈眉荘に、見過ごすのは惜しいと思った雍正帝は皆で見に行くことに。

急いで沈眉荘が雍正帝を連れてくる事を甄嬛に知らせる崔槿汐。紅梅が咲き誇る中、甄嬛は雪の上にひざまずいていた。
甄嬛は外套の中に蝶を忍ばせる。

来るのを見計らい、雍正帝に背を向けるようにしながら両手を合わせ「私は子を守れませんでした。とても陛下に顔向けなどできません」と言う甄嬛。「どうか陛下が末永くご健勝であるように。もしも願いがかなうのなら二度と寵愛を得ずとも構いません」と。聞いていた雍正帝は甄嬛が言い終わると「嬛嬛」と言う。

近付いてくる雍正帝に「来ないで。履物が濡れています」と言う甄嬛。その言葉は以前甄嬛が言った言葉だった。
雍正帝は手を合わせていた甄嬛の片手を取り「手が冷たい。体を壊すぞ」と言う。甄嬛は「ご心配をおかけしました。失礼します」と立って行きそうに。そんな甄嬛の腕に手をやり、雍正帝は自分のほうに向ける。

振り向かされた甄嬛の外套がふわっと揺れる。その外套からたくさんの蝶が舞っていく。
なぜ、こんな冬に蝶がいるのか雍正帝に聞かれ「分かりません」と答える甄嬛。雍正帝は自分のかけていた外套を脱ぎ、甄嬛にかける。「朕のために体を壊されては、もっと朕の心が痛む」と言う雍正帝。

「これで安心ね」と皇后は言う。安陵容も「お二人が仲違いなきよう私めも祈っていましたが、願いがかないました」と言う。
すっかり甄嬛に魅了された雍正帝は「朕と甄嬛は仲違いなどしておらん」と言い、甄嬛も「ええ。私めが病で仕えられなかっただけです」と雍正帝を見つめる。


甄嬛に屈辱を与えた斉妃は「これからどうする気?」と富察貴人に言う。莞嬪は簡単に勢いを取り戻したうえ、陛下の目には莞嬪の他、誰も映っていなかったと。恐れている斉妃に、相手はたかが嬪で斉妃は妃だと返す富察貴人。そして夾竹桃の件は今や証拠はないと言う。


夜。炭で手を暖めながら、今までは陛下こそが何よりも頼れた、でも今は炭の火のほうが心強いと崔槿汐に話す甄嬛。1つの心と添い遂げたいと願ったが、執着でしかなかったと。陛下は誰よりも小主(甄嬛)を重視されていると崔槿汐に言われるが、甄嬛はだからこそはかなく感じていた。第二の自分が現れない保証はないと思った甄嬛は「知恵を働かせて必要な物を勝ち取らないと」と言う。そんな話をしていると、雍正帝が訪ねてくる。しかし、もう寝たと伝えて、と言い、甄嬛は会わない。

陛下と会わない甄嬛を不思議に思う流朱。「明日も会うつもりはないわ」と甄嬛は言う。
甄嬛と会えなかった雍正帝は、どの宮にも向かわず果郡王のいる凝暉堂へ。


甄嬛に追い返されたと果郡王に話す雍正帝。甄嬛が頑な過ぎると言う雍正帝に「でも、その女子に心を動かされたのですよね」とからかうように言う果郡王。そして果郡王は長年見てきたが「純元皇后以外に陛下がこれほどご熱心になるとは」と言う。

政務なら知恵をはたらかせれば対処できるが、相手が賢い女では政務よりずっと手を焼くと言う雍正帝。雍正帝が「従順な女こそかわいいのだ」と言うと、果郡王は「でも、愛することとはまた別ですよ」と返す。そして果郡王は、お好きなら焦らないことだと言う。


寝つけない雍正帝は、蘇培盛を起こし「もう朝か?」と聞く。あと2刻で夜が明けると言う蘇培盛。再び寝ようとする雍正帝は、ろうそくを消すように言う。


皇后への朝の挨拶で妃嬪たちが集まっていると雍正帝が来る。皇后やみんなに意見を聞きたいと言う雍正帝。雍正帝は「今朝、ジュンガル部から婚儀の申し出があり、民の心をなだめるためにもハーン(遊牧民の君主)の王妃として公主を迎えたいと」と話す。

通例なら宗室より妙齢の者を選び側室の産んだ皇帝の娘に封じるのだが、相手は直系の公主の輿入れを要求していた。そして先帝が藍斉公主をジュンガル部に嫁がせた前例があるため、断るのが難しいと雍正帝は言う。

何も言われないのに「温宜はまだ幼いのですよ。婚儀など早すぎます」と言う曹貴人。「温宜が妙齢ならば朕も悩んだりはせぬ」と言う雍正帝。戦を避けるために、どうしても婚儀は必要だった。皇后は雍正帝の娘だけが直系とは限らないと言い、先帝の末娘・朝瑰公主の名を上げる。末の妹ということもあり雍正帝はためらうが、皇后に説得され嫁がせることを決める。

嫁入り道具などは国の面目もあるため、気遣いのこまやかな曹貴人に手伝わせては?と提案する甄嬛。雍正帝は甄嬛の意見通り、曹貴人に任せることに。


陛下が来た時「あなたに目を向けた?」と安陵容に言う皇后。今までは寵愛を独占できたが、莞嬪がいれば肩を並べることもできないと。そして、しばらくは莞嬪の勢いは衰えない、莞嬪や他の妃嬪ともうまくやることが肝心だと言う。


雍正帝に囲碁で勝った甄嬛。陛下が負ければ泊まるという約束をしていた。雍正帝を追い出そうとはしなくなった甄嬛だが、そんなに碎玉軒がお好きなら「私は眉荘さんのところへ」と言う。病が回復していないため、仕えることはできないと。雍正帝は笑い「では、そなたが残れ」と言うと、碎玉軒を出て行く。

この数日、ずっと甄嬛が拒んでいたため噂になっていた。雍正帝が来なくなることを心配する流朱に「漢の武帝と李夫人の話を知ってる?」と言う甄嬛。李夫人は絶世の美女だったが、布をかぶってまで会うのを拒んだ、容姿の衰えで愛を失うのは後宮の女の悪夢「失ったものと徳がたいものこそ愛される」と話す。

「つまり兵法の"欲擒姑縦"ですね」と言う崔槿汐。最終的な狙いは"擒える"ということで、逃がすのは単なる手段だと。


公主の嫁入り道具の準備を手伝った曹貴人は、追いつめられれば娘でも差し出すという現実に将来の不安を募らせる。


甄嬛は雍正帝の香り袋の刺繍をしていた。そこにそっと雍正帝が来る。気づいた甄嬛が「お声をかけてくださればよいのに」と言うと、先ほど朝瑰公主を送り出してきた、と力なく雍正帝は言う。泣いていて見ていられなかったと。
甄嬛の作っている香り袋が出来たら、毎日、身につけると言う雍正帝。「決して手放したりはせぬ」と言うと、甄嬛の手を握る。

甄嬛はようやく雍正帝と夜伽を。隣で眠る雍正帝の顔を甄嬛が見ている頃、翊坤宮では年妃が歓宜香をたいていた。
「陛下は今日も養心殿で過ごされたの?」と頌芝に聞く年妃。頌芝が答えられずにいると「それとも碎玉軒にとどまってる?」と聞く。「ええ」と答える頌芝。甄嬛が陛下を拒んでいたのは、計算ずくだったのだと年妃は思う。


雍正帝が妃嬪たちといると、年妃がお目通りしたいと来る。戻るように言う雍正帝だったが「じき年越しです。拝謁くらい許しましょう」と雍正帝に言う皇后。気が治まればおとなしくなると皇后に言われ、雍正帝は「では通せ」と言う。

雍正帝の前にひざまずき、挨拶をする年妃。宮で書いていた写経がたまったので、陛下のご健勝のために大師に読経させたと言う。「真心は分かった。戻れ」と雍正帝が言うと「はい」と答えた年妃は、妃嬪の中に甄嬛を見つける。「莞嬪もいたの?にぎやかね」と嫌味のように言う年妃。

手が冷えるため「写経は春からにせよ」と年妃に優しい言葉をかけるが、すぐ甄嬛に「昨日と同じような紫の衣装を仕立てさせている」と言う雍正帝。年妃は静かに帰って行く。
ずっと病床だったので心配してたのですよ、と安陵容が甄嬛に手を延ばすが「心配なら顔を見に来ればいいだけだわ」とその手を避ける。


帰り。子を失って、年羹堯が倒れないことには年妃にどれたけ罪があろうと陛下は手が出せないと分かったと沈眉荘に話す甄嬛。
甄嬛が安陵容によそよそしかったことも沈眉荘は気づいていた。見舞いに来なかったからではなく「陵容は変わり身が早いわ」と甄嬛は言う。


沈眉荘と別れ、甄嬛は崔槿汐と一緒に御花園へ向かう。甄嬛が歩いていると、前方から曹貴人と富察貴人が。雪景色を見たいと思っていたと話す甄嬛は、2人に「1人は味気ないので、お付き合い願えません?」と聞く。気まずい富察貴人は斉妃とお芝居を見る約束をしていると断ろうとする。しかし「ならばよいですが、何かやましいことがあるために付き合わないと噂されるかも」と甄嬛は返す。


ーつづくー


蝶は外套から舞う仕掛けだったんですね～。
思った以上に蝶が多く見つかっていてビックリ。
倚梅園での甄嬛と雍正帝の様子を見ていた果郡王は複雑な顔をしていました…。
甄嬛には幸せになってほしいけど、思い人が別の人と一緒にいる姿は見ててつらいよね"(ノ_・、)"

斉妃には強気なことを言ったけど、富察貴人も内心は甄嬛にビクビクしているみたい(￣∀￣)
ちょっとずつ甄嬛も反撃を開始ですね。
この2人にだけではなく、曹貴人とか安陵容とかにも。

年妃の再起が近そう。
甄嬛を恨んでいると思うから、再起したらどうなるかな…すごく心配。


雍正帝が自分の外套を甄嬛にかけたと書いたけど、正確には外套じゃないのかも?
毛皮で出来てるコートみたいな感じ?




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