「後宮の噂」
丁柔は「趙姫の父君・趙萌は些細なことも根に持つわ。韓姫を許さぬはず。すべては劉秀殿のため?」と麗華に聞く。「宮中が混乱すれば劉玄は秀兄さんに構っていられない。趙姫まで欺くなんて、私は冷酷かしら?」と言う麗華。丁柔は「彼女を守るためでもあるでしょう?」と返す。麗華は「いいえ、自分のためよ。権力争いは嫌い。それなのに卑怯な手段を使ってしまった」と言う。「ここは虎穴よ、仕方ないわ。自分を責めないで」と丁柔が慰める。ここにいる間に、脚の傷をしっかり治すといいと。
麗華は最近とても故郷が恋しい、実家に戻り家族と会いたい、だまし合いはもうたくさん、と話す。
劉秀の元に過珊彤が来る。「何事だ?」と劉秀が聞くと「お嬢様は真定から夜を徹して邯鄲に戻りました」と答える瑛絡。それを聞き、劉植は信都の人質を救うため、過珊彤から直接、劉揚に援軍を頼んでもらったことを話す。「愚か者!」と怒鳴る劉秀。過珊彤はひざまずくと「劉植に聞くまで伯父上の背信を知らなかったの。あなたと将領たちに申し訳なくて…。伯父上が援軍を出さなくても、私はここに留まるわ。どうか私を見限らないで」と言う。
劉秀は過珊彤を立たせ「実際の戦は願うとおりには進まぬもの。真定王(劉揚)にも出兵できぬ事情があろう」と言い、瑛絡に過珊彤を部屋へ連れて行くよう告げる。劉秀の袖をつかみ「私を捨てないで」と言う過珊彤。劉秀は「安心しろ」と言うが、過珊彤の手を自分から放す。
劉玄は勅命に背き、戻らない劉秀にイラだつ。朱鮪は「幽州などに武将を遣わし、劉秀から兵権を取り上げては?」と言う。「よし、命令を伝えよ。苗曾を幽州牧、韋順を上谷太守、蔡充を漁陽太守に任ず。また謝躬と馬武には邯鄲に駐留して、劉秀の動向を監視させよ」と言う劉玄。
馮異は「赤眉や銅馬、青犢などの流賊を討伐せねば、河北を平定したとは言えません」と劉秀に言う。「馮異の言うとおりですが、漢軍の被害は甚大で、とりわけ上谷と漁陽の騎兵は疲弊しています。流賊を討伐するなら騎兵を中心に兵馬を補充せねばなりません」と言う鄧禹。耿弇は「幽州が擁する騎兵を微用してはどうでしょう?」と提案する。「麗華を守るためにも、劉玄より先に手を討つべきです」と馮異が言う。悩んだ劉秀は「呉漢を大将軍に任じる。耿弇と共に幽州へ行け」と告げる。苗曾たちに遭遇した場合は、即座に斬って構わないと。
朝廷。劉秀が帰郷を拒み兵力を拡充していること、配下の呉漢と耿弇に苗曾たち3人の武将を殺させたことが劉玄に伝えられる。「さらに幽州の騎兵を微集して勢力を増しています」と言う朱鮪。劉玄は怒り「朕の臣下を殺すとは謀反に等しい。朱鮪、幽州に別の者を遣わせ」と命じる。しかし、ひざまずいた朱鮪は「進んで幽州へ赴く者など誰もいません」と言う。劉玄が多大な褒美を与えると言っても誰も志願する者がおらず「役立たずどもめ。民を搾取するばかりで謀反人たちには立ち向かいもしない。そちたちには失望した」と怒鳴り、劉玄はその場を後にする。
「劉秀は忠臣ではなかったのか?この状況は何だ?」と麗華に聞く劉玄。麗華は「彼は今も忠臣です。流賊が幅を利かせているため、河北に留まったのでしょう」と話す。劉玄は「そなたを宮中に置けば劉秀は自重すると油断していた」と言う。麗華は目を伏せ「新しい妻を娶り、私を見捨てたのでは?」と返す。
劉玄が部屋を出て行くと、急いで麗華の元に来た丁柔が「劉秀殿は決してあなたを見捨てたりしない」と言う。「分かっているわ」と言う麗華。
陛下は劉秀に足元を見られている、また、最近の陛下は緑林軍を信用せず趙萌に頼るばかりだ、このままでは趙家に天下を横取りされる、と韓姫に話す張卯。慌てた韓姫は対策を聞く。張卯は「劉求を皇太子に据え、邪魔者を消そう」と言う。「陰麗華が死ねば陛下は動揺するはず。その時が絶好の機会よ」と言う韓姫。
庭にいた麗華と趙姫は羽林軍に扮装した刺客たちに襲われる。麗華と途中から助けに入った劉玄が刺客たちを倒すが、趙姫は流産してしまう。
悲しむ趙姫を抱き締め、慰める劉玄。
劉玄は趙姫を休ませたあと、麗華に「黒幕は誰だと思う?」と尋ねる。「分かりません。ただ私が宮中にいることは韓夫人しか知らぬはず」と答える麗華。劉玄が「韓姫め、大胆不敵な女だ」と言うと、麗華は「いくら韓夫人が私を嫌いでも、身重の趙夫人に危害は加えぬでしょう?」と話す。「いや、韓姫ならやる。もはや見過ごすわけにはいかぬな」と言う劉玄。
麗華は「宮中の守りは厳重なのに、刺客は羽林軍に扮装して侵入しました。韓夫人には強力な味方が付いているのでは?」と言う。
子を亡くし、悲しむ趙姫が「陛下は、なぜ、すぐに韓姫を処罰しないの?」と麗華に言う。麗華は「韓姫は絶対に罪を認めないはず。それに皇子を3人産んだから地位も安泰よ」と答える。そして、今は好機を待つしかない、韓姫には必ず報復するわ、と言う麗華。趙姫はうなずく。
陛下が羽林軍を入れ替え、趙萌の部下・趙信に警備を任せたと丁柔は麗華に話す。そこに劉鯉を連れた劉玄が来る。
「麗華、この子を任せる」と言う劉玄。麗華は鯉魚と呼ぶことにする。
劉玄は何も尋ねない麗華に「劉鯉を渡す理由を聞かぬのか?」と言う。麗華は「陛下なりのお考えがあるのでしょう」と答える。劉玄が「博学な麗華に養育を頼みたい。それに劉鯉がいれば韓姫もうかつに手を出せまい」と話し「殿下を立派に育てます」と言う麗華。
鯉魚を可愛がる麗華を見て「まるで本物の親子のようだわ」と趙姫が悲しそうに言う。陰さんに預けられてお利口になった、鯉魚がいれば寂しさも和らぐでしょう、と。麗華は「流産したことが今もつらいのね。その気持ちは痛いほど分かるわ」と慰める。
麗華は従姉の鄧嬋が何でも話し合える大切な存在だったと話す。しかし愛のない結婚をし、身重で捨てられ、故郷に戻る途中でお腹の子と共に死んだと。涙を流しながら「なぜなの。この世には悲しみがあふれてる。鄧嬋の子も私の子も哀れだわ」と言う趙姫。麗華は趙姫の手を取り「私は従姉さんを守れなかった。でも今なら妹も同然のあなたを必ず守れるはず。あなたを傷つけた者に報復するわ」と言う。
鯉魚が摘んできた花を麗華に渡す。自分の子供を抱き締める麗華を偶然見かける韓姫。
息子を奪われた韓姫は怒りが収まらない。劉求に「あなたと劉鯉のため、どんな手段を使おうと陰麗華に思い知らせるわ」と言う韓姫。「でも劉鯉は可愛がられているとか」と劉求が言うと、韓姫は「あなたは陰麗華にだまされているのよ。あの者を使い、痛い目に遭わせましょう」と話す。
韓姫は伯姫を船遊びに誘う。私は宮中で独りぼっち、と言う韓姫に「宮中にいる陰麗華に声をかけては?」と言う伯姫。「彼女はあなたの義姉だとか。批判は慎むべきね。でも麗華の人となりにはあきれ果てたわ」と韓姫が言う。伯姫が「どういう意味ですか?」と聞くと「知らないの?陰麗華は蕭王を裏切り、陛下を誘惑してる。蕭王の妻ならば河北へ行くべきよね?それなのに陰麗華は私から息子を奪い、宮中に居座ってる」と話す韓姫。陛下の気を引くために違いないでしょ?蕭王が過氏を娶った腹いせで陛下に鞍替えしたのでしょう、と。
李家に戻ると伯姫は「義姉上が長信殿に住んでいるそうよ。寵妃扱いだとか。だから先日、私の勧めを断わり宮中に残ったのだわ」と李通に話す。李通は「麗華にも事情があるのだ。噂は信じるな」と言う。しかし不機嫌な伯姫は李通の言葉を聞こうとしない。
李通に頼み、伯姫は麗華に会いに行く。「よく来てくれたわ」と言う麗華。
伯姫は「私が手引きするから宮中を離れない?先日も勧めたのに、なぜか断わったでしょう」と言う。そのせいで汚らわしい噂が流れている、今すぐに宮中を離れて河北に向かえば噂は消えると。麗華は「劉玄は決して私を逃さないわ。事態は複雑なの」と話す。それを聞き「河北に行たくないのは過珊彤がいるから?気持ちはよく理解できるわ。数日前、兄上から文が届いたの。過珊彤は温和な賢妻だと褒めていたわ。“麗華は及ばない”とも」と言う。
失言だったとすぐに謝る伯姫。それでも伯姫が、兄上は過珊彤に満足しているけど義姉上も恋しいはず、と言い、麗華は「立場はわきまえているの。過氏とは争わない」と返す。伯姫は「義姉上は兄上を見限ったようね。陛下はあなたを大切にして侍医をつけ、皇子まで託したとか。いずれにせよ兄上には過珊彤がいるわ。別の伴侶を見つけた兄上に倣っては?」と言う。カッとなった麗華は言い返そうとするが、その前に倒れてしまう。
麗華が昏睡となり、劉玄は激怒する。ひざまずいていた李通が「伯姫は年若いゆえ分別がありません。夫として私が代わりに罰を受けます」と頭を下げる。療養中の麗華を昏睡するほど追い詰めた、死罪に処さねば麗華に顔向けできぬ、と言う劉玄。伯姫は絶対に許さぬと。李通は「私が代わりに死をもって償います。伯姫をお許しください」と言う。泣きながら「やめて。私のために犠牲にならないで」と李通に言う伯姫。そこに丁柔が来て、麗華が目覚めたことを劉玄に伝える。
麗華は劉玄から伯姫を死罪にすると聞き「どうか命だけは助けてください」と頼む。「なぜだ?」と言われ「秀兄さんとは、今後、縁を絶ちます。最後に伯姫を許すことで縯兄さんに恩返しを」と答える麗華。麗華は、伯姫には二度と会いたくありません、あの夫婦を遠方に追いやってください、と言う。
劉玄は李通に荊州を平定させるよう命令する。
「やはり陛下は陰麗華の頼みなら聞くのね」と怒る伯姫。李通は「麗華は我々を劉玄から遠ざけてくれた。君を家族とみなして救ってくれたのに、なぜ恨みを抱く?」と言う。伯姫は義理姉はともかく、命懸けで守ってくれたあなたに感動したと話す。伯姫の肩に手を置き「妻を守るのは男の務めだ。考えすぎるな、君が無事でよかった」と言う李通。
伯姫が「私のせいで荊州に追いやられるのね」と言うと、李通は「荊州までは長旅になる。君を蔡陽に送らせよう」と返す。「私を連れていかないの?」と伯姫が聞く。李通は「文淑が勢力を拡大して、今や君の身も安全だ。それに君は嫁いでからかつての快活さを失った。無理はするな、君は去れ」と答えて行ってしまう。
今までの出来事や、自分を命懸けでかばってくれた李通を思い返し、幸せな気持ちになる伯姫。そんな伯姫に李通は離縁状を渡す。伯姫はそれを丸めて捨てると「共に荊州に行くわ。私はあなたの妻。どこへでも、ついていくわ」と言う。今日から、あなたの本当の妻になると。李通はうなずき、伯姫を抱き締める。「生涯、君の他には誰もいらない」と言う李通。
再び陰興と鄧奉が侍医に扮装し、麗華に会いに来る。李通と伯姫が出立したと聞き「よかった、ようやく劉玄から解放できたわ」と言う麗華。陰興は「姉上は劉秀に十分尽くした。これ以上、自分を犠牲にしないでくれ」と頼む。「宮中を離れましょう。新野まで送り届けます。または河北でも」と言う鄧奉。麗華は「邯鄲には過氏がいるわ。秀兄さんには離縁状を残してきた。仲間のために動いただけよ」と言う。
真定で陰麗華が何者なのか母に尋ねたが、ごまかされたと瑛絡に話す過珊彤。過珊彤は「夫に妾がいても私は気にしない。なぜ母上は、たかが妾の存在をそこまで気に病むの?不思議だわ。過家はどんな豪族にも劣らないはずよ。陰麗華とは何者?」と瑛絡に聞く。瑛絡は言いにくそうに「実は…陰麗華は妾ではなく、蕭王の本来の妻です。1年前に結婚したとか。かつて蕭王はこう誓いました“妻を娶らば陰麗華”」と答える。驚いている過珊彤に、劉秀が戻り、今は書房にいるという知らせが。
「蕭王は流賊の討伐中、何度も邯鄲を素通りしました。久々に帰還しても、お嬢様に会わず、まず向かったのは書房です。帰りを待っていた、お嬢様の気もなど構いもしません」と不満をもらす瑛絡。「やめなさい、夫は軍務に忙しいわ。手伝いができない分、気遣いを示さなくては」と過珊彤は言い、劉秀に持って行く汁物を瑛絡に作るように言う。
ーつづくー
趙姫の子供が(;д;)
安胎薬の時は助けることができたのに…。
でも、麗華の脚もずいぶんよくなったみたい。
刺客を倒した麗華は、以前と変わらなかったかも?
また伯姫がやってくれた(*´Д`*)
麗華が何をしても悪くとらえてしまうのね。
そういえば麗華が昏睡したのも演技だったのかな?
浜浜さんのコメントを読むまで、過珊彤は麗華の存在を知っていると思い込んでたーヾ(・ω・`;)ノ
それはショックだよね。
恋焦がれて結婚した相手には、愛する人がいたんだものね。
過珊彤が怖く感じたんだけど、これからどうなるんだろう…。
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丁柔が「劉秀殿は決してあなたを見捨てたりしない」と言ったり、鄧奉が「姐さんは劉秀が好きなんですよ」なんて言ったりしてますけど、麗華の心にはどう響いているんでしょうね。鄧奉達には「離縁状を残してきた」なんて返事しちゃってますが。
ポージーは予想以上に悪役で、もはや韓夫人と相似形。「温厚な良き妻という点では過珊彤の方が麗華より上」なんて、本当に劉秀が言ったのか?
うささん
解釈が分かれる部分もあると思います。あと、ちょっとした勘違いとか。今回は「陰麗華って誰?」という過珊彤のセリフが出てきたので、はっきりしましたが。
過珊彤は目が大きすぎますよね!珊彤が「私を見限らないで下さい」と劉秀にストレートにお願いしている一方で、麗華はもやもや。実は強力なライバルなのかな、と思います。