「名将の采配」
麗華は尉遅峻と一緒にいた弟の陰興がたくましくなったと感じつつ「どこへ?」と聞く。「兄上が姉上を心配し、昆陽へ加勢に行けと。姉上こそ、なぜここに?」と言う陰興。麗華は援軍を呼ぶため新野へ向かっていたことを話す。尉遅峻と顔を合せた陰興は「新野の兵はとうに漢軍の旗下に入ったぞ」と言う。姉上が監禁された時、劉縯がすべての兵を連れて行ったと。
麗華は劉秀が持たせた文をすぐに読み、だまされたことを知る。陰興たちを連れ、急いで昆陽へ戻ることにする麗華。
敵の軍営へ行った張卯は「成国上公は命の保証があるなら投降すると」と王尋に話す。「朝廷の兵を傷つけた。この期に及んで投降など手遅れだ」と言う王尋。王尋は張卯を引きずり出して斬るよう命じる。慌てて頭を下げ「投降の意は早々にあれど、劉秀と王常が反対したのです」と命乞いをする張卯。王尋は命を取ることはやめるが「王鳳に伝えよ。この私が逆賊を根絶やしにしてやるとな」と告げ、張卯を痛めつけてから釈放する。
厳尤は軍が兵力を消耗し続けていることから「投降を受け入れてはいかがですか?兵の減少を避けられる上、宛の救援に応じることもできます」と王尋に話す。王邑も「減将軍の言うとおりです」と言うが、王尋は敗北を察して投降した者を許せば陛下は激怒されるだろう、翟義と劉信を討伐する時も、大司空は生け捕りにせず投降に応じたがゆえ陛下からおとがめを受けた、我が軍は不退転の決意で臨む、と言う。王尋に従うと言い、その場を後にする王邑。
王尋は残った厳尤に「宛に兵を動員したいのでは?ただちに厳将軍の兵馬を連れていくがよい。岑彭に加勢せよ」と言う。厳尤は「大司徒、私の兵は3千にも足りません。数万ほど融通してください」と頼む。「皆、昆陽を包囲しておる。貴様は新の常勝将軍であろう。この機会に育陽での雪辱を果たしたくないのか」と言う。溜め息をつき「では命令に従います」と言うしかない厳尤。
劉秀たちは昆陽の城門から戻る使者を目にする。「誰が王莽と結託した?」と言う王覇。劉秀は「王鳳の配下だ。我らも早く戻ろう」と言う。しかし馮異は、先日は宿営準備が完了していなかったが今や堅固に包囲されている、王尋や王邑は百戦錬磨の将軍、突破は難しい、と話す。
城を包囲する陣の1カ所だけが兵の逃亡を誘導するため薄かった。「我らはこの守りの薄い陣を利用し裏をかく」と言う劉秀。そんな話しをしている中、鄧奉が来る。「偵察中の敵兵らを捕縛したぞ。王尋の腹心もいるようだ」と言う鄧奉。
捕縛した敵兵を少し離れた場所から見ながら、劉秀は「王尋と王邑はどんな仲だ」と馮異に聞く。馮異は「王尋は独善的で名声を浴する輩。王邑とは険悪だろう。反目させるのは簡単だ」と答える。「では私に従ってくれ」と言う劉秀。馮異は「私にも一計がある。策を円滑に進めるためだ」と言う。
深夜。馮異は見張っていた鄧奉と馬武を気絶させ、兵を助けて逃がす。敵兵が去ったあと、起き上がる鄧奉と馬武。
敵兵の陳副将は逃げる途中「王邑は何と?我らはいつ動く?」「明日、卯の刻がいいそうだ。東西の軍営に突破口を開くらしい。ただし王尋の殺害が条件だ」「ただでさえ無謀が計画なのに王尋の殺害まで?」「突破口は王尋の軍営付近だ。殺害は馬武に任せ、我らはその隙に突進しよう。安心しろ、王邑の狙いは宛だ。王尋が死ねば直ちに北上する」という2人の男の会話を聞く。
馮異と戻った陳副将は、仕組まれたこととは知らず、すぐに聞いた男たちの会話を王尋に話す。「王邑め、私の命を狙うとは」と激怒する王尋。王尋は一緒に戻ってきた馮異が、劉秀に捕まっていたことで安易に信用できないと考える。馮異は「私は敵軍の内情を探るため投降したように見せかけたのです。劉秀が包囲を突破できたのは、大司空と通じていたからでした」と言う。王尋は「すると王邑はわざと劉秀を逃がしたのか?」と聞く。「我ら13名が南から包囲を抜ける際、攻撃は皆無でした。老練な大司空が見過ごすとは思えません」と答える馮異。陳副将も「劉秀らは大司空の手引きで包囲を突破したのでは?」と言う。
「なぜ包囲を突破する際、私に伝言を残さなかった」と言う王尋。馮異は「危険を冒したくなかったのです。劉秀は太学時代に大司空とも交流がありました。刺客の件を覚えていますか?私の推測では大司空は大司徒の権利を奪うつもりかと」と話す。
卯の刻が近づき、王尋に敵軍が来襲したという知らせがくる。
鄧奉は西営からの襲撃を装い出陣した敵をかく乱する。その隙に劉秀は薄い陣を突き、馬武、王覇、李軼たちは東から王尋の幕舎を狙う。
「王邑の救援はまだか?」と王尋が聞くと、王邑も襲撃されているという返事が。陳副将は「大司空は大司徒が暗殺されるのを座視するつもりでは?」と言う。
作戦がうまくいき、突破できた劉秀たちが城へ入る。
ようやく着いた麗華たちは、襲撃を装うために城へ戻らなかった鄧奉と会う。「劉秀は?」と麗華が聞くと「たった今、城に入りました」と答える鄧奉。麗華は「遅かったのね」とつぶやくように言う。
劉秀たちと再会できたことが嬉しい王常。劉秀は「王鳳が新の軍営に使者を送っただろ。まさか投降を?」と聞く。王常は「目的は知らん。城兵によると、昨夜、張卯が出て行き、今日、戻ったらしい。敵に痛めつけられたようだ」と答える。そこに「よくぞ帰還を」と言いながら王鳳と張卯が来る。
張卯が「劉将軍は勇ましい。数十万の大軍を突破し、援軍を連れて来るとは」と言う。「張将軍のあざも全力で戦った証しでは?」と言う劉秀。王覇が笑いをこらえる。
劉秀は「援軍は5千ですが、うち千名は郾で待機を」と王鳳に報告する。「たった、それだけか」と言う王鳳。張卯は馬鹿にしたように「ならば入城した兵は4千だな。いや、包囲を抜ける際、大勢死んだ。では3千ほどだ。それが連れてきた数か」と言う。
劉秀は「3千でも42万の大軍をかく乱できた。新軍が脆弱な証拠です。一方、我が援軍は精鋭ばかり。決死の覚悟で城を守る。軍勢の差を懸念する必要はありません」と言い返す。王常も「そのとおり。劉将軍なら昆昜を守れる。必ず勝つ」と拳を上げる。回りにいた兵も「漢軍は必ず勝つ…」と連呼する。さの時、李軼が捕まったようだという知らせが。
劉秀はわざと文を敵の陣営に落としていた。“宛は漢軍を落とした。援軍が昆陽にやってくる”と書かれていた文を読む王尋。そこに来た王邑が「大司徒。劉縯は誠に宛を攻略したので?」と聞く。王尋は「大司空もそれを信じるのか」と言う。「兵は衝撃を受けています。私は宛へ向かうので、大司徒は昆陽を奪回してください」と言う王邑。王尋は「宛へ?兵馬はどれくらい必要だ」と言う。王邑が「劉縯は漢軍の主力ゆえ、可能な限り」と答えると、王尋は「我が軍の42万の兵をすべて配下に置く気か?」と返す。
「貴様も耄碌したな。賊と結託し、奸計を弄するとは」と王尋が言う。「黙れ。私は陛下に忠誠だ、侮辱するな」と言う王邑。「侮辱かどうかは昆陽を奪回すれば分かる」と言い、王尋は自分の幕舎で王邑を監禁することに。
王邑が連れて行かれると、隠れていた馮異が出て来る。「総帥である王邑には多くの兵が追従しています。もし不満が出れば…」と馮異が言いかけると「兵法家や蛮兵たちも大司空以外の者には従わぬかもしれません」と陳副将も言う。「私に提案があります。勝手に出動せぬよう、兵の管理を厳重にするのです。また中将たちを宴に招けば、人心を掌握でき士気も高められます。中将たちは大司徒に忠誠を誓うでしょう」と話す馮異。もっともだと王尋が思っているところに、宛の逆賊・李軼を捕らえたという報告が入る。
磔にされている李軼の元へと行った王尋。李軼は舌を抜かれそうになり「何が知りたい」と言う。王尋は「劉縯は宛を攻略し、昆陽に援軍が来るのか?」と尋ねる。「それは劉秀による虚報だ」と李軼が答え、さらに王尋は「他にどんな計画が?劉秀はどこから襲撃するつもりだ」と聞く。李軼が言おうとすると「この者は信用できません」と馮異が言う。劉秀が集めた援軍はわずか3千、城を守るのが精一杯でしょう、それにこの者は劉秀に冷遇されていました、拷問を逃れたいだけです、と。
「何だと?私は劉兄弟と共に決起した」と言う李軼。馮異は李軼に「それは知っている。だが、お前は逆賊の天子に劉玄を推し、劉秀より上の位を与えられた。なぜ信用できよう」と言う。そして王尋に「私は劉秀に信頼されており、作戦会議にも参加していましたが、李軼は同席していませんでした」と言う馮異。
王尋は馮異に「劉秀はいつどこから襲撃する」と聞く。馮異は「明日、東営から攻め込むでしょう」と答える。劉秀は大司空の監禁を知りません、約束通りに動くはずですと。それを聞いた李軼が「嘘だ。劉秀は水路を使い西営から攻めてくる」と言う。
1人は東営と言い、もう1人は西営と言う状況に「どちらかが嘘を申してるはずだ」と言う王尋。李軼は必死に「劉秀は必ず西営から奇襲をかける」と訴える。劉秀が大司空と通じているなら大司徒を狙います、と馮異が言い、李軼は「劉秀と通じているのはお前だろ」と怒鳴る。
李軼が時間稼ぎをしているにすぎないと思う王尋。王尋が行こうとし、李軼は「首を賭けてもいい」と言う。すかさずひざをつき「私も首を賭けます。私の話が虚偽であれば死罪に」と言う馮異。
王尋は「以前、私が連れ去った厳尤府の舞姫は想い人であろう?もしや、お前はあの時のことを根に持ち、私を陥れるつもりでは?」と馮異に言う。馮異は「禄を食む身で私怨などもっての外。ですが、もし功を立てられたら私に丁柔を授けてください」と頼む。「そこまで申すのならば、お前を信じてみてもよかろう」と言う王尋。
王尋は西営の水路に砦を設け、東営には陣を敷くよう命じる。
鄧晨はろくに休んでいない兵のことを思い「奇襲は別の日にしたらどうだ」と劉秀に言う。「王尋は2度も襲撃され憤慨しているはずです。明日にも攻め込まれるかも。そうなれば陥落は時間の問題です。絶好かつ最後の機会は今夜しかありません」と劉秀は話す。戦に危険は付き物、馮異の離間策がうまくいっていれば、今、敵陣に総帥はいない、西営から潜入すると。
麗華は劉秀が奇襲を今夜かけると悟っていた。「なぜ今夜だと分かるんです?」と聞く鄧奉。麗華は「武将は地理と天文を見る。今夜は強風だから奇襲の好機だわ。劉秀はいつも敵の不意を突くの。昼間に帰還した者が夜に出撃する?今夜に間違いないわ」と答える。
鄧奉に準備をするように言い、麗華は王尋を殺すため、王尋の礼牌を持って新の兵として潜入すると話す。危険すぎる、私が行く、と言う鄧奉。麗華は「王尋が分かる?」と聞く。鄧奉が「いえ…姉さんは?」と返すと「分かるわ。両親を殺した敵よ」と言う。そして陰興に「両親は王尋に追撃され死んだのよ。この手で始末すると誓ったの」と言う麗華。
尉遅峻は麗華と一緒に行くことにする。
水汲みをしていた丁柔を将軍が襲おうとする。そんな丁柔を助ける麗華と尉遅峻。
新の兵に装った麗華と尉遅峻は、丁柔に連れられ幕舎へ向かう。途中、磔の李軼と会うが、口に布を詰められた李軼は話す事ができない。
ーつづくー
ずっと麗華の活躍が目立っていたけど、ここにきて劉秀がカッコいい(≧∇≦)ノ彡
男らしいし勇敢でもあるし。
よりにもよって李軼が捕まってしまうとは…(;´д`)ノ
自分だけのことしか考えないのは張卯と同じ。
ある意味、王尋を混乱させてはいると思うけど、劉秀たちの作戦が成功するか心配。
麗華も敵陣へ。
舞姫となって麗華は王尋に近づこうと考えているみたい。
でも、女らしい事が苦手な麗華だから、上手く舞も踊れなくて…。
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そして、秀麗も気づいて敵陣へ潜入。
久々に丁柔と合えてよかったです。
姐姐仰るように、踊りは大丈夫かちょっと心配ですが、
みんなのために頑張ってくれるはず。
続きも楽しみですね!