「戦場での再会」
晋と涼の戦いが始まる。空を見る楚北捷に「涼軍は巧みに鷹を使います。敵の見張り所が近いようです」と言う楚漠然。北捷は精鋭を率いて先に国境を越え、白娉婷の消息を探るよう命じる。
陽鳳(ようほう)は魏霆(ぎてい)から「楚北捷の動きは予想を上回る速さです。すでに雲長の関所を越え、前進しています。則大将軍も本陣を出ましたが、国境へ着く前に戦が始まるでしょう」という戦況を聞く。「今後、屋敷内で戦の話は禁ずる。特に娉婷に注意して」と言う陽鳳。
すべての料理が運ばれ、娉婷は「大将軍と奥様もお呼びして」と侍女に言う。若い侍女が「大将軍はご不在です」と答え、もう1人の侍女が「黙って」と止める。そこに陽鳳が来る。
自分の好物ばかりだと喜ぶ陽鳳。娉婷は「燕を離れたあなたに、懐かしい味を作ってみた」と話す。
せいろを見た陽鳳が「これは何なの?」と聞く。娉婷が「開けてみて」と言い、開けた陽鳳がウサギの形をしたお菓子を手に取る。「覚えていたのね?」と陽鳳が言う。
幼い頃、皆が食事へ行く中、師匠に残って琴の稽古をするように言われた陽鳳。娉婷は陰からその様子を見ていた。誰もいなくなってから、お腹の空いている陽鳳に、ウサギと鳥のお菓子をあげた娉婷。「私は娉婷。敬安王家の侍女で、若君についてきた」と娉婷が言い、陽鳳も自分の名を告げる。それが2人の出会いだった。
「あの日から皇宮で、毎日あなたを待っていた。お菓子が欲しくてね」と陽鳳が言う。
陽鳳は「なぜ私に優しくしてくれたの?」と聞く。娉婷は「あなたに琴を教わりたくて。お菓子はそのお礼ね」と話す。「子供の頃から策士なのね」と言う陽鳳。娉婷は「あの頃は皆が幸せでよかったわね」と言う。そこに娉婷の夫・則尹(そくいん)から文が届く。
陽鳳はすぐに読まず、食事を続ける。娉婷が「なぜ読まないの?」と聞くと「内容は分かっているわ。つまらない文よ」とごまかす陽鳳。しかし、すぐに陽鳳は、話しながら夢中で食べたせいでお腹がはち切れる、部屋に戻って横になり、また後で来るわ、と部屋を出て行きそうに。その背に向かい「晋軍が来襲し、則大将軍は涼王に呼ばれた。なぜ隠すの。楚北捷が大将軍の敵だから?」と言う娉婷。
陽鳳が「あなたを苦しめたくなかった」と答え、娉婷は戦の状況を尋ねる。「あなたよね?楚北捷に停戦を願い入れ、承知させた燕の女軍師というのは。あなたは聡明でとても強い人よ。だけど、この争いに巻き込みたくない。どちら側についても苦しむだけ。あなたに傷ついてほしくないの」と言う陽鳳。それでも娉婷が「戦況を教えて」と言い、陽鳳は「開戦はまだよ」と答える。
陽鳳は「教えて、戦が始まれば私の夫と楚北捷とどちらが勝つ?」と聞く。「大将軍の実力が分からず、何とも言えない」と言う娉婷。陽鳳は「いいのよ。夫がいかに強いか私は知っている。きっと勝つわ」と言う。そして「しばらくの間、あなたには会わない。無理な頼みをしそうだから」と言って陽鳳は部屋を出て行く。
急報として涼王の元に則大将軍から“青籍が陥絡し、敵は堪布に来襲。堪布と運命を共にすべく全力で守り、都への道を防御いたします”という文が届く。
則尹からの文が途絶え、食事をしなくなってしまった陽鳳。そこに、ようやく文が。喜んだ陽鳳だったが、読んだ途端、倒れてしまう。
娉婷は陽鳳の寝台に座りながら文を読む。文には“わが妻、陽鳳へ。私が死ねば再嫁するように。夫、則尹”と書かれていた。
陽鳳が意識を取り戻す。体を起こした陽鳳から頼まれ、娉婷は衣装箱から衣を持って来る。「決めているの。夫が死ねば、私も生きてはいないと。夫が贈ってくれた衣よ。美しすぎて一度も着ていない」と言って、枕の下から短剣を取り出す陽鳳。
陽鳳は「私が死ねば、この衣を着せてほしい。お願い」と頼む。娉婷は短剣を取り「何を言うの。子供のことは?」と聞く。「話してない」と答える陽鳳。娉婷は「涼王に会うわ。則大将軍を勝たせる。父のない子にできない」と言う。陽鳳は「いけないわ」と止めるが、娉婷は「大切な友のため、私が唯一できることよ」と話す。
涼王と会った娉婷は「則大将軍と堪布で合流し、都を防御いたします」と言う。自分が5年の停戦を成立させた者だと。そして“私の素性を調べぬこと”“晋が破れれば私もすぐ去ります”“三軍の指揮権を賜りたい”という3つの条件を出す娉婷。涼王は「まず戦略を述べてみよ」と言う。娉婷は、劣勢の中では正面切って戦えませぬ、毒を盛ります、涼が各国の事情に通じているのは各皇宮に密偵を忍ばせいてるから、ならば晋王に毒を盛るのは容易、難しいのはそれを食べさせること、食事はいつも臣下が毒の有無を調べている、私の薬なら毒性は出さず、10日間、眠らせておけます、急ぎ密偵に指示を、晋王が倒れると同時に晋の内乱の噂を流します、それを聞けば楚北捷は兵を退き、建康に引き返すはず、と話す。
涼王は「わが国の守りを、そなたに託す」と虎符を娉婷に授ける。
堪布・涼軍営。娉婷は則尹と会うと、すぐに頬を叩く。さらに則尹の文が入っていた筒を見せ「これは何です?」と言う娉婷。則尹は陽鳳に何があった?と心配する。娉婷は「陽鳳は元気よ。あなたが死ねば、あなたの子供を連れ別の男に嫁すわ」と言う。「子ができたのか?」と言う則尹。そして「粋な英雄を気取り、この文を書いたの?そのせいで陽鳳は命を絶とうとしたのよ。自分の妻子さえ守れぬ男に国は守れない」と話した娉婷は「妻も守れぬ男に、国を守れるわけがない」と言っていた北捷を思い返す。
「不可侵の仲だった晋が理由なく攻め来るとは、天に背く蛮行なり。目前の敵を血に染め、必ずや皆殺しにせよ」と言う則尹。北捷は「“理由なく”だと?それが誠かどうか涼王に聞くがよい。または、この私から聞こう。“晋の隊商や民をどこへやった?”とな。晋の商路を奪い、隊商を殺したのは涼軍ではないか」と言い返す。則尹が「偽りだ」と言うと「その潔白を証せるのならば、兵を退いてもよい。できぬなら戦うまでのこと」と言う北捷。
2人は1対1で戦う。娉婷は則尹がしのげる10手まで戦わせ、兵を退かせる。逃げ込む先は百里茂林だった。追いかけてきた北捷たち晋軍は、いばらで苦しむことになる。さらに涼軍に攻撃され、退くしかなくなる北捷たち。
涼軍を勝たせることができた娉婷は、遠くを見つめながら“やはり陽鳳には私の心が分かるのね。誰を助けようと痛みは癒えないことを。これが私の宿命なのかもしれない”と思う。
漠然が北捷に「朗報です。娉婷様は生きています。則尹が救ったとか」と報告する。ホッとした北捷は「天のご加護だ。生きていたか、よかった」と言う。続けて漠然は「それと涼軍に女軍師がいるとの噂です。もしかして、それが娉婷様では?もしそうなら娉婷様を敵に回すのですか?」と話す。笑みを浮かべながら北捷は「今日の戦法は明らかに違った。今後の戦いが楽しみだ」と言う。意味の分からない漠然に、林の中で見つけた三花樹を北捷は渡す。そして「娉婷はこれを利用した。だが実は別の使い道がある。“かの道をもって、かの身に還す”だ。反撃しよう」と言う北捷。
則尹は「なぜ晋は急に攻めてきたのだろう」と娉婷に聞く。娉婷が「“なぜ”とは?」と言うと「楚北捷は言っていた、“涼軍が晋の隊商を襲った”と。それで出兵したようだが、私は何も知らぬ。もし涼軍の仕業なら、私が知らぬはずはない。何か聞いたことは?」と話す則尹。娉婷は敬安王家の別荘で見た箱と涼軍の衣を着ていた何侠のことを思い出す。則尹には「知らないわ」と答える娉婷。
夜更け。庭で何侠が去っていく娉婷を思い出していると、耀天皇女が来る。明日、皇宮に戻るため、皇女が眠れなでいると分かった何侠は「白蘭に戻ったとて、懐かしい故郷がどう変わったのかも知らぬ。そうでしょ?私も皇女と同じです。白蘭には頼る者もおりませぬ。私にとっても見知らぬ国。やってゆけるか自分でも分かりませぬ」と話す。皇女は「私と同じように、今後が心配だと?」と聞く。「そうです。私と皇女の悩みは同じなのです。頼れる者もなければ、あとにも退けぬ。だが、ご忠告します。そういった心配は胸にしまうことです。私を腹心の友と思い、どんなことも打ち明けてください」と言う何侠。
何侠は皇女と屋根まで飛び、一杯の酒を飲む。月夜に照らされながら、楽しい話をしたあと、見つめ合う何侠と皇女。何侠が顔を近づけ、口づけしようとするが、寸前で皇女は「時が欲しい。まだ、準備が整わない。でもうれしい」と言う。
何侠は「雲安にお送りしたのち、私は皇宮へは入りませぬ」と話す。晋と涼が会戦しましたが、どちらが勝てども白蘭に何の得もない、両方に負けてもらいたい、と。それと皇宮に入らぬことと何の関係があるのか皇女が尋ねる。何侠は「皇女のために手土産の用意を」と言う。皇女は「分かった。あなたを待っているわ」と笑う。
何侠が「白蘭を見ませんか?」と誘い、皇女と何侠は馬に乗って駆け巡る。
どこへ行くの?と聞く皇女。何侠は「どこへ行こうと白蘭の国土です」と答える。
ーつづくー
本当に陽鳳はいい人。
娉婷が苦しむから戦に巻き込みたくないって(;△;)
夫のことを考えたら、頼みたかったはずなのに。
娉婷にとっては友も愛する人もどっちも大事。
どっちも選ぶことなんて出来ないよね(;д;)
とりあえず涼を勝たせた娉婷。
でも、北捷も何か楽しみがあるみたい?
娉婷は涼への誤解を解くことができるかな?
何侠が皇女に口づけしたのは、皇女が好きだからじゃないよね…。
その前まで、娉婷のことを思っていたものねヾ(・ω・`;)ノ
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自分の夫が大変なときに、大切な友人とは言え娉婷のことをそこまで考えられるってスゴイですね。
何侠が皇女に口づけしようとしたのにはビックリ。
皇女に想われてると分かって利用しようとしている?
何侠もなんだか怖い~。
消沈した娉婷に心配をかけないようにといろいろ気遣いした上に
則尹の危機にも心を痛めて。
こんな思いやりのあるママからはきっと優しい子どもが生まれるはず。
子どものためにもしっかり生きてほしいです。
それにしても、くるみさんも書かれているように
何侠は皇女となんだかいい雰囲気ですね。
屋根の上での語らい、北捷達にもありましたよね☆
またまたふとあのドラマを思い出しました。
始めは本当にいい雰囲気でしたよね。
皇女とは幸せになれるといいですよね。