主要三部門(家計・企業・一般政府)のGDP寄与度
家計は消費、企業は設備投資+在庫投資、一般政府は消費+投資+在庫投資としてGDPに寄与している。これ以外に民間住宅投資が、企業と家計の中間にある。
まとめるとGDPは消費と投資(+在庫投資)のことであり、すなわち使われたお金のことである。使われたお金は必ず誰かの所得となっている。GDPに直接現れないのは企業の利潤と貯蓄である。この場合の貯蓄はプラス・マイナスの両方を含む。マイナスの貯蓄とは債務の増加のことだ。
2023年第二四半期(4―6月期)のGDPに占めるそれぞれの割合は、家計消費52.5%、民間住宅3.8%、企業設備投資17.0%、政府消費20.7%、政府投資5.3%となっている。在庫投資は官民合わせて0.4%程度、純輸出(輸出―輸入)-0.1%となっている。政府の消費+投資が家計消費の半分弱となる。これに一般政府の持つ再分配機能も加えて分析する必要がある。個別企業と違って単年度の黒字・赤字を云々しても意味がなく、かえって有害だ。(この項は前回の繰り返し)
1997年から2023年までのGDPを追ったのが以下のグラフである。四半期ごとの年率換算値を使い2008年第三四半期を100としている。
リーマン危機、大震災、コロナ禍と打ち続く大きなマイナス要因を乗り越えて2004年~2008年のリーマン危機以前のトレンドに戻してきた。といってもこのトレンドは年率0.5~0.6%の成長に過ぎない。これを、公的需要(一般政府の消費・投資)、企業設備投資、家計消費に分けると以下のようになる。いずれも2008年第三四半期を100としている。
2008年からの伸率は公的需要が他を圧倒しており、続いて設備投資、家計消費低迷が目立つ結果となっている。
2008年と2023年を比較すると名目で34.2兆円、実質で27.5兆円GDPは増えている。名目34.2兆円、実質27.5兆円のそれぞれに占める各部門の額と合計に占める割合を示したものが以下の表である。
2008年3Q⇒2023年2Q
民間住宅は名目で2008年と変わらず、資材人件費の値上がりの分だけ実質では減っている。
家計消費は、この間の物価上昇で名目の3割程度しか上昇していない。
企業設備投資もまた実質では名目の半分強となる。
実質では増加分の77.9%、名目では55.4%。名実ともにこの間のGDP増加の主因となったのは公的需要だ。
では公的需要の何がどの程度伸びたのか。次回分析したい。