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日本版DBS制度

2024年07月02日 09時55分18秒 | 一言
性犯罪起きない社会のために
 性暴力は被害者の尊厳を深く傷つけ、人生に与える影響は極めて大きく許されない犯罪です。とりわけ、弱い立場にあり、被害を認識するのが困難な子どもへの性暴力は決して許されません。教員や保育者など、子どもを守るべき立場の者による性犯罪を起こさせないのは、政治と社会に課せられた最低限の責任です。

 子どもと仕事で接する人について、学校や民間教育保育事業者に性犯罪歴の確認を義務付ける「日本版DBS」制度の創設を盛り込んだ「こども性暴力防止法」が先の通常国会で全会一致で成立しました。性被害当事者らから待たれていたものです。

■残った多くの課題
 ただ、制度自体も多くの課題を抱え、この制度だけでは解決できない問題も残ります。性犯罪が起きない社会にするために何が必要か、社会全体で取り組んでいく必要があります。

 日本版DBSでは、行政に監督・認可権限がある学校、認可保育所、幼稚園などに「特定性犯罪前科」の確認を義務付けます。就労希望者のほか現職も対象で、事業者は、こども家庭庁を通じ法務相に犯歴を照会・確認。犯歴がある人を子どもと接する業務に就かせないよう求められます。

 また事業者には、職員研修や子どもが相談しやすい体制づくり、被害の調査などの「安全確保措置」が義務付けられます。

 学童クラブ、認可外保育所、学習塾などは任意の認定制度で、希望する事業者は国に申請し、学校などと同等の安全確保措置をとれば国が認定し公表します。

 問題なのは、子どもに性的嗜好(しこう)を持つ者が未認定の事業者に集まりかねず、義務規定のあるところに行けない子どもへの危険がかえって高まることです。

■人権教育が不可欠
 なにより、性犯罪の9割は初犯と言われており、DBSだけでは子どもを守ることはできません。

 性暴力は、ジェンダー不平等やジェンダーに基づく固定観念がもたらす暴力です。社会から性犯罪をなくしていくには、ジェンダーや人権教育、人権尊重に基づく包括的性教育によって、非暴力を貫いて生きる知識・態度、性的同意や相手へのリスペクト、性被害だと認識できる知識、被害を受けたときの対応―などを学ぶことが不可欠です。

 教育現場では、不祥事を隠したり、誤った同僚意識から被害をうやむやにするなどがあってはなりません。子どもを見守る複数の目の確保、養護教員やスクールカウンセラーの増員も重要です。

 再犯防止プログラムなど加害者更生の継続的支援、性犯罪治療への支援も求められます。

 DBSと一体に、これらに国が責任をもって取り組む必要があります。

 一方、犯罪履歴という重大な個人情報が漏洩(ろうえい)したり目的外利用されることは防がねばなりません。その点で、子どもに接する職業に就こうとする人が、性犯罪歴がないことを条件にデータベースに登録され、本人が犯歴のないことを証明する「ホワイトリスト方式」の研究も課題です。

 残された問題に向き合い社会的議論を深め、性犯罪を許さない社会をつくっていく必要があります。


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