意思による楽観のための読書日記

タンパク質の一生 永田和宏 ***

人間の体の7割は水分、残りは固形成分と言うことになるがその固形成分の2割がタンパク質、アミノ酸の集合体である。そのタンパク質が生まれてから死ぬまでのプロセスを解説した。ヒトには60兆の細胞があり、細胞には核、DNA、ミトコンドリアなどがおさまっている。細胞は80億のタンパク質からできているとのことでタンパク質は常に分解され生成されていてこれが代謝となる。

アミノ酸には20種類があり、その基本構造は共通、NH3のアミノ基とCOOHのカルボキシル基があり様々な種類のある側鎖により種類を持つ。アミノ酸同士はペプチド結合でつながりその組み合わせでアミノ酸の種類が決まる。アミノ酸は20種類しかないが、その組み合わせでなるタンパク質の種類はほぼ無限にある。コラーゲン、骨格、酵素などはタンパク質である。このあたりまでは中高時代に習ったとおり。

面白かったのはタンパク質がその性質を発揮するのは一次構造であるペプチド結合の組み合わせで一意に決まるのではなく、つながったポリペプチドが螺旋状や折りたたみ状、などになり、さらにそれらが3次元構造にさらに折りたたまれていくにしたがって親水性や疎水性などの性質を発揮するということ。さらにその折りたたみを促進する介添え役である分子シャペロンと呼ばれる存在があることである。外からの熱などのショックがあると、分子シャペロンはそのショックを吸収したり和らげたりするためにタンパク質の折り曲げ生成を手助けするのだ。

こうした性質を利用して、臓器移植するために用意する臓器の鮮度を保つ実験として、一度臓器にショックを与え分子シャペロンの働きで外からのショックへの対応力を持たせた後に臓器を取り出し輸送すると鮮度を保ったまま臓器を輸送可能となる、かもしれないという、実験を進めている。分子レベルの研究が医学の進歩に貢献するという話、興味深いではないか。
タンパク質の一生―生命活動の舞台裏 (岩波新書)
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