意思による楽観のための読書日記

日本列島100万年史 山崎晴雄、久保純子 ****

日本列島は4つのプレートが沈み込む狭間にある地震列島。太平洋プレート、ユーラシアプレート、フィリピン海プレート、北アメリカプレートである。東日本大震災は太平洋プレートの三陸沖にある日本海溝に沿った前弧海盆付近を震源にしていた。今後起きると言われる東南海地震はフィリピン海プレート沿いの四国海盆に沿った南海トラフを震源とする。日本には大きく言うと4つの火山山脈があり、太平洋プレートが沈み込んで深度が100kmに到達した地点にある火山弧、これが北海道では大雪山系、そして東北六県を縦に貫く6つの山地(恐山、八甲田、仙岩火山、栗駒鬼首、蔵王、磐梯安達太良、会津)、四国海盆の先には近畿から中国山地にかけての山々、そしてフィリピン海プレートもう一つの海溝は琉球列島に沿った南西諸島海溝で北は九州、南は台湾にまで連なる。これらを火山フロントと呼ぶ。沈み込んだ太平洋プレートなどが水分を含んだ地殻を地中に巻き込むため、ユーラシアプレートのマントルと混ざり合い、粘度のあるマグマが発生する、ちょうどその距離と深度が100kmだそうだ。列島を東西に引き裂くフォッサマグナは、フィリピン海プレートがユーラシアプレートと衝突してできている伊豆半島との衝突現場に縦に発生している歪み。地球という球面上で2つのプレートが真正面から衝突すると、そのプレート状に浮かぶ形となる日本列島の形は弧状になる。他にも千島列島、アリューシャン列島なども同じ理由で弧状列島となっている。

今から100万年ほど前にヒマラヤ山脈の高さがある閾値を超えたため、北半球の大気循環が影響を受けて、地球全体の温度循環に大きな影響を与えた。それ以前は4万年周期で寒暖を繰り返していたのが、それ以降は10-12万年周期となった。現在は2万年前から始まった間氷期で、その直前まではヴェルム氷期、極地の氷結のため海水準は現在より120メートルも低かった。その為東京湾大阪湾だけではなく瀬戸内海も陸地となり、宗谷海峡、間宮海峡も陸続き、朝鮮半島からも干潮時には20メートルほどの深さの海峡となっていた。これが縄文時代の7000年前頃になると温暖化により逆に氷が溶けて海の高さが高くなり、東京湾は埼玉の川越から更に北側までは海となっていた。12.5万年前の間氷期には更に海水準が高く、関東平野はすべて海の下だったという。

火山活動も地形に大きな影響を与える。北海道にある支笏湖、元は支笏火山で大噴火でできたカルデラが湖になった。4万年前の大噴火で今は千歳空港になっている台地が火砕流により形成され、それより以前には今は日本海にそそぐ石狩川も河口は太平洋側にあった。

三内丸山遺跡のある青森も、集落が形成され始めた5900年前頃には海辺に流れ込む川沿いの場所だった。その時点では現在の青森市内は殆どが海の下。5000年前ころに今の青森県庁あたりに砂州が形成され始め、三内丸山遺跡も陸地内部になっていった。

東海道も古代には足柄路が使われていたのが、西暦800年ころの富士山延暦噴火により埋没、箱根路が開発された。しかしあまりに急峻だったためその後足柄路は復旧された。更級日記の書かれた11世紀ころには藤原孝標の娘が京都に帰る際に、昼でも暗い足柄路を越えていく不安な様子が描かれる。その富士山、10万年前に姿を表した。最初は古富士と呼ばれるダラダラ噴火の溶岩ドームを形成していたのが、11000年前ころにプリニー式噴火と呼ばれる大噴火で溶岩が円頂を為すドームが形成され、その後何回もの噴火を繰り返し現在の円錐型の美しい成層火山と呼ばれる形になった。有史以降では1083年、1707年と大噴火、1707年の噴火では、その4年前に関東地方で元禄地震があり、1707年10月には九州から静岡までの宝永地震が発生、その49日後に富士山が噴火している。東海地震がもし起きれば、それが引き金になって300年を経て大噴火する可能性もあるということ。

もう一つの大きな大噴火は縄文時代前半の7300年前に九州南部で発生した大噴火、鬼界アカホヤ噴火。この噴火で九州と四国の大部分の縄文人は全滅したとされる。鬼界カルデラは薩摩半島の50km南にある薩摩硫黄島で、海の中から噴出した数百度の火砕流は海上を時速100kmで渡り、南九州を襲った。この時の地層が黒土層に30cmから1mほどのオレンジ層で、その地層の下は、南方海洋系の石器などが出土、その上には北方系の縄文土器が出土する。同等の大噴火が現在に起きると、どうなるのだろう。


↓↓↓2008年1月から読んだ本について書いています。

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