意思による楽観のための読書日記

日本人の苗字 丹羽基二 ****

日本人の苗字には三十万の種類があるとのこと、中国は3500、韓国では250という。欧州を全部合わせても五万、日本はなぜこんなに多いのか。明治維新までは一万と推定され、その時に作り出された苗字が圧倒的に多いらしい。

苗字の分類。地名型、全国には1000万の地名があるのでそこから派生する苗字も膨大だと。職業と屋号型、飴屋、糸屋、俵屋、弓屋、枡屋、綿屋など、家、谷、矢、野なども同根。職業型、大蔵省役人の大蔵、出納係の監物、木工業担当者の工藤、修理担当の進藤、官吏の進士、左近の司の左近、太宰府役人の太宰、郡司、租税担当の税所。信仰由来の三輪、神、釈。外来の高麗、秦、百済。芸名の幸若、善阿弥。

神の名前と結び付くのが天照大神の姫から由来する九州の宗像、神に捧げる酒に由来する奈良の三輪、新羅の姫から由来する大坂の難波、など。

古代からある姓に由来する、おみ。臣、小見、麻績、尾身、尾見、尾美、小海、麻見など。別(わけ、和気)連(むらじ、村治)、村主(すぐり、勝)、部の民に由来する海部、鍛冶、玉造、弓削、矢作、猪飼、錦織、園、壬生、久米、笛吹など。その他、現存する部のつく苗字に池部、山部、木部、田部、若田部、神部、服部、五百木部、長谷部、春日部、谷田部、など。

藤原一族の斎藤、佐藤、内藤などは官職由来、地名型には伊勢の伊藤、遠江の遠藤、近江の近藤、加賀の加藤、尾張の尾藤、武蔵の武藤、備後の後藤、那須の須藤、信濃の信藤、など。

出雲には先史時代にアマ(海人)族がいた。そこに稲作と鉄器をもたらす出雲族が進攻、大和朝廷建設の核となった。アマ族は海産物の狩猟で生きてきた民族、入れ墨していて南方系と考えられている。この子孫は大和朝廷に保護され海人部、海部、そしてアズミ族となり安曇、安住、安海などの姓が生まれた。

源平藤橘は省略。

枕詞の苗字や、大和言葉を漢字に置き換える際に適切な言葉が無いため作られたとされる苗字には、春日、東海林、長谷川、日下、飛鳥、五十嵐、など。

苗字に使われる漢字、ベスト20、田、藤、山、野、川、木、井、村、本、中、小、佐、原、大、島、高、松、谷、沢、橋。田は稲作から、藤は藤原から、その他地名型が圧倒的に多い。

江戸時代に苗字を名乗ったのは、公家、武家、神主、医者、庄屋、学術。しかし多くの農民も先祖からの苗字をこっそりと使っていたという。屋号としてカムフラージュしたり、土地の有力者、町年寄、藩主が理解がある地方などは町民、農民も苗字を名乗った。

明治4年、徴税、徴兵、国家意識醸成を目的として戸籍法が施行、この時に現在の30万の内の29万の苗字が生まれたという。騎馬武者を先祖に持つという言い伝えから騎馬、万年栄えたいので万年、長野県の住んでいる地名から泰阜(やすおか)、庭の木から槐(えんじゅ)、屋号から鮴(ごり)屋、僧侶なので釈、神官だから神など。

それでもガイドラインは示された。発祥地、かつての苗字、あやかり、記念、祖先の氏、職業、屋号から。29万の作られたとされる苗字にも個人の歴史があるはず、というのが筆者の考えである。

↓↓↓2008年1月から読んだ本について書いています。

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