意思による楽観のための読書日記

繚乱 黒川博行 ****

黒川博行の「繚乱」は「悪果」の続編、主人公は大阪府警退職した堀内と同じく大阪府警を懲戒免職になって不動産調査会社ヒマラヤ総業の嘱託調査員になっているかつての相棒伊達のコンビである。「悪果」ときて「繚乱」、悪果・繚乱か。

 不動産調査とはいえ中身は競売屋、仕事は入札物件の調査とヤクザなどの占有者排除であり、元暴対刑事にはうってつけのお仕事だった。堀内は伊達に誘われ再び大阪に出てきてヒラヤマ総業の調査員になってしまう。担当した案件は、西中島のパチンコホール「パルテノン」。

登場するのはヤクザ、不動産地上げ業者、パチンコ利権に巣食う警察OB、金貸し、舞台は関西地区で大阪が中心、関西住民にはお馴染みの地名が続出する。堀内と伊達の軽妙な関西乗りの会話はいつもの黒川節だが、その話題は大体いつも「とりあえず何食う?」「どこに飲みに行く?」。絵に描いたような男の世界に、読むだけで男の体臭が漂ってきそうだ。 

二人がパルテノンの背後を調べれば調べるほど、単なる寂れたパチンコ屋ではないことが分かってくる。そこに現れた怖いもの知らずの二人、堀内と伊達は利権をむさぼるヤクザや警察OBには大きな邪魔者であった。しかし、腕力とケンカでは二人右に出るものなどいない、読者には痛快なヤクザ退治や腹黒い警察OBへの対応に胸がすく思いをする。

警察モノ、ヤクザものが好きな読者であれば読めば読むほど面白く、出張であれば行き帰りの飛行機や新幹線で一気に読めてしまうことは確実、夜寝るときに読み始めれば夜明けまでに読みきってしまうだろう。対象者は要注意である。



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