日本一大きな湖のそばに住んでいる。
びわ湖だ。
湖岸を車で通る時、景色は美しい。
対岸の建物や山。
おだやかな湖面。
巨大な湖だ。
が、海とは異なる。
以前、神奈川県に住んでいた。
社会人生活を始めたのは茅ヶ崎。
数年後引っ越しして藤沢に住んだ。
湘南海岸は身近だった。
その後横浜市に移住。
横浜駅近辺に一時おり、その後、洋光台に住んだ。
湘南と横浜港の海は、ちょっとちがう。
湘南海岸の思い出は「波」だ。
海の波は湖にはない。
淡海(おうみ)とは言っても、びわ湖に波は立たない。
風が起こすさざ波はあるが、よせて引く、海の波とは異なる。
横浜の印象は潮だ。
長時間での変化、干満、水位の上下である。
わざわざ港にそれを見に行くのではなく、川でそれを知る。
最下流のこのあたりでは、川はかなり大きく、堤防はガチガチにコンクリートでかためてある。
街中を歩くとなんども川を橋で行き来する。
その川の水位が日によって変わるのだ。
「今日は低いな、普通か」、「今日はずいぶん高いなあ」、と違いが目でわかるからおもしろい。
ときにその川の水位が、まわりの横浜の町の地面の高さよりも高くなる。
あきらかに水のほうが地面より高いのだ。
橋を渡りながら川と町とを見ると、その現実に、うっすら恐怖を感じる。
堤防が強固なのでだいじょうぶと思うしかない。
(余談だが、堤防は本当に堅固で、川に降りるところなんてどこにもない。この辺は川で遊ぶところじゃないんだ。ひいきの球団が勝ったからって「道頓堀」のマネをして飛び込んだら、どこにも岸に上がるところが無いから、力つきて死ぬ。迷いアザラシのなんとかちゃんが来ても、まあ彼は平気なんだが、上流からうっかり落ちちゃった猫なんかが流れてきても、どうしようもない。本当にこれは余談)。
びわ湖の水位は、干満しない。
天候(雨の量)で上下するくらいだ。
残念で安心。
横浜にいた時、川の水位の上下を見た私は、びわ湖を見て、そう思う。
3月11日、テレビを見るとその、不安感・恐怖感は、また思い出す。