
イギリスの写真集出版社MACKのマイケルマック(Michael Mack)が来日し、トークショーを行うというので(そしてカタログとトートバッグがもらえるというので)久しぶりに六本木のIMAストアへ。
トークは二部構成になっており、最初に15年間働いたシュタイデルを離れ2010年に立ち上げた出版社MACKの歴史をマックが語り、第二部ではアマナフォトコレクション・チーフディレクターの河内タカの質問にマックが答える形で行われた。
「お久しぶり」という声が飛び交う業界関係者っぽい人々がほとんどの中、自分のような日の浅い単なる写真集好きビギナーが楽しめるトークショーなのか不安だったが、終わってみればとても濃い内容で写真集という媒体がより好きになった。まずMACKの歴史を1時間半かけてじっくり語ってくれたおかげで、写真集出版社というものがどういう意図と想いで運営されているのかよくわかった。第二部も「シュタイデルでできなかった事は何だったのか?(つまりシュタイデルを辞めた理由つまりMackを作った理由)」「影響を受けた写真家は誰か?」「自身の名前を会社名にした理由は?」「印刷会社は複数使っているのか?」「Paris Photoなどイベントに合わせた周期で出版活動を行っているのか?」といった質問がすでに面白い内容だったので、第一部で聴いた歴史がより立体的になって見えてきた。
個人的に面白かったのは、写真集業界はイベントに合わせるため、ファッション業界のように春夏・秋冬といった周期で出版行っているという事だった。また、Mackは経営戦略上アマゾンには卸していないらしく、アメリカでは大手書店Barnes&Nobleでの取り扱いが近いうちにはじまるらしい。「シュタイデルのような出版点数・高価格ではないものにする事で新しい読者を創っていきたい」と語っていたが、手の届く価格帯でアマゾンに頼らずに採算を取っていくやり方はそれだけで応援したくなる。改めて実物を見たらBroomberg&Chanarin「Holy Bible」がとても良かったのでいつか買おう。ちなみにマックが好きな写真集はMICHAEL SCHMIDT「WALL」「U-NI-TY」だそうだ。あと、Alec Soth「Songbook」は3週間で5000部を売り上げたらしい。実物を触ったが、表紙の(ふんわりやわらかな)触り心地がとても良かった。
フォトブック・シンポジウム:MACK
IMA CONCEPT STORE
2015年3月18日 20:00