
Les CultureのExposure Awards 2014で大賞を獲った時に一応見ていたが、昨日届いたIMA vol.12に載っているのを見て、Danila Tkachenkoの「RESTRICTED AREAS」の良さに改めて気付く。
「RESTRICTED AREAS」は、ソ連時代の遺跡を撮ったシリーズで、ある時期まで地図にも電話帳にも載ってなかった閉鎖都市の集合住宅(多くが核兵器開発や科学実験をする場所だった。1964年にチェルノブイリ級の事故が起こったチェリャービンスク40などが有名)、ディーゼル式の潜水艦や未完のまま打ち捨てられた宇宙船、内部の構造が全くわからない要塞のような共産党本部などが一面雪景色の中に不気味に写し出されている。Tkachenkoに限らず、冷戦構造崩壊前の東側の遺産を映した写真はどれも面白い。
今回のIMAの特集はドキュメンタリー写真なのだが、ソーシャルメディア普及の結果、現在の出来事を「リアルタイムに記録」する事にプロアマの差異がなくなったため(むしろ数のうえでアマ有利)、プロは過去の出来事の残滓を発見・収集・編纂する事に力点を置くようになってきたというドキュメンタリー写真の現状が書かれていた。レンズを介したイメージと現実世界と時間の関係を簡潔な言葉で表せる脳みそを持ち合わせていないが、時間的な距離をとって事物事象を扱ってるドキュメンタリー写真の方が再読に耐えうる面白さがあるのは確かなので、この流れの作品がどんどん創られていってほしい。
今号にも載ってたDallaportaの「Antipersonnel」(世界中の地雷を美しいデザインの工業製品のカタログのように映したシリーズ)が欲しいが高い… こちらは千円ちょっとで売っていたので思わず買ってしまった(岡秀行「日本の伝統パッケージ」の英語版)。Garry Winograndのこの写真が好き。