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ワンダフルなにか ビューティフルだれか

並べてみると 輪郭がつかめるかもしれない

Danila Tkachenko RESTRICTED AREAS IMA vol.12

2015-05-28 00:14:22 | 写真



Les CultureのExposure Awards 2014で大賞を獲った時に一応見ていたが、昨日届いたIMA vol.12に載っているのを見てDanila Tkachenkoの「RESTRICTED AREAS」の良さに改めて気付く。


「RESTRICTED AREAS」は、ソ連時代の遺跡を撮ったシリーズで、ある時期まで地図にも電話帳にも載ってなかった閉鎖都市の集合住宅(多くが核兵器開発や科学実験をする場所だった。1964年にチェルノブイリ級の事故が起こったチェリャービンスク40などが有名)、ディーゼル式の潜水艦や未完のまま打ち捨てられた宇宙船、内部の構造が全くわからない要塞のような共産党本部などが一面雪景色の中に不気味に写し出されている。Tkachenkoに限らず、冷戦構造崩壊前の東側の遺産を映した写真はどれも面白い。


今回のIMAの特集はドキュメンタリー写真なのだが、ソーシャルメディア普及の結果、現在の出来事を「リアルタイムに記録」する事にプロアマの差異がなくなったため(むしろ数のうえでアマ有利)、プロは過去の出来事の残滓を発見・収集・編纂する事に力点を置くようになってきたというドキュメンタリー写真の現状が書かれていた。レンズを介したイメージと現実世界と時間の関係を簡潔な言葉で表せる脳みそを持ち合わせていないが、時間的な距離をとって事物事象を扱ってるドキュメンタリー写真の方が再読に耐えうる面白さがあるのは確かなので、この流れの作品がどんどん創られていってほしい。




今号にも載ってたDallaportaの「Antipersonnel」(世界中の地雷を美しいデザインの工業製品のカタログのように映したシリーズ)が欲しいが高い… こちらは千円ちょっとで売っていたので思わず買ってしまった(岡秀行「日本の伝統パッケージ」の英語版)。Garry Winograndのこの写真が好き。





lucien clergue展 リコーイメージングスクエア銀座

2015-05-22 00:42:44 | 写真





Lucien Clergueを見るため、銀座ど真ん中のリコーの入ったあのビルにはじめて入った。


広くはない展示スペースにきれいなプリントのclergueが多く展示されていた。広告にもなってるこれのプリントは予想通り良かったし、ネットで検索しても出てこないものもあり、その中に今回一番良かったものがあった(画面いっぱい白壁をバックにした後ろ姿のヌード写真。案の定、売れていた)。ヌード以外も結構展示されており、この手のテイストの作品が良かった。


プリントの他に海外版の写真集が数冊置いてあり、セルフサービスのコーヒーを飲みながらゆっくりと眺めるという贅沢体験ができたのも収穫だった。欲しい写真集があったが、ネットで調べると高額だったので断念した(会場のものは非売品)。しかし、帰りになじみの古本屋に行くとネットにも出てこない写真集がサイン付きにもかかわらず格安で置いてあったため購入。見たことのない作品も収録されていたし、↓の表紙だけも即買は決定だった(岩の質感と身体の切り取り方!!)。






写真展「Lucien Clergue」
リコーイメージングスクエア銀座
会 期 4月29日(水) ~5月24日(日)
時 間 11:00~19:00



エルスケン個展「セーヌ左岸の恋」 タカ・イシイギャラリー フォトグラフィー/フィルム

2015-04-30 00:27:50 | 写真



写大ギャラリーで見たエルスケン「セーヌ左岸の恋」がまとまって見られるというので六本木へ。


日本語版写真集はパラパラと立ち読みしたことがあったのだが、本にある文章がこのシリーズの魅力を引き立たせてる重要な要素だということが、文章のなかった今回の展示を見てわかった。プリントサイズも写大ギャラリーのものよりやや小さかったのだが、まとまった数のプリントを見ることが出来る貴重な個展だった。これも良いし、これも良い。




エド・ヴァン・デル・エルスケン 「セーヌ左岸の恋」
タカ・イシイギャラリー フォトグラフィー/フィルム
会 期 3月19日~5月2日
時 間 11:00~19:00


写大ギャラリー40周年記念展

2015-04-26 00:11:33 | 写真



写真に興味を持って以来、一度は行ってみたいと思っていた東京工芸大学写大ギャラリー。他の研究機関や東京都写真美術館よりも前から写真を収集・展示・研究し、国内写真研究の先駆であるその写大ギャラリーが設立40周年を迎え、記念展覧会を開催している。


4月~9月までを四期に分けて国内外の様々な写真家の作品を展示するらしいが、今回行った第一期ではまずタルボット「自然の鉛筆」のオリジナルプリントを初めて見ることが出来た。その他にもエルスケン「セーヌ左岸の恋」や細江英公「薔薇刑」、須田一政「風姿花伝」など私でも知ってる有名シリーズのオリジナルプリントが並んでいたが、今回はじめて知った作家も多かった。


ジゼルフロイント(Gisele Freund)「芸術家の肖像」に写るサミュエルベケットはめちゃくちゃカッコ良く、ニールズレイブン「アメリカングループ 歯を見せて笑う人協会」、アルベルトチョメール「カストロビエホ博士」も面白かったのだが、ルシアンクレルグ(Loucien Clergue)のヌードシリーズを見ることが出来たのが今回の最大の収穫だった。ルシアンクレルグは私が知らなかっただけでピカソやコクトーを撮るなどしていた有名な写真家で、ヌードシリーズは影や水面を利用して女性の裸体の曲線美を写しているのだが、(普通にキレイ・エロいと思って楽しみはするが)特段ヌード写真に意味や興味を見いだせない自分でもじっと見入ってしまう魅力があった。特に影の移り方が綺麗だった。銀座で個展が開かれるそうなのでまとめてじっくり見てみたい。







写大ギャラリー40周年記念展
東京工芸大学 写大ギャラリー
会 期 4月20日~9月27日
    第一期 4月20日(月)~5月24日(日)
    第二期 6月 1日(月)~7月 5日(日)
    第三期 7月13日(月)~8月 8日(土)
    第四期 8月24日(月)~9月27日(日)
時 間 10:00~20:00



写真集飲み会 原宿VACANT

2015-04-19 01:25:49 | 写真




お酒を飲みながら写真集を眺め、買うことも出来るという面白そうなブックフェアが開かれるというので、下戸にもかかわらず原宿へ。


写真集を扱う書店と版元の有名どころが多く参加しているため、(高いからたぶん買えないれけど)良い写真に出会える事を期待して行ったのだが、代官山蔦屋が80%オフというアツいセールを開催していたため買うモードのスイッチが入ってしまい、フガフガと鼻息を荒くしながらセール箱を漁る。定価だと諭吉が一人以上必要なものも多く、Damien HirstやGregpry Crewdson、Boris Mikhailovなど有名な作家の本も結構あった。もっと写真家に詳しければ、掘り出し物をたくさん発見できそうな匂いのする箱たちだった。


欲しいものはたくさんあったが、グッと堪えて一目惚れした一冊を買った。ベルリンの壁がコンクリートになる前の1960年代後半に東側の兵士が壁周辺を撮影した「The Other View:the Early Berlin Wall」という写真集だ。掲載されている写真は役所の倉庫に長年眠っていたのだが最近発見され、Arwed Messmerという写真家がそれらを合成してパノラマ写真にしてロンドンなどで展覧会を開き話題になったのだそうだ。本にはAnnett Groschnerという作家が各写真に短文を添えている。有刺鉄線や監視塔、墓地などの写真が実際どこで撮影されたかがわかる地図が掲載されていたり(QRコードでグーグルマップに飛べたりする)、西側へ脱出した人間の痕跡写真(足跡や破られた有刺鉄線)や詳細な脱出ルートが書かれたスケッチが載っているなど、資料性も高くて面白い。(東側からの)西側世界への視線という事を意識して見ていくと見る面白さがグッと深まる。しかしこのボリュームと大きさ・装丁のカッコ良さにもかかわらず、英世二人でおつりがくるなんていいのだろうか。


他店にも良い写真集がたくさんあり、色々な本を捲ってはお店の人に写真について教えてもらったりと楽しい時間を過ごすことができた。良いお祭りだった。









Kathy Ryan OFFICE ROMANCE 写真集は持ち心地

2015-04-15 00:12:54 | 写真



Newyork Timesの写真ディレクターであるKathy Ryanが自身の仕事場であるNewyork Times Buildingをモノクロで撮影した写真集だという事は家に帰って調べるまで知らなかったが、それでも「OFFICE ROMANCE」に映っているオフィスの写真達は良かった。Renzo Pianoが設計したこのビル自体が良い空間だということもあるだろうが、光が射し込みブラインドや机など様々な形の影が映るオフィスの切り取り方が気持ちいい。


内容も良かったのだが、この写真集が印象に残ったのは持ち心地だった。新書より一回り大きい程度と決して大きくはないのだが、シンプルな装丁(クロスカバーのみ?)と肌触り、適度な軽さと持ちやすさが自分好みであった。色々装丁に拘ったものを作りたくなる気持ちはわかるが、写真集でかなり重要なのは持ち心地と捲り心地だと思う(少なくとも自分は)。何だかわからないが、無性に触りたくなる本は手元に置いておきたくくなる。


ちなみにこの本はRenzo Pianoの解説が付いている。







Lauren Marsolier TRANSITION

2015-03-25 00:05:25 | 写真





フランス生まれロス在住の女性写真家Lauren Marsolier
HAF(Humble Arts Foundation)のサイトで「The 17 Best Photobooks of 2014」を受賞したという記事で知ったのだが、とても良い。その他にも2014年に色々な場所で賞を獲った写真集のようだ。経歴が詳しく出ていないので新人なのかベテランなのかわからないが(たぶん新人寄りの人だと思う)、最初の写真集「Transition」はフォトモンタージュの風景写真集だ。じっと見ているとどんどん現実感が失われていき、デ・キリコやそれに続くシュルレアリスム絵画を見ているような気になってくる。これなんか特に。


それにしてもなぜ良いと思う写真家に女性が多いのだろうか?
別に性差を感じる作風でもないのに。




Jojakim Cortis and Adrian Sonderegger

2015-03-20 22:58:17 | 写真



↑はプラモのジオラマらしい。
このサイトで知ったのだが面白かった。
グルスキー「Reihn II」を皮切りにライト兄弟の初飛行、天安門事件やアポロ11号月面着陸の足跡、9.11やネッシーなどなど色々な歴史的場面をジオラマにして撮影しているスイス(ドイツ出身?)の写真家。


公式サイトを見てみるとその他のジャンルの写真もある。
直リンクが貼れないがPersonal>Div>CIS7708.jpgなんか良い。