菱田春草よりもこっちが先かな…と直感が働いたので秋葉原へ。
現代日本を代表するアーティスト(宇川直宏言うところの現在美術?)の有名どころが勢揃いしている会場は顔見世興行のようだ。会田誠のダンボール作品を初めて見たし、杉本博司の絵画作品もあった。田名網敬一も立体作品は初めて見た。
この展覧会、というよりこのイベントならではの魅力は、
作品展示に加えて各作家によるトークがDommune上で行われることだ。魅力的なラインナップなのだが、配信時間の都合上見逃してしまうものが多い。嬉しい収穫だったのは会場では各作家のトーク映像が流されていたことだ。まだトーク自体が行われていない作家は当然見られないのが各作品の横には全てモニターがセットされているので順次流されていくのだろう。会期末に近づくにつれ展示が完成されていく仕組みになっている。
直感は正しかった。というのは見逃していた岡崎乾二郎のトーク映像で
菱田春草展について言及されていたからだ。めちゃくちゃ面白い。「見えないものを描くとはどういうことか?」について春草作品を例に、フェノロサのいう「妙想=イデア」とは違う視点をいれた簡潔かつ深い解説をしていた。これを聴いているのといないのとじゃ春草展を見る面白さが全く変わっていただろう。
さらに深い分析がネットで販売されており読んだのだが、これまた面白い。当時の日本美術院と春草が何をしようとしていたのか?が画像を用いて詳細に分析されていたり、猫画における観山との違い、ホイッスラーやフリードリヒ、ピエロ・デラ・フランチェスカと春草の関係、岡倉天心にまつわる歴史画問題などにも触れている。分析対象の作品は全て展覧会で見られるものだし、この質と量で400円なら会場で音声ガイドを借りるよりよっぽど良いと思う(音声ガイドを使わないので偉そうなことは言えないが)。そして近代美術館は岡崎乾二郎のトーク映像を会場で流したほうがいいと思う。
その他にも
沖縄でやっている「内間安瑆の世界」展にからめて日本の創作版画の素晴らしさ(と国内における言及の少なさ)や自身が今取り組んでいる
描画ロボット作品や展覧会(これも面白い!見たい!宇川直宏との合同展をぜひ実現して欲しい)についても語っており、このトーク映像が見られただけで秋葉原に行った価値が十分にあった。
【遭 遇】
会場では関連イベント(ライブ)が行われる日だったらしく、さすがドミューン、「ここはクラブか?」と勘違いしそうになるファッションの人達が入り口から溢れるほどにいた。一方、秋葉原駅付近では歩行者天国が行われており、メイド喫茶やアイドルイベントのビラ配りの女の子と行き交う大勢の男たちが中央通りを埋めていた。同じ街でこんなにカラーの違う集団に同時に遭遇して軽く興奮した。
DOMMUNE University of the Arts
3331 Arts Chiyoda
会 期 2014年09月20日(土)~2014年11月03日(月・祝)
時 間 【展示】 12:00-19:00(番組配信日は23:30 まで)
【番組配信】19:00-23:30(期間中不定期開催)
料 金 【展示のみ】800 円 【番組観覧】1,800 円(展示入場料含)