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ワンダフルなにか ビューティフルだれか

並べてみると 輪郭がつかめるかもしれない

志賀理江子 ブラインド・デート 丸亀猪熊弦一郎現代美術館

2017-09-08 00:06:09 | 写真



丸亀でやっている志賀理江子の写真展にギリギリ間に合った。御本人と飴屋法水のトークがあるので最終日に合わせて行ったという方が正しいが。


今展は写真集にもなった、2009年にタイで撮影されたバイクにニケツしたカップルの写真シリーズである「ブラインドデート」のプリント写真をベースに、様々な作品が暗がりの室内の至るところにスライドプロジェクタkodak Ektaproによって写し出されては消えるインスタレーションで構成されていた。壁との距離の違いによって様々なサイズの写真を映し出すプロジェクタの明滅とときおり光る赤い照明によって、鑑賞者たちの影も壁に映る。カップルも。今展のタイトルとしてのブラインドデートにはこの影も含まれていたのか?(本来の意味は、バンコクで車を走らせていると、あまりに多くのニケツカップルと目が合う事に驚いた志賀が「これだけバイクに乗ったカップルがいるのなら、背後から目隠しして心中した者もいたんじゃないか」という妄想からつけられたらしい)。フィリップフォレスト「さりながら」を思い出した。

プリント写真も良いし(「スタジオパーラー」も良かった)、プロジェクタの数々の写真もじっくり見た。そして展覧会の最期に展示されている志賀によるテキストも凄く良かった。自信が子を宿し、母になったことを綴ったもの、震災体験者と二次大戦体験者との交流をつづったもの、それらと写真という行為との関係も綴られており、志賀の(現時点における)写真に対するアティチュードを理解するのに最適な文章たちだった。(↓は抜粋。テキストを収録した図録が来年1月に刊行予定)


飴屋法水とのトークはこの手のトーク会場にしては小さくないサイズだったのだが、立ち見も出るほど大盛況。飴屋の著作「君は珍獣(ケダモノ)と暮らせるか?」をベースにした内容で、しかし地球に未来はない(太陽に吸い込まれて消滅するのは避けられない)こと、死、子など、志賀の作品ともリンクするような内容の話も多かった。飴屋法水の「二十三区野糞計画」の話も面白かった。





この世界において、目は欲望に過剰につながり、呪いにもなった。

死に近づくことによってしか彼を呼ぶことはできないと言い聞かせつつも、彼が私を呼び戻しているのかもしれない、と思い直す。

私のくぼみの中に彼がいる。私と彼をつなげているのは胎盤と臍の緒だけなのだ。

穴、そこに彼が芽吹いた。いつ何時も私たちは個なのだ。

あなたに直接触れぬまま、あなたの写真を撮影した人はあなたのイメージを手にする。これは写真に潜む暴力性かもしれない。けれど、なにか、だからこそ、被写体にに触れずに写真で抱擁し写真でしかできない関係を、もてたのかな

イメージの始まりとは、目に見えぬ存在となって誰かの心に宿り始めることではないだろうか

今死んだ私は必ずや亡霊となり、現れる。
死によってこの想い、意識が突然なくなるとは到底思えない。それは徐々に少しずつ、記憶のように、消えてゆくのだろう

知ってる者が知らない者へその経験を語って当然、という暗黙の了解だけでは語れません。そのお互いの覚悟が通じ合わなければ辛すぎるのです。













Raymond Depardon来日中(だそう)

2017-08-30 00:10:21 | 写真
映画『旅する写真家 レイモン・ドゥパルドンの愛したフランス』予告編



↑のプロモーションでレイモン・ドゥパルドンが来日中だそう。
講演やら個展やらも開かれるそうで9月はドゥパルドン強化月間になりそうだ。
しかし、ソウルライターの映画といい、興ざめする放題はなんとかならないものか。
急がない人生とか旅する写真家とか。間違っちゃいないんだろうが。。。


↓はすごく良い写真集







ロバート・フランク展 東京芸大美術館

2016-12-15 00:14:14 | 写真



いつ行ったのだろう?
他にも結構美術展に行ってるのに書いてないとすぐ忘れてしまう。

この展覧会が良かったのははっきりと覚えている。
フランクの仕事を実際の本を手に取りながら時系列に追っていける。
Steidlとフランクの書簡や契約書、試作段階のサンプル本なども見ることができた。
フランクが渡米間もないころに作った初期のポートフォリオが良かった。

今年のアートブックフェアといいこの学生主導のフランク展といい、Steidlと密につながって面白い事をやっている。
ブックフェアについてこんな記事もある。

強いて言うなら、学生さん、会場の展示用に作られたテキスト(フランクの各写真集の説明、出版年など)をなぜ冊子にしなかった?あれを一冊にして売ってたら絶対買ったぞ。あれの資料的価値を誰か教えてあげればよかったのに。




手頃に写真が買える店Yellow KornerとPodkosova Maroussia

2016-10-05 23:16:20 | 写真



ジュリアマーガレットキャメロン展に行く途中、東京駅付近で見つけたYellow Kornerというお店。東信の写真展がやってるのかと思って目に止まったのだが、実はいろんな作家の写真が手頃な値段買えるお店らしく、今年の春にオープンしたばかりだそう(パリが本店)。諭吉でお釣りがくる値段で良いプリントの写真が買えるのは魅力。人へのプレゼントとかにも使えそう(写真をプレゼントするなんてカッコイイ事はしたことないが)。


そこで見つけたPodkosova Maroussiaっていうパリでファッション写真を中心に活動してるらしい作家の↓。「水モネ」って勝手に呼んでいるが、これはイイ。この作家の水シリーズが他にも何作かある。






David De Rueda 「URBAN ESCAPE」

2016-09-29 01:31:30 | 写真



写真家David De Rueda 。
いわゆる廃墟写真家とざっくり言ってしまっていいのだろうか。


放置されていた第二次大戦のUボート内を探検したことをキッカケに廃墟探検(Urban Explorer:UBex)にハマり、アメリカの廃墟を写したシリーズがこの「URBAN ESCAPE」。↑の金庫の写真に惹かれてこの人を知ったのだが、私好みの写真を撮る人だ。この作品を取った後にNikonの依頼で世界を廻っていろいろ撮ったらしい。ロシアのこの写真なんかも良い。有料だけどvimeoで動画も上っている。


Urban Explorerって本当は廃墟探検だけじゃなくて都市の探検って事だろうけど、狭義の意味で使われる方が多いのだろうか。日本のHAIKYOが紹介されてるサイトもよく見るが。


公園遊具 木藤富士夫 東京アートブックフェア

2016-09-26 00:09:54 | 写真



去年はヤクルト巨人戦に誘われたためニアミスで終わった東京アートブックフェア。
写真集を買い足す気分ではないが今年はとりあえず行ってみるか、と神宮へ。


結構な人数が来ておりそれぞれのブースをじっくり見るのは諦め適当に流していたら↑を見つけた。公園の遊具にライティングを施して撮影した作品集。最高。即買いである。大人買いである。オリジナルプリントも欲しかったが、お気に入りのうさぎがなかったので今回は本のみ。本の方は公園の場所が記載されているのでガイド本としても楽しめる。ご本人がブースにおられて個展の情報などを聞いた。今年はあと2回、都内で個展が開かれるそう。


他にもデパートの屋上をとった「屋上遊園地」や、「銭湯」などがある。この人の作品、どこかで見たことあるなと思ったら中野のまんだらけ海馬に置いてあった。


木藤富士夫サイト


IMA最新号と杉本博司とトーマス・ルフ と河村康輔

2016-08-26 02:43:57 | 写真




定期購読しておいて、この一年だいぶ読めてないIMAの最新号が今日届いてたので開いてみると、九月にリニューアルオープンする写真美術館の杉本博司展と来週から近美で始まるトーマス・ルフの特集が組まれていた。写真美術館では数年前にパレ・ド・トーキョーでやった「今日世界は死んだ もしかすると昨日かもしれない」が進化して展示されるらしいし、トーマス・ルフの新作「press++」(メディアが使用するプレス写真を使ったシリーズ)が世界発公開されるらしいのでとても楽しみだ。



ブルータスで坂本慎太郎と対談してるのを読んで知りました。河村康輔というコラージュ作家。大友克洋GENGA展をやった人なのか。




美術品・文化財を撮る 文化財写真家 城野誠治

2016-07-20 01:04:45 | 写真
毎号入手してはいるが全然時間がなくて読めていないジブリ発行のフリーペーパー「熱風」。


7月号の特集は惹かれるものがあったので何とか読んだ。
トーハク裏手にある東京文化財研究所というところで美術・文化財を撮影・調査している城野誠治という写真家のインタビューなのだが、これが面白い。高松塚古墳の壁画や光琳の紅梅図屏風、若冲の動植綵絵、そして台北故宮博物館の書譜など様々な有名重要文化財のデジタルアーカイブ化に携わっている。


「絵画は平面ではない」ということを、特殊な光や科学的見地を用いて写真という平面に可視化させる事で、肉眼ではわからなかった作品の歴史を浮かび上がらせる。黒田清輝がパレットを撮影し、氏がどのような色を好んで使用していたかを分析している箇所も面白い。


この人の記録してきたものが収められた本があるのだが↓、少々高い。一度は手にしてみたいが国会図書館に行かなければ見れなさそう。




金川晋吾「father」と野村

2016-04-19 00:29:07 | 写真





家にTVがないと芸能ネタに本当に疎くなっており、それを感じる瞬間がたまにやってくる。
元巨人の野村を先週知った時にはさすがに驚いた。
これを知らないまま数ヶ月過ごしていた自分に。
妙に惹かれる。
自分の中の奥の方の善悪を超えた部分がじんじんしてくる。


ちょうど同じ時期に偶然発見した金川真吾という若手写真家の「father」という写真集。
疾走を繰り返し自身の父を撮った写真集で写真家による日記とともに写真が収められている。渡辺京二が「男の8割が家族を捨てて疾走したいと一度は思ったことがある」と何かの本で言っていたが、何の根拠で言っているかはわからなかいが、妙に納得し、あぁオレだけじゃないのかという安心と失望がどうに襲ってきたことを思い出す。

同時期に知ったこの2つに心を奪われている、なかなかに危険な状態の春。
いや、楽しく生きているけれど。
ワタシの中の若人あきらが完全に起きませんように。






Cathedral of the Pines Gregory Crewdson @ Gagosian Gallery

2016-03-03 00:07:16 | 写真



ガゴシアンNYで開催中のGregory Crewdsonの写真展が面白そうだ。
タイトル「Cathedral of the Pines」は、CrewdsonがNYからマサチューセッツBerkshiresへ移住し、近所のアパラチアントレイルを散策中に迷い込んだ遊歩道の名前から取ったらしい。ガゴシアンのサイトでは「19世紀アメリカ・欧州の絵画のよう」と言っているが、どちらかというと20世紀のアンドリュー・ワイエス等の方が近い印象を受ける。↓なんかバルテュスだしやっぱり20世紀。








同シリーズの写真集も近日発売らしい。