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ワンダフルなにか ビューティフルだれか

並べてみると 輪郭がつかめるかもしれない

今年のベスト 2022

2022-12-31 22:46:53 | 今年のベスト



<本>
やさしくやさしく閉じてください オカダキサラ
楢山節考 深沢七郎
さりながら フィリップフォレスト
異界を旅する能 安田登
豊饒の海シリーズ 三島由紀夫
性と芸術 会田誠
大邸の夜、ソウルの夜 ソン・アラム
韓国文学の中心にあるもの 斉藤真理子

今年は韓国に本格的にハマった年。そのきっかけは斉藤真理子の「韓国文学の中心にあるもの」。ここ数年流行っている韓国文学のガイド本だろうと高をくくってずっと手を出してなかったが、本屋でまえがきを立ち読みし、ただならぬ雰囲気を感じて即レジへ。20世紀はじめから現在に至るまで、隣の国がどれだけの事をくぐりぬけ、戦い、勝ち負けしてきたのかを、文学を軸に、とてもわかり易く、しかし静かに熱量のある文章で書き記してくれている。完成まで数年かかったというが納得(時間をかけて練られた文章)。
この本から映画ドラマと色々広がったが、コミック「大邸の夜、ソウルの夜」もその一つ。男尊女卑的な価値観がまだ消えていない現代韓国における女性主人公二人の物語。違う国の話とは全く思えないほど「わかる!」という話や心理描写ばかり。色々あるけど、それを受け入れてやっていこうという、甘くはないがかすかな希望を残して終わる読後感も良い。
春に母が亡くなって最初に読みたいと手にとったのが「楢山節考」。前近代的な価値観に、具体的な喪失が癒やされるという事があるのだと知った。
能とは、旅の者がある地で無念の想いを残してこの世を去った者に出会い、話を聞いてやり、弔うというのが大まかな流れだと知り、興味を持つ。「異界を旅する能」の安田登は100分DE名著の平家物語回がめちゃくちゃ面白かった。「さりながら」を読み返す。娘の喪失に向き合おうとする書で、これはこれで真摯だが、楢山節考の方に私は救われた。
三島の豊饒の海シリーズは構造が「能」であると知り、遅まきながら初めて読んだ。あの終わりを書いて、死に向かう心境はよくわからないけれど、綺麗な描写が印象に残る箇所が多々あった(特に春の雪と天人五衰)。来年は福田恆存を読んでみたい。
会田誠は三島の「劇画における若者論」を高1で読んで、手塚をこき下ろし赤塚を称賛するその文章に目から鱗が落ちたそうだ。「性と芸術」は、「犬」シリーズがなぜ描かれたのかを作者本人が解説している。ここまでの意図を持って描かれたと知ったうえでも、性的な表現云々で批判する者もやはり存在するんだろうか?するんだろうな。
オカダキサラの撮る東京の風景が好き。


<映画・ドラマ>
高地戦
KCIA南山の部長たち
工作 黒金星と呼ばれた男
1987、ある闘いの真実
国家が破産するとき
スープとイデオロギー
アシュラ
国際市場で逢いましょう
犯罪都市
エクストリームジョブ
ファーザー
グッドナース
くれなずめ
ドロステの果てで僕ら
ウィニングタイム レイカーズ帝国の誕生

斉藤真理子の本を軸に韓国映画を見ていた。
朝鮮戦争休戦協定直前の悲劇を描いた「高地戦」は主人公の一人イ・ジェフンが良かった。「KCIA南山の部長たち」でイ・ビョンホンがこんなに良い役者と初めて知った。「工作」はファン・ジョンミンとイ・ソンミンの好きな役者二人の掛け合いに惹き込まれる。民主化を描いた「1987」やその後のIMF危機を描いた「国家が破産するとき」は史実を追ううえで為になった。「スープとイデオロギー」は、太平洋戦争終戦後、済州島で起こった惨劇を、自分の母親が体験していたことがわかった監督によるドキュメンタリー。異国にいながら、未だに「北」を支持する理由に、このような悲劇による捻れた想いもあるのだと腑に落ちる部分もあった。
ファン・ジョンミンはNetflixで「ナルコの神」もやっていたが、「アシュラ」のファン・ジョンミンの方が圧倒的に怖い。めちゃくちゃ怖い。特にラスト。恐怖に正義が負ける瞬間が描かれている。このあとに「国際市場で逢いましょう」を見て、素直に感動してしまい(「父さん、おれ頑張ったよね?でも本当に辛かった」と亡き父に告白するシーンに落涙)、極悪市長からこんな良い人の役もできるこの人の幅の広さに脱帽。
マ・ドンソク作品もたくさん見たが、どれか一つ挙げるなら「犯罪都市」。拳一つですべてを解決してほしい。犯罪都市2はまだ見てない。韓国関係ないが、「RRR」もまだ見てない。エクストリームジョブを見てフライドチキンを食べまくった。
洋画では「ファーザー」「グッドナース」が記憶に残ってる。邦画では「くれなずめ」の成田凌が良かった(ガルーダのCGは余計だったけど)。「ドロステの果で僕ら」はメイキングを見てもどうやって撮ったのか完全に把握できなかったが面白かった。ヨーロッパ企画の作品を初めて見た。
年末に見てたのはU-nextで配信している80年代レイカーズのドラマ。80年代というよりタイトル通りレイカーズ帝国誕生前夜を描いたドラマ。チームを買うジェリーバス、孫で後に実際に重要な役割を果たす孫ジーニー、ジェリーウエストの性格や、有名になる前のパットライリーなど、マジック、ジャバーと言ったプレイヤーよりフロント側の物語が描かれていて面白い。文字の使い方がアダムマッケイっぽい。


<音楽>
11 / SAULT
Earth / SAULT
¡Ay! / Lucretia Dalt
Topical Dancer / Charlotte Adigery
Caroline / Caroline
Florist / Florist
In These Times / Makaya McCraven
False / Lambert
Private Space / Durand Jones & The Indications
Like A Fable / 坂本慎太郎
下津光史歌集 / 下津光史

あらためてSAULTが好きなんだとわかった。突然「an offering to god」としてリリースされた5枚のアルバム、1枚に絞れなかった。
Lucretia Dalt「¡Ay! 」はいろんなメディアの今年のベストアルバムにランクインしていたので聴いてみたらとてもよかった。同様にCharlotte Adigery & Bolis Pupil「Topical Dancer」も。こちらは結構Politicalな内容だったりするらしいが、単純に音が良い。
「Caroline」は二曲目のGood Morningが好き。「Florist」も二曲目のRed Bird Pt. 2 (Morning)が好き。
「In These Times」は一曲目が好き。Lambartの「False」は今年はじめにはまった。
Durand Jones & The Indicationsもよくかけていた。ビルボード東京での来日ライブに坂本慎太郎が参加したらしいが、生で聴きたかった。
坂本さんの新作は安心して聴いてられる。下津光史が踊ってばかりの国のボーカルだと初めて知った。このアルバムの「つくし」と「愛のバラード」はとても良い。


<ベストバイ>
Naturehikeのダウンパンツ
キャプテンスタッグランタンS
吉祥寺東急で買ったおりん

なるべく暖房を使わずに冬を過ごすため、ダウンパンツを買った。自分のために節約や節エネをやってはいるが、それを国やメディアから言われるのは気に入らない。
キャプテンスタッグのランタンを家で使うのは節電ではなく、ムードが出るから。
吉祥寺東急の仏具屋でおりんを買った。数十個あるおりんをすべて試奏(?)して一番心地良い音のものを買った。値段が高ければそのぶんいい音というわけではなかった。
この音を通じて毎日母に語りかけている。

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