みんなが同時によくなるという時代はもう終わっている。好景気が続いているのだから、うちの業績もだんだん良くなってくるはずなんて考えている経営者は、即アウトだろう。
いまどき管理、カンリと言っている会社や、会議ばかりやっている会社に、いい話を聞いたことがない。成功しているのは、現場主義を徹底している会社である。
(2日付 朝日新聞 「フジマキに聞け」より)
まったくである。藤巻幸夫さんの発言だ。彼もセブン&アイホールディングス系列の衣料部門子会社社長を務めている。
現場主義と言葉を発することはたやすい。やはり行動が問われる。従業員1万人を抱える大企業で、地方の景気が悪いと弁解する、ある経営者の発言を聞いたばかりだ。この経営者、昔から「現場。現場」と発言していた。しかし、的確な改革をすぐに実行しないと、倒産コースまっしぐらに見える。この社長は現場にも行かないそうである。
全国の支店、営業所、工場を視察し、現場最前線のスタッフと直接話をする。
視察スケジュールは勿論事前に秘書課から通知される。通知を受けた最前線の長は勿論準備万端抜かりはない。
お出迎え、案内コースの掃除徹底、PDCAを展開する壁管理ボード、発表者のパワーポイント制作、予行練習、昼食の手配、お見送り…完璧である。いや100%ではない。現場視察の折に、ちょっと気がつくようなミステイクや不良品サンプルをおいておく。当然にトップは気づく。
そこで工場長、「実はかくかくしかじかでこのようなテイタラクをお見せしてしまいました。申し訳ありません。出来ましたら改善のアドバイスをいただけませんでしょうか。」
「そうか、これは問題だな。これこれしかじかのようにやってみてはどうだろうか。」
「恐れいります。なるほど、そういう手があったのですね。早速改善に取り組みます。良いアドバイスをいただき有難うございます。」
一ヵ月後、社長の元に工場長から報告書が。
「社長のアドバイスを受け、早速改善に取り組みましたところ、このような成果が現れました。スタッフ一同勇気凛々です。ありがとうございました。是非是非、お時間がございましたら更なるご指導を願いたく…」
これを読んだ社長
「ふむ、この工場長は出来る男だ。人の話を素直に聞き、即実践。その後の報告もきっちりしている…。」
めでたしめでたし
こういう場面が多くて困ります。
庶民はいつも犠牲者。犠牲者にならぬように、お互い、防衛しましょう。