人間の歴史は途中経過です
人口が減るのは日本だけの話ではないようです。
人口増を牽引してきたアジアだけでなく、
良い意味で取り上げられていたフインランドでも減少に転じているそうです。
どういうことなんでしょうか。
人口構成比のバランスが悪くなると日本社会は維持できない。
絶対にそうなるのでしょうか。
産めよ育てよは、永遠の真理でしょうか。
人間は、自然と社会環境の変化に適応したので、この地球に生き残っているのではありませんか?
結婚と出産についての考えも、変わってきたのではありませんか?
人間が、イノベーションによって人間社会を変えて来たのではありませんか?
環境適応により人間の社会は変わります。変わらざるを得ないでしょう。
身近な日常生活から始まり、住む場所と規模などが変わるでしょう。
働き方も変わります。
まずは、激変緩和処置です。
心を持つロボット君で乗り越える
ところで、人間の人数は減るとしても、「心を持ったロボットは作れる」と書く専門家がいます。
「ひとの心が解明され、心を持ったロボットが人と共生する社会。そんな社会は、今と何が違うのだろう。何が変るのだろう」
こう、書くのは前野隆司さんである。
局在した巨大な富の反対側に生まれるのは、略奪された被差別民だ。貧しいものは、より貧しくなる。労働者化し、奴隷化する。
富と人権の一極集中は、何千年も前から、ずっと続いている。今も、続いている。しかし、人類も捨てたものでない。新しい逆流も始まる。
労働者は、団結して立ち上がり、専制君主から自由を勝ち取る。独裁政治は滅び、奴隷は自由を得る。
現在の状況は、最終的な姿ではない。むしろ過渡的な姿だ。
*「脳はなぜ心を作ったのか」188頁
全ての動物とロボットにも人権を、と書く前野さんの論述は続いて行きます。
興味あれば本を読んでください。
ロボット工学者であり、脳科学者でもある前野さんが真面目に書いた興味深い著作です。
日本と世界の傾向
日本の出生率は最低
先週の新聞に、
出生率1.20で最低 昨年、東京は1割れ
人口減に拍車 公的支援、子育て先進国も限界
厚生労働省は5日、2023年の人口動態統計を発表した。1人の女性が生涯に産む子どもの数を示す合計特殊出生率は1.20で過去最低を更新した。出生数や婚姻数も戦後最少だった。経済負担や働き方改革の遅れから結婚や出産をためらう若い世代が増えた。少子化と人口減少が加速してきた。
との見出しが躍りました。
見事に低下してきました。
そして、上記の都道府県別出生率を見て、気づくのは地方と都市部(東京)の数字です。
地方は若年女性の流出が多く、都市部はその逆です。
簡単に言うと、地方に残った女性の婚姻数と出産数、流入する都市部のそれらの数は、人口比で見れば違います。
人口流出先の都市部は、独身女性数が多く住むので、出生数が多くなります。
しかし、出生率は低い。
そうなる理由はあるのでしょう。
海外でも出生率は低下傾向
世界的に見ても、傾向はアフリカを除いて低下しています。
子育て支援の先進例とされる国でも少子化が進む。フィンランドの23年の出生率は過去最低の1.26だった。直近で最も高かった10年の1.87から大きく落ち込んだ。フランスは23年の出生率が1.68と、第2次世界大戦後で最低水準だった。10年には2.03まで持ち直していた。
ドイツは改善傾向にあります。
給付中心の政策を転換し、働き方の改革を進め、30年間で子どもと両親が一緒に過ごす時間は1.5~2倍近くまで増えた。移民の受け入れも進めており、22年の出生率は1.46と長期的には上向いている。
すぐにできること
地球環境・戦争・経済格差・老後不安等々と人間の未来に問題は多いです。
しかし、問題を解決しなければ希望はありません。
すぐやることと、時間はかかりますがやることに分かれます。
すぐは、結婚や出産を妨げている障害を早く取り除いた方が良いと思います。
経済的には子どもがいる家庭に、高校までの授業料を無料にし、家賃補助を行う。
自宅購入者には、所得控除額を増やす。
社会的には、労働時間を制限する。
非正規雇用は制限する。
さらに、海外からの労働者を増やす方策です。
人手不足で日本社会はまわりません。
しかし、結婚と出産は奨励しない。
自由です。
目指すべきは、性別・年齢・民族関係なく人間の尊厳が維持できる社会です。
生物は自然と社会の環境変化に適応しないと、生き残れません。
長期では、心(=意識を持つ)を持つロボット君に助けてもらいます。
現状は人間史の途中経過です。
なお、心を持つロボット君なんて作れるのかという疑問は残ります。
現時点で、意識を宿す機械のめどはついていない。
だが、すぐにこうも書いています。
冒頭、人間の意識を機械に移植することは、はるか彼方の夢と述べたが、その夢が実現する日は意外にも早く来るのではないかと筆者は考えている。
渡辺 正峰「脳の意識 機械の意識」、まえがき
前野さんは書きます。
私がこの本で述べる心の考え方には、これまでの哲学者や認知科学者たちのものとは決定的に違う点がある。
従来の心の考え方は、心はだいたいこんなものだが、核心のところはまだ分からない、とか、複雑すぎてすぐには作れない、というような煮え切らないものばかりだった。本当には分かっていなかったのだ。
これに対し、私の考え方によれば、心が実に単純なメカニズムできていて、作ることすら簡単であることを、誰にでも分かる形で明示できる。
これまで心の謎だと言われていた事柄にもほぼ答えられる。
だから、近い将来、心を持ったロボットを簡単に作れるようになるだろう。
「脳はなぜ心を作ったのか」14頁
過去関連記事
(注)
青字と図の一部は日本経済新聞。