天星人語

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人間の意識は可視化できる(脳と神を勉強しました②)

2023-12-07 17:06:01 | 医療・医学

今回のポイント

・意識は電気信号

脳の信号を機械を介して伝える

・ニーチェが書いた言葉

 

意識は電気信号

先日聞いたニュースに以下のものがあった。

思い浮かべた風景や動物をAIで画像復元する新技術を開発

QST

頭の中に思い浮かべた風景や物体を脳信号から数値化し、生成AIを使って画像として復元する新たな技術を開発したとQST=量子科学技術研究開発機構の研究グループが発表しました。
ことばやジェスチャーを使わず、脳で意思が伝えられる新たな装置の開発などにつながるとしています。

QSTなどの研究グループは、風景や物体などの画像を実際に見ているときの脳信号とそれらの画像の特徴を数値化したデータをそれぞれ蓄積した上で、脳信号を数値に変換する「翻訳プログラム」を開発しました。

 

技術の進化により、現実と仮象の違いを人間が認識できなくなる可能性が高くなりつつある。人間の意識感覚は、電気信号で可視化できるので、機械は人間を操ることもできる。

最終的には、倫理と道徳次第となりそうだが、できますか、誘惑にはまるで弱いこの人間に。

 

ところで先日、興味が向いた面白い新聞記事を読んだ。

「脳を移せばアイデンティティー(自己の意識=筆者注)も一緒に移るが、腎臓を移してもアイデンティティーは変わらない。つまり脳の持ち主こそがその人だと我々は考えている。脳が朽ちてしまえば、その人は死んだことになる」

「仮想現実というものを、私はそれほど素晴らしい代物だとは思っていない。仮想現実がテーマの映画『マトリックス』が登場する前から、哲学者たちは『経験機械』と呼ばれる思考実験をしていた。脳を直接刺激して実際の経験と同じように感じられる装置が発明されたとして、それは有用だろうかという議論だ」

「エベレスト登山の仮想体験をできる装置を想像してほしい。風をほほに感じ、ヒマラヤ山脈がはるかかなたまで続いているのが見える。すべてがリアルで、被験者はこれが仮想現実であることには気づかない」

「『そのような装置を使って残りの人生を過ごしたいか』と私は学生たちに尋ねてきた。イエスと答えるのはいつも一握りだ。なぜかというと、仮想世界でいくら素晴らしい体験をしても、現実の自分が何も成し遂げていないのはやはりむなしいことだからだ」

 

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「老いない」「死なない」は幸福か 哲学者の答え - 日本経済新聞

「老いない」「死なない」は幸福か 哲学者の答え - 日本経済新聞

【この記事のポイント】・「老いない」「死なない」ことは幸福なのか・人間のクローンを作ることは間違っている・仮想現実で素晴らしい体験をしてもむなしいだけ人間の意識...

日本経済新聞

 

脳の持ち主が今の私である。今ある脳を別の体に移植しても自己意識は変わらない。また、仮想世界でいくら素晴らしい体験をしても、現実の自分が何も成し遂げていないのはやはりむなしいことだ。

シェリー・ケーガン教授は、そう語る。だが、脳に機械を植え付けることを人間はする。そうなれば、機械を付けた人間は、「模造品の脳」の持ち主となるのではないか、と言う疑問がわく。

 

脳の信号を機械を介して伝える

 
仮想現実の技術が進化し、自分の分身が画面だけではなくどこにでもいる。場所を選ばなくなる。
やっている人間に自分が今していることが、自分が真に意図することなのか、機械がしていることなのか分からなくなる。
こんなことは現実に起こっている。

過去関連記事で、脳の信号を機械を介して、体の神経に伝えることが行われていることを書いた。

脳と機械をつなぐ(ニーチェは才気走った酔っ払い?) - 天星人語

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今回のポイント・脳と機械をつなぐ装置・虚構と仮象の世界・人間はいなくなる脳と機械つなぐBMI技術脊髄損傷患者の歩く機能回復スイス連邦工科大学ローザンヌ校(EPFL)など...

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脳に機械を埋め込むと、自分が今認識・知覚している世界は虚構なのかという疑問が湧かなくなる。
脳の信号を機械を介して受ければ、これまでの自分と、今の自分の(機械を介しての)意識の違いが分からない。
 
 
ニーチェは書く。
 
 
34 虚構と仮象の世界
現在どのような哲学の立場に立とうとも、どのような観点から眺めようとも、わたしたちがいま生きていると信じているこの世界が誤謬に満ちたものであるということこそ、わたしたちのまなざしで捉えうるもっとも確実なこと、もっとも強固なことである。ニーチェ「善悪の彼岸」92頁
 
真理が仮象よりも高い価値があると考えることは、もはや道徳的な先入観にすぎない。わたしが認めて欲しいと考えているのは、すべての生が遠近法に基づいた評価や仮象に依拠しているということである。同上96頁
 
人間が完全な認識を獲得することで滅びてしまうとしても、それは人間存在の根本的な特性かもしれないのだ。同上101頁
 
 
 
 
ニーチェが生きた時代に、脳に機械を植え付けることはなかった。しかし、ニーチェは感覚的には、想像していたかもしれない。
現代では、機械が人間を操る世界に人間は生存することが起きている。
神は死んだ、*ニーチェ「ツァラトゥストラ」(上)23頁 のではなく、人間はいなくなる。
 
そういう世界になろうとしているのかもしれない。

未来、人間は機械を通じて意識を感じるようになれば、人間はいなくなり、そして人間は死んだことになるのだろうか。

脳と神(上)

脳と神(上) - 天星人語

脳と神(上) - 天星人語

今回のポイント・科学は、自己の本質は何かを解明?・人間の魂、神などの意識は体のどこから生まれるのか・人間の意識は物質なのか前書き来世紀(21世紀)の前半、科学は過...

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