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まったりまったり

色々あったりなかったり、考えてたり考えてなかったりなへにょへにょ雑記

感想・夏の王と秋の女神

2009年10月21日 00時24分32秒 | 読書感想
 …………も、萌え死にしそう…………⊂(///∀///⊂⌒`つ≡≡≡
 す、素晴らしい。素晴らしすぎるよ、ツンデレ執事!
 『今回は赤のターン』と推して下さった担当様、ありがとう!!
 そしてこんな萌え話を書いてくれた本宮さん、本当に本当にありがとうございます!!!


 前巻の感想でも書いたけど、今回は夏休み後半編。赤=ツンデレ執事ことネイトとサリアン王子の活躍という事で、もうほんと~~~に首を長くして待ってたんですが、初っ端からやられました。
 冒頭、バケーションを早めに切り上げて学院へ帰る切っ掛けになったリキシスの場面があるんですが、そこでのリキシスとアティーシャ&クロセが……もうもう!!
 やっぱり天然て性質が悪いよね!
 クロセも言ってたけど、本当にそう思うよ。
 顔色悪いですよと顔を覗き込まれてギクリとするリキシスとか、アティーシャがせめて美味しいものを食べましょうよと葡萄を勧めるんですけど、そこでの台詞が「リキシス先輩に美味しいものを食べてほしかったのに……」って!!!
 惚れた相手に(例え相手に他意はなくても)そんなん言われたら、そりゃあ動揺するってもんさ! それが堅物と言われる人間なら尚のこと動揺するだろうよ。全部(リキシスの気持ちとか、それにぜーんぜん気付いてないアティーシャとか)気付いてて爆笑するクロセの気持ち、解るよ! 秋津も読んでて思わず「くはぁッ」とか叫んで、膝で丸まってた猫が飛び起きたさ。
 それにしてもクロセは相変わらず謎めいた人だなぁ。
 アティーシャからの自分(アティ)の何を知っているかの問いに、明確な答えは返さないのに言外にアティが女の子である事実に気づいていることを告げて、尚且つアティ自身が知らないところで巻き起こっている陰謀に巻き込まれつつあることを忠告して、同時に自分はアティの味方であることを告げる。自身の素性とか言わずもがなのアティの性別であるとか、核心に触れることは何一つ口にしていないのにそこまで(あの鈍感な)アティに伝えることができるなんて、飄々としてるけどやっぱり相当頭が切れるよね。
 前回の感想で確か、クロセは実はアティの父親の弟子だったのでは?と妄想したけど、あの後、もしかしたらアティの弟サディの就職先がクロセの実家なんじゃなかろうかと思った次第。
 サディは動物を育てるのが上手くて、その腕をかわれて隣村の大きな農園に就職した→クロセはアティ&サディ姉弟の隣村の出身である→学園内で必要な物資は全て支給されるけど、友人との付き合いであったり年齢が上がるにつれて私物の購入等でお金が必要になるだろうから、貧富に問わず門戸が開かれているとしても生徒達は中流から上流階級出身が多い……そんな安易な三段論法で、クロセは直接の面識はなくてもサディの名を知っているからアティがサディではないと気付いた。
 と、考えたんですけど、どうも今回のでそれも自信がなくなってきた。
 アティが大きな陰謀に巻き込まれつつあると忠告してきたってことは、クロセはその陰謀の一旦なり気配を知りうる立場にあるってことで……。舞台が楽院内であるから何かの偶然で知ることが可能であったとしても、作中出逢って間もないアティに自分はアティの味方であると宣言するくらいなんだから、関わり方が偶然なんて浅い問題じゃないと思うのよね。

 で、その謎を考えていて行き着くのが、やっぱりサリアンの存在。
 今現在サリアンは異母なのか同母なのかは分からないけど、立場的にサリアンのすぐ上の兄に当たる?第12王子エルシオンに熱烈ストーカーされ中(語弊があるかも……でも、昔からサリアンに粘着的に執着してサリアンが大切にしているものをいたぶるのが好きだったという記載に真っ先に頭に浮かんだ言葉なんだorz)で、ネイトもバルムンド(楽院の教師。秘密裏にサリアンの護衛として派遣された)もそんなサリアンの警護に(特にネイトは心身すり減らして)ピリピリしてるけど、アティの巻き込まれている陰謀には絶対サリアンが関わってくるよね。
 サリアンが黒幕って事でなく、最終的にサリアンの失脚を目的としている?的な感じで。
 ジェッツが探している『フィスハの願い』という、神が作ったとされる12編からなる伝説の曲。神が作ったとされるだけあって、様々な奇跡の力を持つとされていて、その曲にアティの父親が関わっているのではとジェッツは推理してるけど、サリアン絡みの陰謀を企てている連中がその『フィスハの願い』を得ようと暗躍している一味と関わりがあると考えるのは、読者として自然の流れで……。
 そうするといまはアティの父親のことは知らなくても、いずれはその事をつきとめるだろうし、そうなってしまえばアティが狙われるのは必至。ただでさえ今回、サリアンのお気に入りの下級生ってことで狙われてたしね。二重の意味でアティの身は危険だわ。
 シリーズ第一巻でアティの手紙を拾って、アティが『サディ』という偽名を使った女の子であるという事実を知っている謎のキャンディの君は、やっぱりサリアンだと思うのです。
 男装の少女が少年との同室は危険だからと考えて、自分の信頼する家令(ネイト)にそうと覚らせずに預けて、少女の身に(女性としての)危険が及ばないように気遣って、ただそうして自分が表立って動いてしまったことで無関係のアティにストーカー兄の魔の手や、楽院内での生活が平穏であるように方々に裏で手を回している……んじゃなかろうか?
 なんか考えすぎて混乱してきたけど。
 大体見も知らずの他人、いくら男装の少女であると知った行きがかり上とはいえ、他人の為にそこまでするだろうか?
 でもクロセが自分の素性(アティが少女であると何故知っているか等)を内密にしながら味方であると明言するのは、クロセ個人だけの感情ではないと思うんだよねぇ。
 サリアンが裏に方々で手を回していたと仮定しても、それをネイトに内密に実行するのは可能なのか?とか、サリアンが手を回していたとして、ではサリアンとクロセの関係は?とかね。
 どうもここら辺の謎は、アティの入学前に話が遡っていかないと分からないと思う。

 あと、秋津はサリアンこそがキャンディの君であると思ってるけど、実は偶にその考えが揺れ動いたりもします。
 何故ならキャンディの君が拾った手紙を読んだ感想が「(故郷で心配するサディが)ハゲるかもな」だったの……。
 同一巻でのとあるシーンでサリアンは、「下賤の言葉で言うと『ナメられて堪るか』ということだな」と言ってるんですけど、そのシーンを思い出すたびにすごく不安になるんです。

 高貴なお方が『ハゲ』なんて言葉を使うんだろうか?

 でも『ハゲ』って『ハゲ』だよね? ハゲに敬語ってか丁寧語? 綺麗な日本語の表現てあるの? 『御髪が薄い』とか? そりゃ遠回しな嫌味だろ! ああっ、皇室の方が『ハゲ』をなんて表現するのか聞いてみたい!!

 ……なんて、グルグルグルグル考えましたとも。
 いまも『ハゲ』の謎を考えると、サリアンがキャンディの君という考えの自信が揺らぐ秋津ですよ。

 そんな訳で、長くなったので続きはまた次回! ←続きがあるの!?∑(゜Д゜)
 もちろん。ネイトへの萌え語りを全然してないからね!


感想・谷間の百合と水の乙女

2009年07月20日 18時23分19秒 | 読書感想
 ちゃっちゃちゃちゃらっちゃらっちゃっちゃ~♪
 ちゃっちゃちゃちゃらっちゃらっちゃっちゃ~♪

 表紙を開いてカラー口絵を見た瞬間、秋津の頭の中で流れたメロディーでございます。
 なんじゃそりゃ……と思うかもしれませんが、今回のカラー口絵はですね、「あまり表紙に縁の無さそうな脇役を描いてほしい」という著者・本宮さんのリクエストで(……ここまでヒドイ言い方はしてなかったかも)、主人公・アティことアティーシャを取り巻く三人の美麗集団(赤・ネイト、金・サリアン、黒・ジェッツ)ではなく、アティのクラスメートのメルエルとトールディ、そして2巻から登場している最上級生リキシスとその友人で3巻から登場しているクロセが描かれています。
 で、そのクロセ先輩がですね。
 3巻の挿絵でも描かれていたし今回の4巻の挿絵にも当然登場しているんですが、いつもニコニコ微笑んで言葉尻柔らかく人当たりよくユーモアとウィットに富んでいて、それでいていざという時には頼りになる(※後述)お兄さんなんですが、なんかこう捉えどころがないというか、つかみどころがないというか……。
 風船でバレーボール遊びをしようとして、思いっきり「アターック!!」ってしようとすると、振り上げた手の平が起こす風で風船が泳いで空振りするじゃないですか。そんな感じなんですよねぇ。……どんなだよ ∑\(-”-;)
 とにかく、謎のお人なのです。
 3巻でアティーシャ学園生活最大のピーンチ!である健康診断で助けてくれたのがクロセ先輩だったんですけど、3巻で初めてアティと会ったクロセがなんでアティーシャが本当は女の子だって知ってんの?
 クロセの故郷がアティーシャの故郷の隣村で、最上級生ということは(13歳と年齢詐称してるけど)15歳のアティーシャとの年齢差が4歳?だから、学科も同じ声楽科ってことで、実はアティーシャのお父さんが生きていた頃の生徒だったりするじゃないか……と思ってるんですけど。アティが4歳の頃にお父さんは亡くなってるから、それ以降は縁が途絶えたとしても当時クロセは8歳前後、4歳のアティに記憶が残らなくても、クロセにはアティやその弟のサディの記憶は残ってるはず。サディの容姿にたいする描写があったかどうか秋津の記憶にはないけど、髪の色やら瞳の色とか、壊滅的音痴であるサディの噂とか何かで、学園に入学した『サディ』が実はアティーシャである、と気付いたのかな……なんて思ったり。それでアティーシャをフォローしてくれるので、とても頼りになるお兄ちゃんだと思うんですが、とにかくそこら辺の謎がスッキリしないとハッキリ言ってジェッツよりよっぽど謎めいた人に思えます。
 実はクロセがキャンディの君である、なーんて可能性もあるかもしれないけど、でもそれは違うと秋津のカンが言っているのです。(実はその通りだったら大笑い)

 クロセの説明が長くなったけど、気を取り直して。

 何故口絵を見た瞬間に冒頭の曲が流れたかというと、いままでのクロセの挿絵はどれもニコニコと微笑んでいるものばかりで、今回の口絵で初めてシリアス顔を見たのです!
 そしてそのシリアス顔を見た秋津の感想が『細マッチョ♪』だったのです……。
 こう想像していたよりゴツかったというか。てか大柄? や……多分年相応の体格なんだろうけど、でも学年が上がると剣舞とか必修科目になるらしいんで、多分『見えない筋肉付いてます!』って感じ?
 だって普段の笑顔とあんまりイメージ違うから、最初『クロセ?』って疑問系で首捻っちゃったもん。

 でもって肝心の本編なんですが……。
 今回はアティを含めた同級生トリオ&クロセ・リキシスの最上級生コンビでのサマーバケーションです。
 赤・金・黒は学園にお留守番。や、黒ことジェッツは追いかけていくけど。
 トールディが夏休み中の家庭教師をクロセにお願いして、リキシスも一緒ならいいよと条件付けでのOKを貰い、願ってもないことと商談成立したのはいいけど、気弱なトールディ一人では気後れしてしまうとアティを誘い、そんな女だとバレそうな事はしたくないと気乗りしないアティーシャでしたが、なんやかんやあってメルエルも含めた5人でのバカンスとなりました。
 学園に残った三人……というか、途中ジェッツはアティーシャを追いかけていってしまうのでネイトとサリアンなんですが、最近王子であるサリアンの周辺がキナ臭い事になっているようで、ネイトとロウム語教師扮するネイトの師匠であるバルムンドは、人気のない夏休み中にそのキナ臭い事を片付けてしまいたかったのです。
 最初バカンスに気乗りしないと相談するアティーシャに、「いても邪魔です」とネイトがけんもほほろに追い出したのも、アティーシャを危険な目に合わせたくないというネイトなりの不器用な気遣い。
 その不器用っぷりを微笑ましく思いながらも、「あんまり素直にならないと、自分がアティを貰っちゃうよ」とちょっぴり腹黒さを垣間見せるサリアンと、「アイツは俺の」とどこまで本気なんだか分からないけど所有者宣言をかましてくれたジェッツ。
 ただでさえ意地っ張りで不器用なネイトには手強い相手なのに……。
 バカンス先であんな事になると分かっていたら、どんなに危険かもしれなくてもネイトはバカンスに行かせなかったでしょう。

 ほんと~~~~に、天然って、天然って、天然って……性質が悪~~~い!!!

 バカンス先であるトールディの家の別荘でトールディの婚約者・マデリーンに会ったとか、その婚約者のアティが女の子だってバレたとか(またか!!←∑( ̄Д ̄ノ)ノ)、そんな事は些細な問題なのです。
 結局落ち着くところに落ち着いたし、マデリーンは秘密を守り尚且つアティのいい友人になってくれそうだし。
 アティーシャの何が性質が悪いって、一人の将来有望な青年の未来を歪めてしまったことでしょう……(ノ_・。)

 クロセのことではありません。
 なんとリキシス先輩がアティーシャに惚れてしまったのです。
 あああああああああ、気の毒に……。
 クロセなら別に問題ないのよ。
 問題はリキシスはアティーシャを『サディという13歳の男の子』と思っていることです。
 アティとクロセの故郷も田舎だけど、かなり激しい方言のある地方出身(少なくとも秋津はリキシスの話すお国言葉は断片的にしか理解できません)のリキシスが、普段の理知的な姿をかなぐり捨ててお国言葉で「自分にはそんな趣味はなかったはずだ!!」と苦悩する姿は哀れを誘います( ̄ー ̄)←秋津さん、それ哀れって顔じゃありません。

 いや~、これからの展開が楽しみですよ。

 理知的で冷静沈着と下級生に苦手意識を抱かれているリキシスだけど、お国言葉を知って以来アティはリキシスはいい人と懐いてるし、同室の親友であるクロセはそこら辺のカンも鋭そうだから、本当は女の子だから正常なのに『少年愛に目覚めてしまった』と苦悩するリキシスの姿を絶対面白がりそうだし……。
 あ~、楽しい(≧∀≦)

 性格悪……って感じだけど、リキシスはS気を刺激するんですよ~。
 リキシスの感情に気付いたネイトの反応とかも楽しみだわ~。
 アレもその辺お子様だから、ヤキモチでアティに余計な事言ってまた怒らせたりするんだろうな~(* ̄ー ̄)

 次回はバカンスから帰ってきて夏休み終盤編!
 乙女的萌え展開、大いに期待です!!
 あ~、面白かった!


感想・眠れ、蒼く深き海の底

2009年07月03日 10時22分05秒 | 読書感想
 ここで終わりですか?
 今回本当にここで終わりですか?
 ケルベロスの剣はどこ行っちゃったんですか!?
 謎が謎を呼びまくってますけど、本当に収束に向かってるんですか!?
 それよりシェナンに詳しい話を聞いたライルによって行われただろう、ディクスへのヤキ入れもとい、兄貴の鉄拳による目覚まし行為はどうなっちゃったんですか!? 本宮さん!!

 前回ラスト、『虎穴に入らずんば、虎児を得ーず!』を地で行く心意気で、むしろどこに飛ばされるか楽しみしてるんじゃない?な感じでケルベロスの剣に飛び込んだアリア&光焔ですが、目覚めた場所は南海の孤島でありました。
 北国から南の島って……こりゃまたなんてどこでもドアな……。でもどこでもドアは行き先選べるもんね~。えいや、と入って出たとこ勝負な契約の門の方が厄介か。
 でもリアラの九窮は繋がってるっていう光焔の言葉から想像すると、九窮の契約の門もそれぞれ繋がってるらしい。ただどこに出るかがその契約の門を司る聖獣の性質によって異なるだけで……。で、アリアは契約の門に次々飛び込んで行けば、いつかはミルヒランドに戻れて再び父親やクルサードを救出に行けるって考える訳なんだけど……う~む。
 ここから、秋津の妄想ね。
 リアラの九窮たちにある繋がりって、どんな繋がりなんだろう?
 最初はリアラ女神の下僕である彼らは、同じものなのじゃないかなと思ったのね。説明が難しいけど、なんというか大きなひとつの意識の共有体で、こう……多重人格みたいって言ったら語弊があるけど、色んなものがうにょうにょした意識体の中で似たような特性を持ったモノが集まって出来たのが九窮かなぁ……と。そう、化学反応みたいな感じ。
 でもそうするとお互いの考えが筒抜けっぽくてプライバシーも何もあったもんじゃないって言うか、そもそもひとつの大きな意識体であるなら、九窮同士での会話っていらなくなるんじゃないの?と思ったのでそれは却下して、結局は巫女と聖従者の間にある繋がりと同じなんじゃないかと考えます。
 聖従者たちが自分の巫女がどこにいるか具体的には分からなくても、巫女の身に何事かが起きたと察せられるように、九窮たちは「あ、どっかの門で誰かが契約したぞー」か、「あ、アイツまた誰かと契約してるや」みたいな感じで。
 聖従者って最初の乙女が九窮と契約した時に、乙女に従っていた青年たちっていうけど、実際はその青年達は存在しなくて九窮たちが聖従者そのものだったのではないかしら。

 前回の『目覚めたくない』っていうケルベロスや、今回の『眠っていたい』っていうリヴァイアサンの言葉と、間違った方向を向いて前向きに研究に励むディクスの研究の成果から考えると、幻獣……少なくとも九窮たちは、人がいずれ自分たち・女神からの直接の加護を必要としなくなる、九窮が乙女と契約を交わすことはなくなる、契約を交わせるほどの資質を持った乙女が存在しなくなると感じているんじゃないのかなぁ。むしろその日が来るのを望んでいるようにも感じました。

 話的には本当に佳境なんだけど、ストーリーそっちのけで九窮の謎が気になる秋津です。
 多分、九窮の謎はストーリーでは解明されないと思うので、だから余計に気になってるのかもしれない。あ、あとアリアとシェナンたちが離れてるから、乙女的萌え要素が少ないのもあるかも。
 話はね、本当に佳境なんですよ。
 シェナン、頑張ってるし。アリアもようやくシェナンの気持ちに気付いて、アリア本人はまだ無自覚っぽいけどトキメキ感じ始めたし。
 いけいけ、成長著しい青年たち!
 自分の足元ばっかりでちょっとだらしなさ過ぎるぞ、大人たち!
 って感じで(笑)

 でもね、今はストーリーよりも九窮の方が気になる。
 まだフェンリルがどんな性格か描かれていないし、グリフォンも喋らなかったから何を考えているのが分からないんだけど、巫女を持たない九窮(現時点ではケルベロスとリヴァイアサン)はなんであんなに悲しそうなんだろう。
 光焔もなんだかんだ煙に巻いてるけど、アリアと契約した時は自分がアリアの唯一の幻獣なのだと誇らしげだったから契約の乙女を得るのは多分とても幸せな事なのだと思う。けれど乙女がただ乙女らしく慎ましやかな幸せと平穏の中で暮らすには彼らの持つ力はあまりに強大で、それを目的とする輩は乙女を平穏の中に置いておいてくれなくて、彼らも乙女も望まぬ力を揮わざるをえなくて、結果的に唯一の乙女が涙する姿を多く見てきたから、ケルベロスやリヴァイアサンは目覚めを、乙女の存在を望まないのではないか。
 幸せにあってほしい乙女を幸せの中に置いておくことが出来ずに悲しいから、リヴァイアサンの見る夢は幸せな乙女なのではないかなぁ……なんて思ったのです。

 ヤバイ……秋津、王子たちより九窮の方が好きかもです。
 や、でもコレは今ストーリー核心がリアラの九窮に迫ってるからで、九窮からはなれればまたストーリーの行間を事細かに妄想するようになるのよ!

 とりあえず次回、ようやくのアリアのアランダム帰還をメチャクチャ楽しみにしてます!
 秋なんて言わずに、来月とかどうですか?←無茶言うな、バカ!


感想・囁け、この現世の秘密

2009年04月02日 22時00分36秒 | 読書感想
 光焔がカッコイイ! 光焔がカッコイイ!! 光焔がカッコイイよ!!!!

 イヤもう、流石大本命!!(←え!?∑(゜Д゜))
 いつの間に本命? 王子は?……なーんて突っ込みはノンノン(* ̄ー ̄)"b"
 もちろんシェナンも恋のお相手としては本命ですが、男性陣が誰も男を上げて恋のステージに上らないようなら、アリアはずっと光焔といればいいよ……と、かなり本気で思ってもいるのです。
 でもまぁ、シェナンだろうね~。
 アリアも今回気付いてたけど、ライルは本人無自覚だけどアリアに対する想いは色恋じゃないと思うのよ。
 ていうか、前巻『掲げよ、命懸ける銀の剣』を読んだ限りだと、ライルの相手はシェリカだよね(^~^;)
 アリアがライルの方を向いていれば分からないけど、今回のヒルディアとの会談でアリアはライルをスッキリサッパリ恋の対象外に外してたし……。そうなっちゃったらいくらライルが頑張っても……ねぇ。シェリカは幼いながらもしっかり『女』だし、女が本気でオトそうと思って逃げられる男はそうはいないって言うしねぇ……。
 ま、頑張れライル。

 ディクスが心配なのよ~。
『光と影の輪舞曲』の素敵眼鏡の辺りからどんどん道を過ってきてるけど、もうここまで行っちゃうとどうにも修正がきかない気がする。
 別にアリアに失恋するのはいいのよ(……秋津はディクスをこよなく可愛がっているディクスファンです)
 失恋するのは想定内だし。むしろ失恋しなきゃ面白くないし(秋津はディクスを愛しんでます)
 ただ死なれるのはイヤなのよ~~~。だって秋津はディクスを愛してるから!!
 愛ある人間の発言とは思えないかもしれないけど、愛してるのよ!(キッパリ)
 せめてアリアに張り手をかまされて目を覚ます感じで、どん底自己嫌悪的な失恋でもいいから、死なないで欲しい。
 いや、どん底自己嫌悪でも多少の救いは欲しいと思うけど、このままだとどうもパジャンの黒さに巻き込まれて沈んでしまいそうな気がしてならない。
 あんな捻くれた卑屈な物言いをする子じゃなかったんだけどねぇ……。

 しかしストーリーは超佳境です。
 果たしてシェナンはリスタル王国の王様に担ぎ上げられてしまうのか!?
 それ以前に戦から無事に戻ってこれるのか?
 またしてもどっかに飛ばされてしまったアリアは!? ……でも光焔がいるから大丈夫だよね。光焔ホントカッコいいわ~。やっぱアリアの守護聖獣だよね。アリアの傍には光焔がいるのが一番しっくりくるもの。もう自分の事だけで手一杯な男共なんてみんな振っちゃえば?って感じよ。

 最後に一言。
 そうじゃないかと思ってたけど、ユリストルはやっぱりウジ夫(うじお)だ!!(※ウジウジした男の意)

 『聖鐘の乙女』の感想も書いてるんだけど、また今度!
 次巻もハラハラドキドキ待ってます!

感想・白夜行

2009年01月24日 21時23分48秒 | 読書感想
 超アガペー!!
 読了後、布団の上をゴロンゴロンとしながら、胸に渦巻くモヤモヤを表すにはどうしたらいいかと考えた結果、口から飛び出した言葉です……。

 因みにアガペーとは『1 真の愛。神的愛。2 神の、人間に対する自発的、無条件的絶対愛。新約聖書の中でのイエス=キリストの受難と復活に象徴的に示される愛。エロスと区別される』(ヤフー辞書検索・大辞泉より)で、それに『超』という枕詞をつけた単語を、白河がとあるサイトさんで見つけ、「超とアガペーとくっつけるなんて天才なんじゃなかろうか!?」と引っくり返りそうになったらしいのです。
 当時その行が書かれた日記を読んだ秋津は爆笑したものですが、本作を読んでの秋津の感想は、超アガペー。
 だってそうとしか表現できない。
 ドラマ化もされたし著者も人気のある方なので今更かもしれませんが、以下、文庫版よりあらすじの引用です。

『1973年、大阪の廃墟ビルで一人の質屋が殺された。容疑者は次々と浮かぶが、結局、事件は迷宮入りする。被害者の息子・桐原亮司と、「容疑者」の娘・西本雪穂―暗い眼をした少年と、並外れて美しい少女は、その後まったく別々の道を歩んで行く。二人の周囲に見え隠れする、幾つもの恐るべき犯罪。だが、証拠は何も無い。そして十九年……(後略。集英社文庫・あらすじより引用)』

 告白しますと秋津、著者の作品は何作か読んだ事はありますが、実はあまり得意な作家さんではありません(;;=_=)
 嫌いではないんです。
 他に読みたい本がなくて、目の前に著者の本があれば「これを読もう」と思うような、そんな付かず離れずの関係っていうの?
 だって後味悪いんですものー、秋津にはね。
 面白いんですよ。
 一度読み始めたら一気に読まされる。
 でもね、何度も繰り返し読もうとは思わないの。
 だってもやもやして気持ちが悪いから。
 秋津はスカッと読後感のいい話が好きなのです。
 『秘密』とか何度も泣いたけど、いまだにラストに悶々としたものがあって思い出すたびに釈然としなくなる(-¨¨-;)

 そして今回の『白夜行』ですが、やっぱり悶々とさせられました。
 職場の友達が「秋津ちゃん、読んだ事ある?」って貸してくれたんですが……。
 面白かったんだけどね、主人公であるところの亮司と雪穂の関係がどういったものだったかが言葉にならない!

 全十三章からなる作品で、亮司サイド・雪穂サイドに分かれて交互に話が進んでいくのですが、全編に渡って主人公からの視点の描写は無く、全て主人公の身近にいる第三者からの視点で話が進行していくのです。
 美貌を才知と時の運(すごく作為的な運だけど)を利用して、華々しい人生の階段を昇っていく(ように見える)雪穂と、彼女に光の道を歩ませる為に数多の犯罪に手を染め(あくまで推定。でも多分事実)闇の階段を降りていく亮司。
 主人公たちが自身の心境を吐露した台詞なんて、個々に1つ2つしかなくて、全てが事件に巻き込まれた第三者からの実況中継(語弊あり)もしくは「こうなのではないか」という推測なので、二人の実像がいまいち見えない。
 『容疑者の娘』であるところの雪穂が、『被害者』に何をされていたのかは、作中で明かされるより前に予想できたので、最初は雪穂が亮司に贖罪を求めている(or復讐している?)のかとも思ったんですが、それも何かしっくりこない。

 実は驚く事にこの話、主人公二人が同じ場所に登場するシーンがラストシーンだけなんですが、作中での接触はまるで無いにも関わらず、対等なのは分かるんです。
 読んでいると亮司が才知や時の運や人のつて……と、ありとあらゆるものを利用して雪穂の為に法を犯しているけど、雪穂も亮司が必要としたときは駆けつけた(ッぽい)描写があるし。
 真相らしきものは語られますが、あくまでもそれは第三者視点からの推測でしかなく、謎は謎のまま。しかも推測上に上らない読者の謎は更に中に浮いたままという(爆)

 ……分からない。

 いったいどんな感情ならば、あそこまで自分を捨てて一人に尽くせるんだろう?

 二人の間にあるのは『恋愛』である……という考えは、早々に捨てました。
 だって亮司はまったく見返りを求めていないから。
 ある感想サイトでは『共依存』という言葉も見て、それもなるほどとは思うけど、秋津的には微妙に違う感じ。
 白河にも色々話して、白河もアレコレと言ってくれたけど、読んでいない白河の推測では響かないし……。
 やっぱり秋津にはこの二人……というか、亮司→雪穂の関係は超アガペー無償の愛なのです。
 だってあんなに何も求めてないなんて……。

 でも『超アガペー』の感想は変わらないけれど、二人が傍目にはまったく接点を持たずに別々の人生を歩んだのは、その誇り高さゆえかもしてない。
 加害者であると同時に被害者でもある二人。
 お互いが加害者と被害者になる前から、大人たちの知らないうちに交流があって、そうなってからは相手こそが自分の真の理解者で、同じ痛みを分かち合う同士であるというのがあったと思うんだけど、だからこそ二人が一緒にいることは傷の舐めあいにしかならないと解っていて、その事を良しとしない二人の誇り高さが、敢えて別々の人生を歩ませたのではなか……なんて事を、今日トイレで考えたので、書いて見ました。
 実際に読んだのは昨年末なんですよね(^-^;;)
 2月になった続編にあたると言われている『幻夜』を貸してもらう予定。


 とりあえず『白夜行』を読んだ方、貴方なりの感想を聞かせて欲しいです~!


感想・光の王子(プリンス)と炎の騎士(ナイト)

2008年08月22日 06時43分40秒 | 読書感想
 ツンデレ最高!
 ブラボー、ツンデレ!
 ビバ、ツンデレ!
 もうもうもう、さっすが本宮さん!! 分かってるよね!!
 くっはーーーーー(≧∀≦)

 もう、頭っから爪先まで乙女の萌え要素をムギュッと詰め込んだような一冊でした。
 いったい何度心の喀血と鼻血を噴き出したことか……(注・清らかな人には見えない血)。冒頭のツンデレ三唱(もしくは賛称)は、読了後に実際秋津が叫んだ言葉だったりする……。

 王都にある名立たる全寮制男子校(宗教的な音楽学校)に覚悟を決めて乗り込むたった一人の子羊ちゃんこと、男装の少女な主人公!(因みに乗り込んだ理由は、その学校の卒業生であった父が若かりし頃に学園に残してきた形見を、父の記憶の乏しい弟の為に探し出す為です) それだけでも腐女子の萌え心を掴むのに、更に主人公のアティ(アティーシャ)は天然気質のドジッ子……ドジッ子というか、迂闊ッ子?だったりしたら、そりゃあ脳みそもアドレナリン大放出の出血大サービスってなもんでしょ!

 二歳歳下の弟君の名を騙って入学したアティですが、弟君としたらそんな姉が心配で仕方ないらしい(当然だ)。弟君は物語の冒頭にチラッとしか出てこないんですが、おそらく郷里では『おっちょこちょいの姉としっかり者の弟』とう評判だったのではと思います。
 なんたって狼の群れに自分から飛び込んだ姉を心配して送った手紙を落とした(正確には風に飛ばされたのを集め損ねた)姉だからねぇ……(溜息)
初っ端から手紙を拾った謎の人に女の子ってバレちゃってるし(=ΦωΦ=)
 でも、男子校にいる姉に送る手紙に『女の子なんだから……』と直球で書いてしまう弟君も、迂闊と言えば迂闊。でも弟君はまだ13歳だしね。そこら辺は年齢に見合った迂闊さでしょう。
 それにど~~~見ても、より迂闊なのはアティだしねぇ。

 学院の卒業生である亡父の手ほどきを受けたアティは、今年度の声楽科の新入生の中では「百年に一人」と言われる期待の星。
 そりゃそうだ。ボーイソプラノはそれは美しいと思うけど、少女の純粋なソプラノとはやっぱり違う(どちらが美しいかではなく、質としてね)。何より学院の入学資格である13歳という年齢は、成長の度合いに差はあってもそろそろ骨格で男女の性差が出る頃合だし、弟君の名を騙ると同時に年齢にサバを読んでいるアティだけど実年齢は15歳。例えサラシなしでも気付かれないような断崖絶壁(作中内の表現)の身体つきでも、そもそもの身にまとう雰囲気からして違う。大体アティは学院に入ろうと決意するまでは普通の少女として生活していたんだし、15年で身に付いた少女としての立ち居振る舞いは一朝一夕では少年にならないよね。それにアティは可愛いしねーーwww 例え作中では「少女としては十人並み」と表現されていても、設定的に読者の妄想内では可愛い美少女になるのは当然よね。イラストで見ても充分可愛いけど。
 まぁ、アレだ。
 学院の『契約兄弟制度』もアティには不運だったかな。
 『契約兄弟制度』というのは、【上級生は下級生から見所のある者を一人選び、学校のことを教えたり世話をする。弟となった下級生は、兄を尊敬してその感化をうけて立派な学院生になろうと努める(作中より引用です)】制度なんですが、これだけ読んでると某文庫の薔薇様シリーズにある姉妹制度に似てますが、こちらの兄弟制度はあちらの姉妹制度のようにキラキラしいだけのものではありません。
 ぶっちゃけ読んでて感じたのが、念兄と念弟の関係というかぁ……学校の世話だけじゃなくて身体の世話もしてくれよ・してやるよ的な生々しーい、ある意味その年代(13~卒業は20前後くらい?)の少年の思春期特有の生理現象の解決も手伝うし手伝ってねw的な契約なようです。や、これ、秋津の妄想じゃなくて、しっかり作中に書いてあるのよ。中には純粋に制度としての契約を結ぶパターンもあるんだろうけど、どうもアティに迫った面々の様子を見る限り、純粋契約者は稀と思われます。つまりは契約の契りを交わした兄弟は公認カップルみたいなもんなんだろうな。
 そーんな制度のある場所に、「百年に一人」の呼び名だけでも注目度抜群なのに、そう呼ばれる新入生が少女と見紛うような自称・少年(文法に誤りがあります)じゃあ、注目されない訳がない!ってのに、どうもアティにはその自覚がないんだな。
 狼の中に紛れ込んだ子羊ちゃんなら、極力人目を避けた方がいいのに、本人はそこまで考えが至らなくってガンガン目立ってる(;;=_=) オマケに性質が悪いのはアティ本人は目立ってるつもりも目立とう精神もなくて、直情怪行というか猪突猛進というか、本人その気ないのに気が付いたら台風発生地点になってるこの現実。ああ、天然って性質が悪ーい!
 おかげで入学初日から、性質の悪いお兄さん達に囲まれて危うく貞操の危機! オマケにここでは書けない単語を使用したくなるような弟持ち回り制にまでなりかけて、どうなるんだとハラハラしたところに、美貌の王子サリアン登場です。

 このサリアン、比喩表現でなく実際に王国の第13王子だったりします。
 助けてもらう成り行きでサリアンと契約兄弟になりかけたところで、そうはさせませんと小姑登場。サリアン付きの家令(執事)ネイトです。
 第13王子のサリアンは王位継承には関係ないと将来的に臣下に下る事が決まっているそうで、ネイトはその際サリアンが構える館を管理するお付の人なのです。
 ま、色々あってネイトはアティの手紙を拾った人に続いて、アティが女の子であることを知る二人目の人物になるんですが……彼がいいんでよ! これが!!
 もうすっごい! 絵に描いたようなツンデレって言うの!?
 基本、サリアン第一でサリアンがアティを気に入ったから、アティが性別を偽っていたと露見してサリアンに迷惑がかからないようにと、アティの秘密を守ってフォローもしてくれてるんですが、それが尽くアティにはフォローとして通じてない! 陰険虫とか言われてるし(ぷぷー)。
 王国随一の騎士の家系の出身で、しかも一族で最強と言われるのにその血筋を嫌って執事を目指した彼。
 まぁ執事なんて『主第一!』が基本だけど、周囲に目配り気配りができないとやれない職種だと思うので、本人認めないだろうけどもともとが多分世話焼きなんだと思います。
 主であるサリアンは生まれながらの王子様で、容姿端麗・頭脳明晰・文武両道・公明正大と光り輝くような人で学院の憧れの的。もともとが人を遣う階級の人だし、そういう本当の意味で育ちのいい人っていうのは、逆に我が侭とかで使用人の手を煩わせる事はないらしいので、アティの迂闊ッ子ぶりに絆されちゃったんだろうねぇ。アティはどうも子羊ちゃんの自覚が皆無とまでは言わないけど薄いから。
 もうツンデレっぷりが素晴らしいのです!
 狼さんたちからアティを庇う為に、アティの背後にはサリアンがいますよ~という示威行為としてネイトとアティは同室なんですけどね。
 多分彼、アティと同室になってから相当数の乱闘を繰り返してますよ、アティの知らない所で!
 本作ラストの乱闘シーンで、アティが「心配だったから」って言うのにつんとそっぽを向くのなんて、あからさまに照れ隠しだし!!
 くっはーーーーー、堪らーーーーーーん!!!
 乱闘シーンの前にアティがネイトと喧嘩して部屋を出て行く場面があるんですけどね、ネイトとの同室を解消して、もともと新入生として入る予定だった6人部屋にアティが行っちゃったら、同じ部屋でアティと仲の良い生徒にアティの様子を聞いて、一人だと危ないからそうなった時は知らせてくれとか根回ししてたりするんですよ!(その根回しが効いて、ラストの乱闘でアティの危機を救えた)
 しかも口下手だから「帰って来て下さい」の一言が言えなくて、乱闘現場からの撤収のドサクサで、一緒に連れて帰るという不器用ぶり!! お前はどこの不器用亭主かっつーの! ……ダメ、もう鼻血出そう。
 いいよ~、ネイト。
 今のトコ秋津の一押しです。

 サリアン、ネイトの他にジェッツという先輩が居て、アティが形見を探すのとは別にジェッツも何かを探しているというか探っているようで、それを通じて関係が深まっていくようなんですが、多分彼が最初にアティの落とした手紙を拾った人なのではないかな~と思うのです。
 でも今書いてて、アティの手紙を拾ったのはサリアンかも……と思ってきた。
 ネイトは事故でアティの(サラシ無し)胸を触ってしまったから彼女が女性だと気がついたけど、サリアンは知らない筈なのに「この人、実はアティの性別知ってるんじゃないのーーー!?」という思わせぶりな言動がチラホラ。でも飴の手がかり(アティが落とした手紙の上に飴が乗っていた)があって、まんまサリアンってのも直球すぎるしー。どうだろう?

 ま、ともあれ。
 今後のアティの恋のお相手は、サリアン・ネイト・ジェッツの三人の内の一人に絞られると思います。
 本宮さんが出版してるオリジナルは全部読んでる(……ハズ。幻獣と魍魎とオリジナルじゃないけど小林少女もね)けど、脇役としての重要なキャラは2巻以降にも出てくるけど、話の根幹に関わるような重要キャラって最初の方から登場するのが本宮さんの作品の特徴でもあると思うので。
 幻獣と違って恋の当て馬が必要そうな感じではないしねー。
 それよりも秋津はアティのドキドキ男子寮ライフが気になります。
 だってアティって中身は普通の女の子だし、切羽詰ると女の子口調に戻るから、多分本人が意識していないところで女の子仕草も出てると思う。実際仲良し同級生のメルエルは気付いてなくても限りなく黒に近い疑いを持ってると思うのよ~。
 んで、腐女子的下世話な欲求だけど、15歳の普通の感覚の少女ということで、月の障りのゴタゴタなんかも短編でもいいから読んでみたいなぁ~(//^∀^//) サリアンやジェッツはさり気なく気遣えても、(建前上?)アティが女の子であることを知る(正体が判明している)唯一人間であるネイトは、一番直裁的な心配と気遣いで、アティが沸騰しそうな気がするの~。読んでみたいわ~。

 ぐわ~~~~~、続きが気になる!
 幻獣の続きも気になるけど、コレの続きも気になるよ!
 もう明日出して~~って感じですよ!!
 ツンデレいいよね、ツンデレ!
 ネイトばっかり言ってますが、自分で自分を「狼である」と言ったサリアン王子もお気に入りですww ジェッツもカッコイイけど、今回はちょっと活躍が足りなかったかな。次回以降に期待。

 あ~、面白かった!



感想・花に嵐の喩えもあれど

2008年06月01日 13時21分19秒 | 読書感想
 よ~う~や~く! ようやく読み終わりました!!
 購入してから丸一ヶ月! まさか一冊の文庫本を読み終えるのに一ヶ月かかる日がこようとは……。まぁ職場での昼休みに五分・十分でちまちま読み進めてたので、それも当然かな(汚すとイヤなので食事時は読まない&食後は昼寝が習慣です)。でもこれが幻獣だったら、他の何を犠牲にしてもの勢いで購入後一時間で読破したわよねぇ。購入後一ヶ月なんていったら、五回は読み返して尚且つシリーズ一巻から読み返してるかも……。やっぱり「コレだぁ!」というくらいの萌え所がないと、スタートダッシュはいまひとつって事かしら。

 さてさて今回の『花に嵐の喩えもあれど』ですが、『魍魎の都』シリーズの番外編第二弾となります。
 この『魍魎の都』シリーズがまぁ大人の事情で色々と変則的な発行のされ方をしていまして、本編が発行される前に番外編第一弾『されど月には手が届かず』が発行されて、その後に本編である『姫様、出番ですよ』が発行となり、その次に出たのがこちら『花に嵐の喩えもあれど』なのです。
最初の『されど~』がドタバタ事情で発行が決まったからなのかは分かりませんが、このシリーズ、実は本編と番外編でイラストレーターさんが違うという結構イレギュラーなシリーズ。
 それこそ星の数ほどある出版物で他を探せばあるかもしれないけれど、秋津の読書人生の中で『シリーズ途中からイラストレーターさんが変更になる』事はあっても、『最初から二枚看板で二人』というのは初めてのパターンです。
 全然絵柄が違う(番外編はシャープでストイックなお色気系、本編はパステルカラーのおきゃんな可愛い系。因みに秋津は番外編のイラストの方が好み)ので、『されど~』のイラストを想定して『姫様』を購入したらイラストがあまりにも変わっていて大ショックだった……というのはまぁ蛇足と言うかどうでもいい話なんですが(本編を読んだらおきゃんな可愛い系もいいじゃんと思いました)。
本編と番外編ではイラストレーターが違うを憶えていても、読了後には違和感もなくなってしまったので意識しなくなったせいか、『本宮さんの新刊が発行するよ~ん』の情報だけで書店で購入したので、帰宅して袋から出した時には「イラストが違う!? なんで、また?? どうしたの、いきなり!」とビックリしました(^-^;;)
 よくよくチェックしたら番外編のイラストレーターさんで、「あ、今回は番外編なんだ……」と納得した訳ですが……。著者の公式サイトでも『番外編ですor本編です』の記載がなかった(……と、思う)ので、出版情報の日記を更新する時にそれも書いてくれたら嬉しかったなぁ~なんて思ったりしたり(笑)

 この『魍魎の都』シリーズ。時は平安、頃合は天下の安倍清明が五十九歳と当時にしてはご長寿街道驀進中だった頃のお話。
 本編の主人公は違うのですが、物語を彩る脇役……と表現するのはもの凄く抵抗があるのですが(なんといってもキャラが立ってるしな)脇役には大江山の酒天童子退治で有名な源頼光が率いる頼光四天王が登場します。
 余談だけど頼光様を脇役と呼ぶのに抵抗がないのは、やっぱり登場シーンが少ないからだろうな。
 頼光さんや頼光四天王といえば、陰陽師=安倍清明と同じくらい『鬼』をモチーフにした作品では名前はチラチラ見る存在。秋津などは酒天童子や土蜘蛛退治の逸話より、四天王の一人である渡辺綱の『鬼女の腕』の話の方が馴染みがあるんですが、それも頼光と酒天童子をモチーフにした漫画(悲しい思い出付き。好きな作家さんで、すごく気になるストーリー展開で、ドキドキしながら続きを追いかけていたのに、最終的にどうしても生理的に受け付けないカップリングのハッピーエンド?で完結した(T_T))も読んだからで、とりあえず名前は知ってる、という程度でした。
 『花に嵐~』も含めて二冊発行されている番外編では、その頼光四天王が主役なのです。
 一冊目の『されど~』では四天王筆頭である渡辺綱。
 二冊目『花に嵐~』では碓井貞通(うすいさだみち)、本名?平忠道が主人公です。本編から数年遡った時のお話。

 正直言いまして秋津さん、前述の漫画も頼光様と綱さんがメインだったので、頼光四天王で名前を知っているのは綱さんと坂田金時だけでした。金時君は『金太郎のモデル』というので知ってただけだし(^-^;;) 『魍魎の都』で初めて?四天王全員の名前を知ったような感じです。
 で、驚きました。
 貞通さんてば彼の平将門の遺児だそうで!
 平氏の若者が源氏に仕えてたんだぁ~と感嘆することしきりです。あと四天王のもう一人で平季武(たいらのすえたけ)って人がいるけど、この人も平氏なのかなぁ?
 まぁそれは横に置いておくとして、この貞通さん、すんげく漢前!でありました。

 帝に背く逆賊の一族ということから幼い頃に殺されそうになり、母に庇われて生きながらえて紆余曲折の末?頼光様に仕えるようになった(らしい。紆余曲折は秋津の妄想)のですが、身を挺して貞通さんを庇ったお母様の最期の言葉に忠実に従っているんです。
 そのお母様の最期の言葉というのが、「生きる為に誰よりも強くなりなさい。けれどその強さを人に見せてはいけません。強さは恐れを呼び、その恐れはやがて貴方(貞通)を滅ぼすから。莫迦にされるくらいがちょうどいい。強さを隠す為に、奇矯な振る舞いを身につけなさい」というものでした。
 そうしてお母様の遺言を果たし生きるべく彼が身につけた奇矯な振る舞いが、『女装!』だったのです。
 いや……まぁ、うん。
 黙っていれば誰もが美貌の女性と疑わない容姿(でも身長は男)ですが、女言葉を紡ぐゾクリとした美声はやっぱり低い男声……なのです。
 …………。
 男装の麗人て言葉はあるけど、女装の麗人なんて言葉あったけー?と思わず遠い目になる秋津でした。
 因みに貞通さんの口調なんですが、読んでいて脳内変換しているとどうもノリのいい飲み屋のねーちゃん(ミスターレディ)になってしまう。
 おそらく最初は身を守るための女装だったと思うんですが、己の美貌を磨いて徹底する姿に漢(と書いてオトコと読む)を感じました。
 当時十九歳の若き季武君は、「相手が貞通でなければ男でもとっくに押し倒してたのに!」と神様に嘆きかけるほどの美貌の貞通さん。
 なんだか「相手が貞通さんでよかったんだよ、季武君」と肩を叩きたくなるのは秋津だけなんだろうか?
 それだけの美貌なので、奇矯な振る舞いを身につける過程で瓢箪からコマが出たのか男も女もいける口の貞通さん。でも自分から口説くのが信条で、好みでない男は返り討ちする貞通さん(四天王の一角だけあって強さは折り紙付き)。
 ごめん。
 も~~、腐女子全開の感想で申し訳ないが、そんな貞通さんが受けになるとはとても思えない! というか、貞通さん絶対攻めだし。総攻め!
 よしんば押し倒せたとしても、別の意味で返り討ちに合うのは季武君だと思う。そうして平凡な普通の人生とさようならしてたと思うの。
 本編年齢二十六歳の貞通さんの秘かな野望は、月の精に例えられる超絶美形の綱様を落とすことだそうです……(;;=_=)

 生きる為に奇矯な振る舞いを身に付け、それ故に本心を悟らせずに観察眼を磨かれた貞通が殉じてもいいとしたのが、幼い頃の憧れの女性・滝夜叉姫との恋でした。
 系図で見れば、貞通は将門の孫(父親が将門の養子)で滝夜叉姫は将門の実娘。その年齢差十五歳の叔母と甥の恋です。
 貞通が母を失った折に離れ離れになり、やがて成長して四天王の一角をなすまでの間に、滝夜叉姫は父・将門の無念を晴らす為に祈願して妖力を身につけます。
 追う者と追われる者。敵対する関係での再会で、貞通は人であった頃の虫も殺せず花を摘むのもためらうような優しい心を取り戻して欲しいと呼びかけるけれど、滝夜叉姫は受け入れない。ならば他の誰でもない自らの手で……と相対し、貞通の剣は姫の胸を、滝夜叉姫の剣は貞通の肩を貫きます。
 人の心は捨てたと言っても、結局は捨てきれずに人を傷つけることをためらっていた(恐れていた? 推測)彼女に、貞通を殺すことはできなかった。
 殺されてもいいと思っていた。けれど同時に彼女には自分を殺せないと分かっていた。だからこその貞通の行動であり、滝夜叉姫の行動だったと思うのです。
 幼い頃に彼女と交わした『ずっと一緒にいる』という約束を果たす為、諸共に逝こうと言う貞通の言葉に微笑んで、貞通を残して谷に身を投げる滝夜叉姫が泣けるのですよ!
 男も女もいける口なのは節操無しではなくて男女平等なのだと言い切ってしまえる貞通さんが、ただ一人真実の想いを捧げた相手に誠意を尽くして殉じようとするのがもう、ね~~~。
 カッコイイ! 漢前だよ、貞通!!

 滝夜叉姫は誰かに止めて欲しかったんだろうな。
 だからきっと貞通が自分の前に現れた時、ある種ホッとしたんじゃなかろうか。胸を晴らすとしながらも人を傷つけるのを恐れていたからこそ、京を荒らしていた時も直接人に危害を加えるようなことはせず、最初に貞通に傷を負わせた時も表情を変えたんだと思う。

 うん!
 面白かった!
 滝夜叉姫は本当に守ってあげたくなるような可憐なお姫様でしたよ~。
 貞通さんのオトコッぷりも良かった!
 綱様の天然アイドル属性も素敵ww
 頼光様と綱様って義理の叔父と甥の関係以外にも何かあったと思うけど(『されど~』では。うろ覚えです)、頼光様って綱様が好きだと思うのですよ。
四天王もいいけど、頼光様と綱様の阿吽の呼吸の仲良しッぷりも見たいと思う腐女子心です(≧ω≦)

 余談ですが今回本宮さんにしては?本が薄くって(厚みね)、読み終わったときに「あれ? もう終わり?」と思ってしまいました(笑)
 次は6月5日発売の幻獣シリーズね!
 公式サイトで6月発売の記事を読んだ時は、勝手に7月の間違いと思ってました(苦笑)
 だって5月に『花に嵐~』が出たばかりなのに、翌月に幻獣シリーズなんて思わなかったんだもん。通りで公式の日記で修羅場ってるというか、瀕死の雰囲気が出ていたはず(笑)
 ご苦労様でした。



感想・小説『小林少女』

2008年04月17日 15時41分06秒 | 読書感想
 4月26日ロードショー映画『小林少女』の小説版の感想です。
 小夜ちゃんや風樹ちゃんと違って、秋津はあまり映画鑑賞とはしません。レンタルビデオ屋でバイトしてた頃は店員割引もあってよく見てたけど、それも十年前の事。興味のある作品でもTVまで放送されるまで見ないし、放送されても見忘れる事も度々。
 そんな秋津が何故にこの『小林少女』の小説版を購入したかというと、偏にノベライズした作家が本宮さんだから……。
 本宮さんというのは、現在秋津が続きの発行を何よりも楽しみに待っている作品『幻獣降臨譚シリーズ』の作者様でございます。
 本宮さんの公式HPで2月頃だったかな?
 急ぎの仕事でしばらく潜ります云々……という事があったのですが、その急ぎのお仕事がコレです。
 この作品に限らず、秋津は映画の小説化作品というものに興味はないです。正直コレの購入も迷いました。
 だって小説を書いたのは本宮さんでも、ストーリーは本宮さんじゃないんでしょ? だったらハズレもある訳じゃん。ストーリーも本宮さんのオリジナルっていうんならハズレはないけど、CMとかを見る限り、映画はど~~~にも秋津の趣味ではない様子。
 が、買いました。
 だってこの一冊の売り上げの積み重ねが、本宮さんの次回作に繋がるんだもん。 もはやまだ見ぬ次回作の為と言い切ってもいいかもしれない。そんな気持ちで購入。しかも手元に着くまでに色んな手間がかかってマス。
 まず地元の書店でなくて、K駅の書店ならあると思ったけどそこまでかける情熱はなかったんで密林で注文するかと思ったら、風樹ちゃんと映画を見るのでK駅に行く小夜ちゃんと偶然会い、「有ったら買ってくるよ」と言ってくれたのでお願いして、そしたらやっぱりK駅の書店には有って(流石、私の心の本屋!)、何故だか小夜ちゃんには「流石、絵夢ちゃん!」と絶賛され(K駅の書店ならあるという絶対の確信が賞賛のポイントだったらしい。何故?)、映画帰りに届けてくれるというお話だったんだけれども、時間を読みそこなった秋津の都合でゴメンナサイしたら、病院の待ち時間に読もうと思って……という秋津の言葉を憶えていた小夜ちゃんは朝になって家まで届けてくれたのです!(長いよ、話が)
 それが昨日の夕方から今朝にかけての出来事。
 そして病院の待ち時間に読んだんですけどね。

 う~~~ん、微妙?

 まず開いて最初にある登場人物の紹介でつまずきました。

 以下、『小林少女』より引用。
『すさまじい気の力を内に秘めた少女。中国・小林拳術武術学校で三千日修行を終えて帰国。後略』

 どうよ、それ?
 この時点で「む~~ん(==)」と眉間にシワが寄りました。
 「ああ、そう」としか言いようのないこの脱力感。
 が、まだ本文は始まってないと気を取り直して本文へ。

 ストーリーとしては、まぁ成長物語です。
 祖父が少林拳の道場を営んでいたという環境で育ち、自らも少林拳を学び中国留学までした主人公が、修行を終え帰国。日本に少林拳を広めようと奮闘し、その過程でラクロスをする事になります。
 けれどもどれだけ体術に優れてもラクロスには素人。力加減が上手くいかず、それでもラクロスの練習に中国で習った心構えや対裁きを導入するも、如何に強くなりそして少林拳を普及するかだけを考えていた主人公は周囲と馴染めず不協和音を起こしてしまう。
 ラクロスと距離を置き、幼い子供達との出会いで自分に足りなかった『少林拳の心』に気付き、仲間やチームワークの大切さを知った主人公だけれども、『強さ』にだけ固執した輩から狙われて……。

 結論から言って、つまらないとは、申しません。
 面白かったですよ、ラクロスに関する部分だけなら。

 なんだかなー。
 映画の小説化作品て『L』しか読んだ事がないし、『L』も映画と小説の見比べをしてないのでよく分からないんですけど、小説化ってどこからどこまでが映画に忠実なんだろう?
 多分。
 多分だけど。
 情景描写以外の台詞に関するところは、多少語尾や言い回しは弄ってあってもある程度は映画に忠実なんだろうなとは思うんですよね。
 情景描写とかの部分の表現は読んでいて「ああ、本宮さんだ」的本宮さんカラーを感じたけど、やっぱりそれ以外の部分がねー。
 ストーリーもご都合主義というか、文章で読むには陳腐な展開で、ぶっちゃけて言ってこの作品では本宮さんには役不足と感じました。

 因みに誤解のないように言っておきますけど、役不足なのは作品であって決して本宮さんではないですよ!
 OK?
 『役不足』の意味が分からない人は辞書を引くか、検索してみましょうね。

 なんで小説化したのかなー?
 小説化しない方がよかったと思うのに。
 これは映像だからこそ生きる作品だと思います。
 小説として読み手が自分の想像力だけで読むには、突拍子もないというか無理がありすぎる。
 多分、映像だったら音や俳優さんの持つ勢いとかパワーで見せるor魅せるというか、多少の無理もねじ伏せられるだろうけど、文章ではそれはあり得ないからね。どれだけ作家に力量のある人を持ってきても、作品その物が向いてなければ無理が出るっていうもの。
 仕事の依頼から〆切までの期間とか、予算の関係も絡んでるとは思うけど、小説ではキャラクターの背景があまりに浅くて感情移入には程遠い。これが映像だったら台詞の言い回しや演出で無理矢理引っ張るところもあるんだろうけどさ。

 本宮さんだけど、本宮さんじゃない。
 この痒いところに手が届かないようなジレンマをなんと表現したものか。

 ページ数が足りないよねぇ。
 キャラが浅いというか薄いもん。
 なんで凛(主人公)がそれほどまでに少林拳に固執するのかとかが、祖父との思い出以外に殆ど語られていない。それほど主人公に影響を与えた祖父が、想い出話程度しかなく具体的なエピソードとして出てこないから、どんな人物なのかさっぱり見えない。主人公や主人公が師匠と慕う岩井の崇敬を集めるからにはそれなりに偉大というか懐の大きいところがあったはずなのに、それが語られてないから、小林拳と道場再興に情熱を燃やす主人公と、主人公を小林拳から距離を置かそうとする岩井の関係が妙に浮いてるのよ。
 強さに固執して主人公を狙う敵の、強さに固執する理由とかもさ。
 ただ勢いだけで突っ走ってて深く掘り下げられていないから、映像なら勢いで引っ張れたんだろうけど、じっくりと読める小説だとその浅さが浮き彫りになって上っ面だけの浅いストーリーに感じられる。

 あと、製作者サイドとしてはそこで「クスッ」という小さな笑いを取りたいんだろうけど、他作品からのパロ(……正直パクリにしか思えない)が多すぎる。
『理力(フォース)が彼女と共に』とか、『赤い彗星』とか『人の3倍早く動ける』とか……。
 鼻に付くや癇に障るというよりも、脱力して溜息しか出てこない。
 もしかしてその溜息を狙ってるのか?
 俳優さんが演じている姿を見ればまた違うのかもしれないけれど、文章で読んだだけでは他人のふんどしで相撲を取ってるようにしか見えない。アレ? まわしだっけ?

 面白くないとは言わないけれど、「だから何?」という作品でした。
 正直、小説化したのが本宮さんでなければ買ってないね。



感想・この手の中の儚きもの

2008年03月10日 23時44分56秒 | 読書感想
 幻獣降臨譚シリーズ短編集です!
 いつもならここで恒例の前巻読了後の白河との会話を入れる所ですが、今回は短編集で前巻の続きではないので割愛します。

 こちらの短編集、本宮さんがファンレターのお返事で差し上げていた小話や、リンクフリーに甘えて秋津のブログでもリンクさせてもらっている公式サイトで発表された小説を集めたものです。
 ファンレターのお返事はともかく、サイトで発表された小説はサイトの拍手で感想をお送りしているので、こちらでは秋津が未読の小話&書き下ろし作品への感想など。

 まずは表紙のアリア!
 素晴らしい! そして懐かしい!!
 キリリッとしてて、なんだか光焔と初めてアランダム騎士団の島へ降り立った時を思い出しました。
 全てはここから始まった! という感じ。
 そうして今回初の試みというか特典のカラー口絵なんですが……あの、秋津さんもしかして記憶力が乏しくなったのか、可愛いディクスの後ろにいる黒髪の人が誰なのか分からないんですけど……。
 もしかしてクルサード? クルサードってこんなに見た目若かったっけ? 年齢が若かったのは憶えてるけど……えぇッ、クルサードォ!?
 しかし可愛いディクスより、本命と目するシェナンより、秋津はクルサード(かもしれない男性)の後ろでアンガと口を開けている光焔にときめいたのです。
 光焔、素敵
 実は秋津も白河も、このままアリアが誰ともくっつかずに光焔と一緒にいるのでも全然OK!と思ってたりします……(;;=_=)
 だって光焔が一番甲斐性あるしー。アリアを第一に考えてくれるしー。
 でも作者の本宮さんの中では光焔xアリアのカップリングは有り得ないらしく、公式サイトのバレンタイン特別小説では他の男性陣はチョコを貰ってたのに、光焔はチョコを貰ってなかったのです!
 『イヌ科の動物にチョコは厳禁だから』って……。
 そりゃ、光焔は普段はアリアのお願いで狼の姿を模してるけど、本当はドラゴンなのにーーーー(;;TДT⊆
 
 ここまで入力してふと気付いたんですが、ここまでで文字数1000文字越えてます。これで未読分の感想を全部入力したらどこまで長くなるか分かったもんじゃないので、秋津の趣味に走った偏り感想に路線変更します!
 それでも絶対長くなる!

『鏡の中の』
 ファンレターお返事作品です。
 もうもう、待ってましたーーーー!!!ってネタですよね!
 『響け、世界を統べる唄』のラスト舞踏会シーンの前に当たる、アリアの衣装合わせという名の着せ替え人形シーンですが、いや~~~イイネ(^ー^)b
 こうでなくっちゃ、と思いますよ。
 アリアへの想いはまだ自覚前のシェナンですが、『彼女が水着(ドレス)に着替えたら』的シチュエーションで、ドレスアップして美しくなった少女にドキマギする不器用な青年!!!
 もう美味しい! 美味しすぎる!! グッジョブ、本宮さん
 アリアも鈍くていい!
 褒めたくてもうまく言葉の紡げないシェナンを察するどころか、お約束の誤解をして拗ねてしまうのがもう可愛すぎる! 
 後述するアリアの両親の馴れ初め話を読んでも思ったけど、確かにアリアは二人の子供だ!って感じの鈍さがもう可愛い 素敵
 頑張ってね、シェナン!って感じッスよ。
 全部解ってるミロア姐さんもサイコーです!
 秋津的本命シェナンと結ばれる事が確定になったとしても、ミロア姐さん=春陽家の後ろ盾のあるアリアが王室へ嫁ぐのも全然OKね!
 でも、シェナンXアリアが現実化しても、シェナンが王様になることはないような気がしている秋津です。

『アリアのお料理教室』
 こちらもファンレターお返事小説。
 タイトルだけ見ると、「おお、良かったね、シェナン! なんの気紛れか偶然か分からないけど(……だって(;;-_-))アリアの手料理が食べられたんだ!」と思わせるんですが、世の中そうそう甘くない。
 オレリー師匠の退屈凌ぎ、アリア見事撃退す!
 一言で言えばそんな内容でした。
 アリアへの恋心自覚後のシェナンだから、一瞬でもアリアの手料理を食べれると期待したのに、それが叶わなかったのが涙を誘うお話です。
 しかし、獲ってきてと言われた材料ルーラが『野鼠』であると言われた直後のシェナンの反応が気になる。
 息を飲んで蒼くなったのか、それでも頑張ってアリアから北方ではご馳走という事情を聞いて理解しようと努力したのか……。
 努力を尽くしてなんとかルーラを見つけてくれば、また彼の恋も進展の兆しがあったかもしれないけど、所詮は王子様。多分、蒼ざめて顔を引き攣らせたんだろうなぁ。
 どうも王子様は不器用で、一歩進んでは半歩ヘタしたらそのまま一歩下がってる気がして、お姉さんは気が気じゃないですよ。

『この手の中の儚きもの』
 本の総タイトルにもなっている書下ろし作品。
 アリアの両親の馴れ初めで、アリアを実の子の様に可愛がってくれた聖女フィオラさんと、ミロア姐さんの旦那である未来の春陽家御当主ポル氏のご幼少の頃が出ております。
 いや~~、アリアのお母さんでこれまでとてもとても謎めいた存在だったイリアさんですが、すんごい意外でした。
 追われていた美女、幼い娘を残して儚くなってしまった女性という事で、繊細な……それこそシェナンが語るシエネスティータ姫のような印象だったんですが、実はこんなに気が強いというか我が強いというか、意思の強い女性だったんですね。
 でも確かにこれくらいしっかり者でないと、長い逃亡生活なんてできないか。
 いや、確かにアリアは彼女の娘だと感じさせるお話と、イリアさんの性格でした。アリアの性格は間違いなくお母さん譲りで、この性格なら一度歯車が合えばマルチェみたいな女の子と気が合うのも頷けるし、サフィアやもう一人……ああ名前が出てこない、カーバンクルの幻獣を持ってる子……ミルテとは気が合わないだろう。
 あとちょっとうろ覚えなんだけど、イリアさんが一番信頼しているって言ってた騎士団のセドウィック様って、ライルの剣のお師匠様じゃなかったっけ?
 もしかしてイリアがゲイド(アリアのお父さん)とゲイドの故郷であるエラン村に来た時に、一緒に村に来たの?
 イリアとセドウィック様ってどういう関係?
 あ、セドウィック様はアリアとイリアの一族・蒼の一族―ソリュート族に生まれた男性だったとか……かな?
 両親の馴れ初めは分かったけど、また謎が一つ増えてます、本宮さん。


感想・とある飛空士への追憶

2008年02月28日 20時23分19秒 | 読書感想
 秋津の大好き作家である本宮ことはさんが、公式HPにて「面白い」と仰ってたので、購入してみました。
 紹介文で、『カ/リ/オ/ス/ト/ロ/の/城』と『ラ/ピ/ュ/タ』と『紅/の/豚』を好きな人ならなおさら面白い!とあり、秋津は『紅/の/豚』は見てないけど他の2作は大好き! 特に『ラ/ピ/ュ/タ』は秋津的ジ/ブ/リ№1の為、これは読まずにいるものかってもんです。

 結論から言って、大っ変面白うございました!
 本宮さん、ありがとう!!

 いいッスねー。
 ストーリーとしては、西方を支配する神聖レヴァーム皇国と東方を支配する帝政天ツ上(あまつかみ)の二国間は戦争状態にあります。
 レヴァーム皇国は天ツ上領地内に所謂植民地的な自治区を持っているのですが、戦況はレヴァーム皇国に極めて不利な状況下にあります。
 その自治区を支配するのはル・モラル公爵。
 その公爵の娘で、皇太子の婚約者として次期皇妃となることが決まっているファナ・デル・モラルが物語のヒロイン。
 そして主人公は、そんな不利な戦況下の中、彼女を無事迎えの艦隊まで送り届ける任務を負わされたレヴァーム人と天ツ上人の混血というレヴァーム自治内では差別的に扱われる立場を負って生まれ、レヴァーム軍に所属しながら正規兵として扱われる事のない最下級の立場にありながら空軍のエースストライカーである狩乃シャルルという青年です。
 シャルルがファナを艦隊まで送り届ける五日間の空の旅の物語。

 もちろん、順調な航行であるはずはなく、馬鹿な皇太子(ファナの未来の夫だ! しかし馬鹿としか言いようがない、救いようのないおめでたい馬鹿なのだ)の安易というか愚鈍というか空っぽ頭というか、もうアホとも馬鹿とも表現するのも、言葉に対して申し訳ないと思うくらいに愚かしい行動のせいで、最重要機密作戦であるこの飛行は天ツ上にダダ漏れで、二人は幾多の危機に迫られるのですよ。
 この馬鹿皇太子、あろうことか軍の機密暗号回線を私用で使って日々ファナに熱~い恋心をつづったラブレターを送り、それだけでも「へっ」って感じなのに、機密作戦の内容を明記して『貴女が心配だ』と「本当に心配してるならそっとしといてくれ!」と言いたくなるような馬鹿なことをしでかして、わざわざ敵に作戦内容を教えてしまうのですよ!
 しかも自覚のない馬鹿だから始末に終えないったら……。

 あらやだ、どうでもいい皇太子に熱く語りすぎたわ。

 ストーリー的には、ファナが天ツ上の人々に対して他のレヴァーム人が抱くような偏見を持たなくなったきっかけに、シャルルの亡くなった天ツ上人であった母が絡んでいるというのは、すぐに分かる複線でしたが、まぁそれは小さな事です。

 この小説の何がイイって、決して叶わない恋という所なのですよ!!(力説)

 読んでいる間は、「もうそのまま二人で逃げちゃえよ」とか「ハッピーエンドになって」と思うんですが、そう思うのも読み手である秋津が『この恋は叶わないものである』という事を前提に考えて読んでいるからです。
 冷静に考えても、相手は次期皇妃が決まっている身分。
 小説内での世界観では大瀑布という大きな滝?のせいで世界の全貌を把握することが出来ず、世界にはレヴァーム皇国と帝政天ツ上の二国しかないといわれています。
 レヴァームに逃れる場所はなく、また天ツ上に逃げてもシャルルが天ツ上で一定以上の身分にあるのならともかく、一傭兵の立場では敵である天ツ上が次期皇妃の立場にあるファナをそっとしておいてくれるはずがない。

 想っても報われる事のない恋。
 二人もそれを自覚しているからこそ、僅かな時間や会話を宝物のように感じて、得られるはずのない未来像を描いてみたりする。
 それが切なさと、限られた時間にあるからこそのピュアさを誇張するんですね!
 また二人の別れのシーンがいいんだ、これが!
 生来持って生まれながら、周囲からの教育のせいで眠っていた為政者としての資質をシャルルとの出会いと何よりも別れによって目覚めさせたファナが、皇国から迎えに来た船の甲板に出た所で、飛行艇に乗ったシャルルがその上を旋回して口止め料兼報酬の砂金を撒き散らす……。
 それが二人の恋の終焉で、そうしてこれから未来を歩んでいくファナへのシャルルからの最大の応援と祝福なのですよ~~~~~!!!

 更にいいのが、この話が後世に偶然発見された記録を元にノンフィクション本として出版され、ファナと別れてから後のシャルルの消息が不明なことです。
 戦死したのか、それとも無事生きて終戦を迎え、その後の人生を生きたのか、ファナとの再会はなったのか、それが読者に委ねられているところが妄想力を刺激します。

 秋津的には、再会して欲しいなぁとは思いますね、やっぱり。
 恋人として触れ合う事はなくても、ファナが皇国内で皇太子妃・皇妃としてある程度の時間が経ち休戦へ向かう為の幾ばくかの協力者と為政者としての権限を得たところで、彼女の最大の理解者である側近として再会して欲しい。
 再会した二人の間に色恋はなくてもいいんです。
 胸の底では若き恋心が疼く日があっても、お互いの立場というか休戦という目標の為に、その恋心に耐えられる二人でいて欲しいし、二人であると思う。
 夫があれだけ馬鹿なので、多分為政者としてはもちろん無能だろうしそもそも政治に興味がないような気がするのですよね。とくかく読んでいて『皇太子は馬鹿である』という印象しか残らなかったので、良心と政治的見地のある人は皇太子(後の皇帝)よりも政治的判断をファナに求めると思うのですよ。
 シャルルはそうね。
 一応、敬虔なアルディスタ正教徒らしいし、皇妃直属の神父もしくはコックとか一番あり得そうなところで護衛の側近として、彼女の背中を支える存在であって欲しいと思います。

 うん。
 面白かった!