プーシキン美術館展の夜間特別観覧会に参加するため、早めに横浜美術館に行ったため、1時間ほど時間が空きました。
で、美術館のロビーを見回ると、コレクション展が開催されていました。 通常の所蔵作品展かなと思って、時間つぶしの
感じで入ったのですが、なんとなんとシュールレアリスムの作品から日本画、陶磁器、彫刻など素晴らしい作品が待ってい
ました。
副題に「収集のよろこび-美術館にみる個人コレクション」とあるように、個人コレクション別に展示してあり、コレクターの
個性がうかがえる展示でした。
さっそく、シュールレアリスムの作品から
ポール・デルヴォーの絵はどこかで見たと思うのですが、ハッキリとは思い出せません。 昔の美術の教科書だったかもし
れません。 時間が静止しているかのような錯覚を誘う絵です。 色合いや濃淡のコントラストに惹かれるものがあります。
また、デルヴォーは鉄道マニアだったのですね。 この絵にも、駅のプラットフォームや給水塔などそれらしきものが見えます。
なお、コレクションは長岡市の大光相互銀行(当時)オーナーだった駒形十吉の現代美術コレクションとして収集したものだが
経営危機になり、全国の美術館等にその半分が売却された。 その売却品の一つがこれ・・・コレクターにとっては、手放す
のは辛かったと思いますが。 プーシキン美術館作品のコレクターは、もっと悲惨な手放し(接収)になっていましたね。
山高帽の紳士はマグリット自身でしょうか。 蒼く暗い色彩のなかで、眼、鼻、口が浮かびあがってみえ、面白い。
ヴラマンクは好みではありません。 が、この絵はいい。
種苗業で成功した坂田武雄氏の西洋近代美術コレクションで、横浜美術館に寄贈されたもの。
ここで、1階から2階の階段まわりにある西洋近代彫刻を。
展示室がある2階の回廊から見た彫刻作品の展示。
この展示のインテリアや照明には興ざめでした。 神殿ふうな造作を目指したデザインですが、ごてごてした感じで、アート作品を観る雰囲気がデザインされていません。
調べてみると、丹下健三・都市・建築設計研究所の設計になっています。 代々木体育館など素晴らしい建築設計を行っていますが、1989年にオープンしたこの美術館は
ポストモダンの影響を受けて、装飾性を意識した設計になっており、ゴテゴテ感はそこからきているように思えます。
1階ロビーの中央部で、左側がプーシキン美術館展、右側がコレクション展に分かれています。 ここもデザイン不在の空間と感じました。 当初、横浜博覧会の会場として
使われたので、設計上、折衷案的な結果になったのかもしれません。
仕方なく、似合わない背景ですが、作品を。 ダリの彫刻作品。
階段を降りて、横から。 背景のエレベータやうるさい壁面が邪魔です。 東京国立博物館の東洋館1階の鑑賞デザインの素晴らしさを、少しでも応用できないだろうか。
こちらの作品名を撮り違えてしまい、作家などがわかりません。 撮った作品名は、ルネ・マグリット「レカミエ夫人」となっており、撮った時、おかしいな・・・と思いつつ確かめなかった私のミスです。
この彫刻の作家名など、初めて聞く名前でしたが、なぜか目立つ作品でした。 やはり、背景がうるさくて、いっそ大きな屏風を後ろに置いたらいいのでは。
照明も工夫して、全般に照度を落とし、階段や彫刻には、LED等でスポットライトを使った照明を使えば、雰囲気がかなり違うと思います。・・・と勝手ばかり、言い過ぎですね。
なお、これらの彫刻は、コレクション展とは関係なく、常設展示している作品のようです。
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